徒然なるまま読書感想ブログ

日々読んだ本の感想ブログです。小説、ビジネス書、ライトノベルなど通勤中、休日に読んだ本の感想を自由に書いていきます。

【ツバキ文具店】 感想

2024-05-08 17:40:28 | 一般文芸


 鎌倉で主に手紙を代筆することを生業としている「ツバキ文具店」。


 店主は先代から代書業を引き継いだ、鳩子というまだ若い女性。


 近所からはポッポさん(ちゃん)と親しまれています。


 そんな彼女が、客から依頼される手紙の代筆をしたり、近所の人たちと交流したりする春夏秋冬、いや、夏秋冬春の1年間を描いた物語です。


 先代(祖母)から厳しく字を書くことを教わったポッポさん。


 高校で祖母と啀み合うまで、その教えを徹底的に叩き込まれた彼女の、文字や文章、用紙や筆記用具にまでこだわって書くのかという、仕事をするというプロとしてのこだわりがとにかく凄く、全然違う仕事をしている私でも、仕事をするってこういうことだよなと改めて思わされました。



 そういう仕事に対する意識もそうですが、客との接し方などなど、今仕事に慣れてしまった私も、もう一度初心を思い出して明日から仕事をしようと思いました。


 手紙もいろいろあるし、最近ではメールやLINEがあるため、手紙を書くことは殆どありません。


 でも、代書屋って必要だよなぁと思うし、こういう仕事がこれからも残っていってほしいなと切に願いたいほど、ヒロイン鳩子の手紙へのこだわりは読んでいて、ワクワクしました。


 しかし、本作品はヒロイン鳩子が手紙を代筆するだけの話ではありません。


 鳩子には四季それぞれの生活があります。


 当たり前といえば当たり前で、仕事をするためには私生活が必要だし、私生活をするためには仕事が必要です。


 私生活がうまくいけないと仕事もうまくいかないし、仕事がうまくいかないと私生活もうまくいかない。


 そういうものなんだということですが、わかってはいるものの、このワークライフバランスをとるというのはめちゃくちゃ難しい。


 話が逸れましたが、本作のヒロイン鳩子にも現実の私生活があり、その私生活は孤独なままでは成り立たないんだろうなと感じました。


 そして、過去にもいろいろあるし、後悔していることもたくさんある。


 でも、幸せというのは過去でもない未来でもない、幸せに気がついた今にこそあるんだということを改めて思いました。


 そして、たくさんの幸せを集めるんじゃなくて、今、手のひらの上にある幸せを認識し、守りたいと思えるならば全力で守る。


 それが自然にできるようになれれば良いなと思いました。


 金持ちになる。たくさんの人に称賛される。


 そういうことも夢といえばそれまでですが、平凡かもしれない、素朴かもしれない、お金もちじゃないかもしれない、でも、1日1日を一生懸命生きていれば春夏秋冬が過ぎる。


 そしてふとした時に幸せを感じられる。


 生きるということはそういうものなのかもしれないと思う、作品でした。

※ブクログに掲載した感想を転載しております。

 ただ文章を書くだけじゃなく、道具までこだわるというプロっぷり。

 こういう仕事の仕方に憧れるなと思いつつ、生活をするということ、幸せになるということが詰まっているお話です。

 こういう幸せに気が付ける人になりたい。

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