なぜ経営者が表面的な経営”だけ”にまい進するのか(危険シグナル)

経営者の視点

私は経営者側の立場でもあり、他にも経営者の方とお話しする機会もあります。
事業がうまく行っているかどうか、しっかり利益を出しているかどうかは会社の規模に応じますが経営者自身の能力は大きな要素です。

割と危険な企業の規模感で言えば、歴史のある中堅企業~それほど大きくない大企業です。
業績悪化の傾向が生じている、この規模感の企業では優秀な人材を確保できるほど給与水準も高くなく、またその優秀人材を使いこなせる経営陣がいないため、現状維持の志向が強い人達の温床地になっています。

さて、こういう企業の社長になった内部昇格の方、同族企業の2代目、3代目など「何かをしなければならない」と考え、外部コンサルのアドバイスを受け社内改革に着手します。
「パーパス経営の導入」「企業理念の刷新」はたまた最新の「●●経営手法」だと

なぜ彼らは現場、ビジネスそのものを無視し、経営”だけ”に目を向けるのか、彼らの考えを深堀しましょう。

経営の本質を理解しないのに何となく先進的な経営手法の導入

残念な経営者の思考プロセス

この図は経営改善に失敗する経営者の思考プロセスの1例です。
経営手法中毒ではありませんが、経営と現場を分離したがる経営者の思考です。


「パーパス経営」や「経営理念の刷新」などは企業の存在意義の明確化や企業文化の転換、従業員の一体感、会社への帰属意識の向上など様々な効果が期待できるものでとても重要なものです。

ただし、それをやる意味は何なのか?
そもそもそれをやる前に他にもする事はないのか?
意思決定者は深く考慮する必要があります。

重要なポイントですが、これらの期待効果は会社、顧客、取引先そして従業員の意識・行動変革を促すものですが、たいてい失敗するケースは経営者・経営陣の自己実現や権威性を高めるのが期待効果(目的)になっている場合が多いです。

パーパス経営や企業理念の構築は会社経営の土台部になりますが、これを変更し上手く機能できる経営者にはある共通点があります。

「その企業の事業、従業員、オペレーションを深く理解し、本当の経営を実践していること」

少なくともオペレーションレベルで経営陣が問題を取り除き、改善効果が示されており、経営者は本気で会社を良くしようと従業員へ示している必要があります。

企業は事業活動により収益を上げます。経営と現場(オペレーション)を分離したがる経営者・経営陣がいますが、これは本質的には逃げているだけです。
そう彼らは面倒くさい事はやりたくない、責任は取りたくない、従業員の面倒を見るのは大変だと。

そして、そう言う方ほど表面的な変革に走りがちです。
やるのは結構ですが、無駄に費用を払い、1年後も従業員のマインドは変わらず、事業が好転する事はありません。

高度な経営は高度に成熟した人、組織がないと機能しない

もう想像できるように高度な経営手法、プロセス導入の前提条件にはそこで働く人、組織が受け入れる体制が出来ていないければ機能しません。
それは働いている人の能力以外にも、新しい事を受け入れる風土、組織スラック(余力があるかどうか)、オペレーション効率化度合い、成功体験の蓄積などです。
人材育成に関心が薄く人材投資が非常に低い日系企業、ましてや停滞企業が表面的な事をしても効果が出ないのは容易に想像できるかと。

決して騙されないで。自分で判断できる力を

以上のように、あなたの会社の社長、経営陣そして上司が何か革新的な手法を導入しても、あなたを含めた同僚、チームメンバーの作業効率が良くならない。
それら新しい事に追加で時間を消費する。。。。しかし、あなたの報酬は増えない。

このような場合、会社だけでなくあなた自身が時間を無駄に消費する事になります。
是非、ご自身でこの会社は大丈夫なのかどうかしっかり判断してください。

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