手段は、各々にまかせる


 

目的・ビジョン・目標を共有し、手段は各々にまかせる

 組織として、行動するためには、目的や目標、ビジョンを共有することから始めなければならない。

 しかも、その目的や目標、ビジョンは、個人が実現したいと心から共感できるような者でなければならない。

 そのうえで、その実現にむけてそれぞれが役割を果たすことによりその目的・目標・ビジョンは実現される。

 しかし、リーダーが、自分の「やり方」に固執するあまり、組織的な行動を阻害している場合がある。

 特に、下積みから全ての業務に精通したリーダーにその傾向が強く見られるように感じる。

 チームのメンバーが、少しでも違うやり方をしていると

 「そうじゃない。この場合は、このやり方だ。」「しょうがない、私がやるからよく見ておくように」と、口を出し、手を出してしまう。

 メンバーが、「こういうやり方もありますよね。」と言うと「なにか君は、これまでの私がやってきたことを否定するつもりか。私が何年、この仕事をやってきたと思っているんだ」と、ひとつの作業のことから飛躍した会話になってしまう場合もある。

 これは、リーダーとメンバーとのやりとりの一例だが、この問題の重要なポイントは、メンバーの考えややり方を否定したことで、考えることをやめさせ、やる気を失わせることである。

 メンバーの意識が、組織としての本来の目的・目標・ビジョンの実現ではなく、リーダーに言われた通りのやり方をすること、指摘を受けないこと、注意されないことに向くことである。

 原因は、いくつかあるが、よく見られるのが、リーダー自身が、自分の存在意義の損失感に耐えられないこと。自分がいなくても、仕事が回ることに、「私はいらない人間ではないか」「もう私のやり方は古くて使い物にならないのではないか」と無意識のうちに脅威を感じてしまうことにある。

 現実は、周囲のメンバーは誰もそんなことを感じたり、考えたりする事実はなく、むしろ尊敬し、一目おいていることも多い。

 だが、結局、リーダーが損失感、孤独感に耐えられず、口を出し、手を出すことで、結局、自分自身の口から「うちのメンバーはダメだ、言われたことしかしない。自分で考えて行動しない」「なぜこのくらいわからないのか!!」という言葉が聞かれるようになる。

 そして、メンバーがやるべき仕事がムダに増え、煩雑になり、士気もさがり離職につながり、入れ替わりも多くなる。利益率が下がるうえに、このような雰囲気では、お客様も寄り付かなくなってくるため、売り上げも伸びない、悪循環に陥ってしまうという最悪のケースもある。

 リーダーは、メンバーに目的・目標・ビジョンを共有し、その目的地到達までの期限を設定したら、そこまでの手段については、大きな問題につながらない限り、目を瞑っておくことである。

 それとともに、己の損失感や孤独感と向き合い、自分を律する力を磨くことが必要である。

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