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動物病院の募集要項のチェックポイントを解説!募集要項からブラック病院を見抜く方法とは?

求人情報を精査する人たち

募集要項に住居手当ありってあったけど、実際には月給に含まれてたなんて・・・

賞与ありって書いてあったけど、経営状況を理由に払ってもらえない・・・これってありなの?

募集要項には、必要としている人材についての情報が書かれていますが、知識不足だと内容を正確に理解することが難しい場合があります。

募集をかけている病院や企業は多くの人を集め、その中から優秀な人材を採用したいと考えています。

そのため、給料にみなし残業代を含め高月収に見せたり、求人票の情報が見込みの労働条件なのをいいことに、体裁よく書かれているケースもよく見られます。

募集要項を見る時に、最低限の知識がないと労働者としての権利が毀損され、入職を後悔してしまうことになるので注意してください。

この記事では、以下のことについて解説します。

この記事を読んでわかること
  • 動物病院の募集要項のチェックポイント
  • ミスマッチをなくすためのポイント

転職を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください!

この記事を書いた人
  • 動物病院と公務員で3回の転職を経験
  • 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
  • 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
  • 2児の母。
目次

募集要項とは?

募集要項とは、求職者に対してその仕事に就いたらどんな条件で働くことになるのかを伝える情報のことを言います。

以下の項目は、職業安定法(第5条の3第1項又は第2項、省令及び指針)により募集要項に記載しなければいけないと定められています。

募集要項の必須項目
  • 業務内容
  • 雇用形態(派遣の場合)
  • 契約期間
  • 試用期間
  • 就業場所
  • 就業時間
  • 休憩時間
  • 休日
  • 時間外労働
  • 賃金
  • 加入保険
  • 受動喫煙防止措置の状況
  • 募集者の氏名又は名称

時間外勤務の多い動物病院では、固定残業代を導入しているケースをよく見かけますが、固定残業代を導入している場合は、その旨を募集要項に記載することが必要です

固定残業代とは?

実際に何時間残業したかに関わらず、月々固定の残業代を支払う制度。 

メリット

雇用主は、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めることで残業代計算の負担を軽減できる。

労働者側は、残業時間が少ない(又はない)場合も規定の残業代をもらえる。

デメリット

基本給が低く設定される傾向がある。

法律順守の意識が低いと、規定時間以上残業した場合に、超過した分の残業代が支払われないケースもある。

募集要項を見る上で注意が必要なのは、募集要項に記載されている条件は、あくまでも「見込み」で全てが適用されるわけではないということです。

えっ!じゃあ嘘が書かれていることもあるの?!

法律では、虚偽の条件を提示して求人を募集すると懲役刑や罰金刑が課されることになっていますが、人手不足から募集要項や求人票の表記を「盛って」しまう例は多々あります。

そのため、ミスマッチを防ぐためにも、募集要項を見る時は、求職する側も注意しなければなりません。

まめしば

労働局も、膨大な数の求人情報を逐一チェックして回るのは難しいようです。
軽微な記載義務違反は見逃されているのが現状のようです・・・

募集要項のチェックポイント

おすすめの求人を確認する男女

ここでは、動物病院の募集要項を見る時に、最低限知っておいて欲しいことについて解説します。

少しでも知識があれば、募集要項から以下のようなことがわかります。

  • 院長(経営者)がどれくらい経営者としての意識があるのか
  • 人を採用することにどれくらい真摯に向き合っているのか

POINT①:必須項目が漏れなく記載されているか

チェックポイントの1つ目は、必須項目が漏れなく記載されているかです。

求職者の募集をたくさん集めるために、都合の悪い情報をあえて記載していないサイトは数多くあります。

例えば、募集要項には基本給の記載が義務づけられていますが、給与を高く見せるために、以下のように記載している病院HPをよく見かけます。

  • 給与 280,000円~ (経験・能力によって応相談)                             ⇒ 給与を高く見せるため、基本給に手当を含めた額を記載
  • 月給 300,000円(見なし残業代40時間分含む)                              ⇒ 基本給の提示がなく、みなし残業代40時間分の金額が記載されていない

記載方法だけではなく、記載が義務付けられている項目が抜けている、就業時間や休憩時間、時間外労働の有無についての記載がないというケースは当たり前のように存在します。

まめしば

病院HPには書かれていなくても、求人サイトをチェックすると
必要項目を満たしたフォーマットに沿って記載されていることもあるので、ぜひチェックしてみてください!

