ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」学習に関するる手に入りやすい本の案内として説明をしていきます。
紹介するのは、この本、
「知られざる英会話のスキル20」(日向清人・狩野みき)です。
正直なところ、この本を最初に紐解いたときには、今まで紹介してきた本のように「猛烈に驚かされた」とか「まったく新しい景色を見せれくれた」といった意味での圧倒的影響力は感じませんでした。
しかしながら、非常に考え抜かれて書かれた英会話スキル本と言う意味では、既に手に入れてから数年たつものの、いまも手放さないようにしている、つまり、やはり魅力ある一冊なのです。
では、どのあたりが魅力的なのか。
まず第一に、英語圏の文化や考え方をきちんと踏まえたうえでその時々の会話にふさわしい文章を使い分けるように配慮されている点が挙げられます。
仮にあなたが日本語圏の文化や考え方を踏まえて日本語を教えるとすれば、外国人にはフォーマルな場では「です・ます」でインフォーマルな、つまり気心の知れあった間柄では、「だよ」と「だね」といった文末にすることを教えるでしょう。
そんなある意味根本的な使い分けをするべきところが、ていねいに例文・音声と共に並べられています。
このあたり、英検の1級面接試験でも冒頭の部分で結構さりげなく評価されているかもしれないので、余裕がある方は、立ち読みくらいはしてみてはいかがでしょうか。
この本の魅力の第二点は、会話の始まり方から終わりまでについて、「頻度の高いかたまり」を使おうという提唱をしていることです。これは、目の付け所が新しいと言えます。
なぜか。
一般的に英会話の本やあるいは動画等でも、その時々の状況における例が紹介されています。たとえば、会議のシーンとか会食時のシーンとかあるいは空港とかのシーンなどで展開する形をよく見るでしょう。
しかし、この本では、もっと横断的な視点から、もっと高い視点からノウハウが紹介されています。
個別的なシーンの在り方ににこだわらず、常に外国人との英会話におけるすなわち会話の始まり方と進め方と終わり方に関してのオーソドックスなテンプレートのようなものが、頭の中に描けるようになっています。
特に日本人の場合、日本人の発想で、あるいは日本人が頭の中に描いているものを英語に置き換えることが英会話と思い込んでいる節があるでしょう。
え?英会話ってそういう風になるものではないのか?とお思いの方も少なくないでしょう。
しかし、そういう日本語発想→直訳→発音・発語のやり方は、実は効率が悪い英会話なのだという厳然たる事実に気づかせてくれます。
もっとスムーズに英会話を進めたいなら、まずは英語圏の応答の形式と言うか定石のようなものを知ることが先決なのです。それなしは、自己流過ぎて「使えない」のです。
外国人の相手にとって予想外のことば、英語圏のやりとりからは???といった印象を与えているかもしれないのに、日本人はそのことに猛烈に鈍感なのです。もっと伝わりやすいやりとりの公式、一般的なコースをまずは学んでおく必要があります。
英会話と言うのは一種のスポーツのようなもの。そこには暗黙のルールというか、流れの共通認識がある。そして、この前提をもとに、おたがいやりとりしている。そのあたりを丁寧に紹介してくれています。この本は。その意味で頼りになる一冊です。
現に英国では、移住してきた外国人との円滑なコミュニケージョンを取るために、このルールブック?のようなものが政府主導で制作されているようです。
ようですと、ややあいまいに申し上げるのは、自分自身がまだその原本に当たっていないからであり、本書の中では、「Introducing the Grammer of Talk」としてその署名が明らかにされています。
日本には、自分が知る限りこの「Introducing the Grammer of Talk」は翻訳が出ていないようですが、本書はこの本を下敷きにしています。
したがって、英語圏に生活する人の会話の進め方、やりとりにおける方程式を学ぶという点でメリットがあります。
実は、本ブログの筆者も電子書籍でこんな本を出していますが、その中でこの本を参考文献として利用させてもらいました。
警備員が(施設内で問題行為をしている)外国人に話しかけるとき、どういう英語を使うべきかについて、自分の選んだ英語が妥当であることについて確信を持たせてくれました。
その意味でやはり、この一冊は自分に圧倒的影響力をもたらしたといってもいいのかもしれません。
以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になれば幸いに思います。