日本型組織の押し付けで従業員への負担感が凄く、所得上がらない理由

従業員負担感増大 キャリア戦略

私の社会人人生は海外で仕事をする期間が日本よりも長く、また海外で経営している立場から組織体制は海外と日本とでかなり違うと考えています。
現在、皆さんが頑張って頑張ってもお給料が増えない原因の一つとして、日本型組織文化を如何に経営者が悪用し続けているか話します。

海外型(欧州・米国)組織について

海外型の組織はジョブ型雇用です。下記がWikipediaの定義ですが、

ジョブ型雇用(ジョブがたこよう)とは、企業が職務内容とスキル経験資格などを限定して従業員を採用する雇用形態

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

雇用主側はポジションごとに職務内容、スキル与件を明確に持ち、一方で雇用者側は職務経験、保有スキル、資格を持っており、双方が合意すれば雇用契約と職務記述書を取り交わします。
基本的にこの人材に対しては職務記述書以外の業務をさせるには双方の合意が必要となり、人材に対して「必要な機能の提供」を求めて報酬を支払います。
つまり海外型(欧州・米国)組織は「機能分化」に非常に強い形態です。


当然このジョブ型雇用には明確なメリットとデメリットがあります。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

メリット
①雇用主と雇用者の関係がより対等に近づく(会社に依存しない自己実現人材)
②雇用者は自分のキャリアプランを明確にできる。専門化が進む。
③雇用の流動化促進、また高スキル人材の給与水準の向上
④あいまいな職務の人員がいなくなる

デメリット
①自分の職務以外の職務に関心が薄くなり、組織の一体感が低くなる
②部署間のコンフリクトが高くなる。組織硬直化の発生

どうでしょうか?皆さんの企業に導入できそうですか?

日本型組織とは?

さて、日本型組織です。
日本型の組織ってどんなイメージをお持ちでしょうか?

日系企業でもかなりの企業が機能別組織を採用していますよね?
(機能別組織=営業、設計、生産、品質管理などの機能毎に部署を設ける組織)
じゃあ、ジョブ型雇用がマッチしていると思いませんか?
なぜジョブ型雇用は導入されないのでしょうか?

それは日本は「お客様は神様」と考える土台の考えがあり、
全従業員はお客様の事を考えて仕事をするものだ」と言う文化があるためです。

つまり、顧客への価値最大化のために「全員経営」を全従業員へ求めているのが日本型組織です。
顧客価値を最大化するために部門を越えて現場の問題の問題を洗い出し解決を見つけて対処する。

日本型組織のメリット・デメリット

メリット
①従業員間のウェットな関係構築
②従業員の会社への帰属意識が高まる
③部署間の人員調整がしやすい

デメリット
①専門的なスキルを保有しない従業員が増える
②部門間の調整や自分の専門外の事も考え、対応するため業務量が増える
 (従業員の負担感が増加する。)

日本型組織すごいですね!
皆さんがやっているのは非常に高度でかつ業務量が多いものだと思います。
さらに雇用主は一方的に会社の忠誠心を上げろと求めています。


全員経営で皆さんの企業は労働生産性、付加価値が非常に高いんでしょうね?
下記OECDの国別労働生産性は時間当たり、1人当たりとも日本は27位、29位と先進国の中でも非常に低いですね。

さて、皆さんのお給料はいくら程度でしょうか?頑張った分給与増えていますか?

私は正直なところ日本型組織は今の社会環境においては有効に機能しないと考えています。
さらに言えば、雇用者側一方的に損をしており、このままでは優秀な人材が育たたなくなり日本の国際競争力を大きく低下する危険が高いと考えています。

全員経営で得するのは経営者と経営陣

日本独自の文化や考えは尊重すべきです。それに社会的な価値があるのであれば。
価値って誰に対してですか?お客様?企業?株主?
極端なお客様思考は負担を強いられている側に歪が蓄積します。
業務時間以外に電話でないとか、仕事を考えてない従業員が多いと嘆く管理職の方いませんか?

全員参加?全員経営? それを言うのであれば、労務環境・所得水準とも経営者と同じにすべきです。

労働者側に色々と求めるのに、報酬は最低限は明らかに間違った思想であり、従業員の健全でクリエイティブなアイデアなんて出てこないですよ?
いわゆる従業員のモチベーション低下、主体性低下が顕著に出ます。
これじゃあ、全員経営なんかできるわけがないのです。

そして、これで得をするのは誰でしょうか?

それは本来経営をしなければならない経営者と経営陣です。
彼らは自分の業務を従業員へ押し付けているだけです。

結局、お友達人事システムを存続したいため

さて、ジョブ型雇用が最も相性が悪いのは何かわかりますか?
そう日本人の最も誇るべき文化「OTOMODACHI JINJI」です。
日本人全員大好きお友達人事システム!

当然ながら経営人材もジョブ型雇用では外部からの優秀人材の獲得が可能です。
しかし、日本のお友達人事システムは能力低いシニア人材のポジション確保のために長い年月をかけて構築されたものです。
これは日系企業にとって企業文化を潰すに等しいものです
よって、日系企業はこれからも低い労働生産性を維持、つまり皆さんの給与は低いままで行く事を示唆しているのです。

ジョブ型雇用では全員経営できないは嘘

海外でジョブ型雇用で経営している者としてはっきり言います。
ジョブ型雇用は確かに全従業員に経営を求める事は出来ませんが、
全員経営とほぼ同じ同意である「全従業員が連携し事業活動をおこなう」事は可能です。

多くの日系企業の場合は「お友達人事で昇進した経営幹部の経営能力が低くジョブ型雇用を採用できない」が正解です。

ちなみに欧州でもオーストラリアでも現地従業員は「顧客」の事を考えていますよ?
機能分化している従業員を一つにまとめて経営するのが経営者の職務なのです。
経営者・経営陣の従業員へのメッセージ、リーダーシップも曖昧、与える職務も曖昧では従業員の成長度は低くなるのは自明です。

ジョブ型雇用は「直ぐにクビになる」とか嘘で、それよりもワンマン経営者の労働法無視した解雇の方がよっぽど怖いです。

少なくともジョブ型雇用を採用している企業は従業員に対して専門化を求めており、スキルアップのチャンスだと考えます。
是非転職先を決める際の参考にしてください。

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