募集要項が不十分なのは、あえて都合が悪い情報を記載しないのではなく、単純に法律の知識がないだけといいうことも考えられます。

しかし、人を雇う以上、最低限の法律知識を身につけておくことは経営者としての義務です。

経営者としての意識が低いために、労務管理や経営管理が疎かになり、スタッフが過酷な労働環境を強いられたり、酷いハラスメントを受けている話は後を絶ちません。

確かに、募集要項はあくまでも「見込み」の条件ですが、どれだけ法律に則しているかは、院長(経営者)の経営者としての意識の程度を表していると感じています。

POINT②:給与・賃金

チェックポイントの2つ目は、給与・賃金です。

労働の対価となる給与・賃金について確認することはとても重要です。

給与は、労働者に支払われる金額の総称のことで、基本給、賞与、成果報酬、各種手当などを含めた全てを指します。

給与 = 基本給 + 賞与 + 成果報酬 + 各種手当

給与 = 基本給 + 賞与 + 成果報酬

    + 各種手当

そのため、賞与(ボーナス)は別としても、交通手当や住居手当などの各種手当を含めた額を月給などとして記載しているケースもあるので注意が必要です。

給与・賃金の項目については、最低限以下のことについて確認するようにしましょう。

  • 給与形態の種類                                       動物病院の給与形態で多いのは、『月給制』や『年俸制』です。                   月給制が月単位で支給される金額が決まっている給与形態なのに対し、年俸制は年単位で支給される金額が決まっている給与形態です。年俸制は賞与を含む年俸が月ごとに分割して支払われるため、年間の収入の見通しが立てやすいというメリットがあります。
  • 基本給                                           手当や報酬を含まない、給与のベースとなる賃金のことを言います。                 募集要項では、「月給」「給与」「賃金」「固定給」などと書かれているケースがありますが、手当や残業代を含んでいる場合があるので注意が必要です。基本給は残業代や賞与、退職金などの計算の基になっているケースが多いので、必ず確認するようにしましょう。                                                                    
  • 固定残業代の導入の有無                                   固定残業代を採用する場合は、以下の内容を記載することが必要です。                                           ①固定残業代を除いた基本給の額                                 ②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法                        ③固定残業時間を超える時間外労働、 休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨  
  • 基本給以外にどんな手当てがつくのか                                                  通勤手当や住居手当は上限が設けられている場合もあります。                   基本給と合わせて月給や給与に含まれていないかどうか、どのような手当てがいくらつくのか確認しましょう。
  • 賞与(ボーナス)と退職金の有無  法的には賞与や退職金の支払い義務はありません。 賞与や退職金を支払うかどうかは雇用主が決定する事項ですが、就業規則に明記されている場合は支払いの義務が生じます
まめしば

一例ですが、固定残業代の書き方としては、
『給与○○円(基本給××円、固定残業代△△時間分□□円)、○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給』
といった形で上記の①~③について明示する必要があります。

上記しましたが、求人票や募集要項の賃金項目にかかれている金額は総支給額です。

給与から所得税や住民税などの税金も支払うことになるので、純粋な手取りは額面からおおよそ2割ほど減ると考えておきましょう。

POINT③:休暇・休日

チェックポイントの3つ目は、休暇・休日です。

休日の記載で多いのが「週休2日」ですが、これは1ヶ月に最低1回は週に2回休みがあるという意味です。

一週間につき毎回2回休みがある場合は、「完全週休2日」と記載されることに注意してください。

また、有給休暇は、募集要項に記載がなくても法律上当たり前に発生する休暇になります。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用:労働基準法第39条

