買収から10年、遂に上場廃止のニュース

前職でM&A担当として案件遂行した海外企業の買収。2024年3月28日に上場廃止が臨時株主総会で決定されたといニュースが飛び込んできた。今回はこのニュースについて少し触れたい。






買収の思い出

ここでは多く書けないのと、買収完了はもうかれこれ10年前の話で記憶が曖昧になっているが、当該海外企業の買収には約2年の月日がかかった。大株主からの株式取得だけでなく、公開買付も必要であり、当該国では少数株主が保護されている法律が故、1件1件公開買付の通知を事前に全株主に郵送しなければならないという作業もあり、証券会社や弁護士さんとの調整、公開買付でこうなったらこうするという事後の対応策も含め、諸々と寝る暇もなく大変だった。今でもいい思い出ではあるが、少し残っている当時の自身の日記を読み返してみると、よくあれだけの業務量をこなせたと感心する。

上場廃止のニュース

当時買収を行う上で、上場廃止を行うメリット・デメリットも勿論検討していた。しかし、デメリットの方が大きいということで、当時は上場廃止を行わずにいた。今は法律が変わっているかもしれないが、当該国での上場廃止は、①Delisting (会社自身での上場廃止の決定、会社の清算、会社のリストラクチャリング、他企業による買収などにより上場廃止となるもの) と、②Default Board (証券取引所が定めた上場企業として履行すべき事項を履行しなかった場合による上場廃止) の2種類があるものの、流通株式が少ないことによる上場廃止の基準はなかった

そして買収から10年経った2024年3月28日、臨時株主総会で上場廃止が決定。どうやら法律上、株式保有数に準じた投票権限ではなく、大株主であっても投票数は1とカウントされるようだが、賛成大多数で非上場化された。ここで1つ歴史が変わったと感じた瞬間だった

当該国の証券市場自体が流動性が低く、買収後には株価は紙切れのようになった時もあったが、業績自体は好調で、コロナ後、時価総額で国ナンバー1の上場企業ともなった。しかし、2023年度はかなり苦戦した模様。買収から10年、そして2023年度の区切りとしての非上場化….今後どのような新しいステージを歩んで行くのか、注目したい。

最後に…

私自身、インドに移住を決めてからは、残念ながらこのようなワクワクするような仕事はしていないが、前職でのM&Aの経験は一番の宝物となっている。辛かった思い出も時間とともに風化される。そして、今でも当時のチームメンバーとのグループLINEがあり、一時帰国の度に会って飲みに行ったり、たまにインド出張のついでに会いに来てくれたりもする。買収先の仲間たちも含め、今でも大好きでかけがえのない元上司や元同僚達で、彼らに出会えたことが一番の財産だった。

最後まで読んで頂き有難うございました🙏



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