つまり、正社員、パートタイムなどの区別なく、勤務開始から半年経過し、かつ8割以上出勤していれば10日間(就業規則でそれ以上の定めがあればその日数)の有給休暇が発生します。

なお、正社員として働く労働者の有給休暇の付与日数は以下の表のとおりです。

継続勤務年数(年)付与日数(日)
0.510
1.511
2.512
3.514
4.516
5.518
6.5以上20

実際、有給休暇はもらえていても、病院の中で取得する順番が決まっていたり、取得しにくい雰囲気であることもよくあることです。

有休消化率の項目を設けている求人サイトや、少数ですがHPに記載して消化率の高さをアピールしている病院もあるので、募集要項と合わせて情報源として利用するのがおすすめです。

まめしば

次の記事では、獣医師が休日をゆっくり休むメリットと休日を確保するためのポイントについて解説しているので、ぜひ合わせて読んでみてください。

POINT➃:福利厚生

チェックポイントの4つ目は、福利厚生です。

福利厚生とは、企業(病院)から従業員に提供する賃金以外の報酬のことです。

福利厚生には法定福利厚生法定外福利厚生があり、以下のように定められています。

法定福利厚生法定外福利厚生
社会保険 ※1健康保険
厚生年金保険
介護保険
子供・子育て拠出金
住宅手当
通勤手当
資格取得手当
セミナー補助
リフレッシュ休暇・特別休暇
育児・介護支援
 社員旅行 など
労働保険 2雇用保険
労災保険

※1 法人および5人以上の従業員がいる個人事業主は原則加入が義務

※2 1人でも労働者を雇用している場合原則加 入が義務

法定福利厚生は法律で義務づけられていますが、法定外福利厚生は企業(病院)が任意に決めるものなので、いわば特典のようなものです。

まめしば

私が勤務した3カ所の病院は、全て5人以上従業員がいましたが、社会保険に入っているところは一つもありませんでした・・・(泣)

事業主に法律順守の意識がどれだけあるかということは、経営者としての意識につながるものです。

院長が獣医師として高い診療技術を身につけていたとしても、経営者としての意識や知識がなければ、職場は従業員にとって働きやすい環境にはなり得ません。

だからこそ、求職者側もある程度の知識をもって、相手を見極める必要があります。

POINT⓹:就業規則

チェックポイントの5つ目は、就業規則です。

就業規則とは、労働条件や職場内の規律について定めた職場における規則集です。

常時10人以上の労働者を使用している場合は就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出る義務があります

まめしば

時々10人未満になっても、常態として10人以上いる場合や、従業員がパートやアルバイトだったとしても頭数に該当します。

就業規則には法的効力があり、就業規則で定められた労働条件は、労働契約の内容になるとされています。(労働契約法7条

また、就業規則は、職場内の見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などによって周知することが義務づけられていて(労働基準法第106条)、周知された日から効力が発生するとされています。

就業規則は、10人未満の場合は作成の義務はありませんが、長時間労働・時間外勤務が常態化しやすい動物病院では、トラブル防止のためにも作成されることが理想です。

まめしば

ちなみに、就業時間や休憩時間、賃金の計算や支払い方法、昇給についての記載は必須項目になっています。
法律に則ってきちんと就業規則を作成しているかどうかは、経営者(院長)としての意識の程度が表れると言えそうですね。

POINT⑥:仕事内容

チェックポイントの6つ目は、仕事内容です。

仕事内容のミスマッチがあると、やりたいと思っていることができず、入職を後悔する大きな要因になってしまうので注意が必要です。

例えば、予防医療に力を入れているのか、それとも高度医療の提供を目指している病院なのかによっては、経験できる症例の傾向や習得できるスキルは大きく変わってきてしまいます。

また、募集要項と合わせて、病院HPや求人情報などから院長(経営者)の掲げるミッションを確認することが重要です。

病院が力を入れている分野が自分のやりたいことと同じであっても、院長(経営者)の信念に共感できないと、仕事を続けていくことが辛いと感じてしまう可能性が高いので注意してください。

まめしば

例え興味のある分野が同じでも目指す方向性が違うと、考え方の相違から、相手の治療方針に納得できないという状況に陥りがちです。

ミスマッチを防ぐための大切なポイント

採用条件だけではなく、院長(経営者)の人柄や経営者としての意識、職場の雰囲気など、表面化されない情報を収集することはとても重要です。

表面化されない情報をどれだけ集められるかが、就職や転職のミスマッチを防ぐことにつながります。

チェックするポイントをおさえることで、募集要項からある程度表面化されない情報を読み取ることはできますが、やはり推測の域を出ません。

推測を裏付け、ミスマッチを防ぐためには、以下の3つのポイントをおさえることが重要です。

ミスマッチを防ぐポイント
  • 実習に行く                                             募集要項で求人情報を確認したら、実際に働くことになる職場に足を運ぶことが重要です。         面談だけではなく、実際に複数日(できれば1週間ほど)実習をさせてもらい、スタッフから話を聞いたり職場の雰囲気を感じることで、自分に合うかどうかを判断します。
  • 労働条件通知書(又は雇用契約書)を雇用契約の前にもらう                    従業員を雇用する際には、労働条件通知書の発行が義務付けられています(労働基準法第15条1項)。   労働条件通知書と雇用契約書を兼用するケースもありますが、雇用契約の前に労働条件通知書をもらい、内容を確認することが重要です。
  • 不安をなくす                                         雇用条件について疑問がある場合は、直接雇用主に確認をし、不安を払拭しておくことでミスマッチの可能性を下げることができます。不安を抱えたまま働き始めてしまうと、入職を後悔することにつながるので要注意です。

不安が消えない時はどうすべきか?

上記のポイントをおさえることで、雇用主側と求職者側に認識の齟齬が生まれるのを防ぐことができます。

でも、労働条件通知書はどうやったらもらえるの?

不安をなくすって言っても、残業代がちゃんと出るかなんて
自分から聞きにくいし・・・

確かに、雇用条件の交渉が苦手な人も多いと思います。

私自身も、転職時に面談で昇給や有給休暇についてはっきり確認たいと思いつつ、やる気がないと思われたくなくて言い出せなくて後悔した苦い経験があります。

また、労働条件通知書がもらえない場合は、直接雇用主に話して発行してもらうしかありません。

直接確認したいけど自分では言い出しにくい・・・そんな不安を解消する方法としておすすめなのが転職エージェントを利用した転職です。

転職エージェントを利用すると、実習や面接の日程調整から、雇用条件の交渉まで全て代行してくれるため、転職に際した不安を全て解消することができます。

まめしば

しかも、求職者側は転職してもしなくても完全無料で利用できます ^^

次の記事では、私が実際に転職エージェントを利用した体験について紹介しているので、「転職エージェントって怪しい」「無理やり転職させられそう」と不安に感じる人は、ぜひ参考に読んでみてください。

まとめ

今回は、動物病院の募集要項を見る時のチェックポイントと、ミスマッチを防ぐポイントについて解説しました。

募集要項は、あくまでも「見込み」の条件ですが、院長(経営者)の思いや経営者としての意識を感じることができる媒体の一つです。

ミスマッチを防ぐためには、求職者も必要最低限の知識を持って働く場所を探すことが大切です。

これから就職する人、転職を検討している人は、ぜひこの記事を参考に自分に合った職場を見つけてください。

まめしば

陰ながら応援しています ^^

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獣医師転職を目指す方へ

好条件の転職先を見つけた勤務獣医師に、注意喚起する獣医師

この記事を書いた人

動物病院と公務員で3回の転職を経験。
動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。2児の母。

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