68番石仏は元温泉旅館、70番石仏は現温泉旅館にある
2025年2月に行った台北新四国八十八ヶ所霊場陽明山探索編もこれで最後。第6弾です。
今回は拝めるかどうかわからない68番石仏と、温泉旅館の中にある70番石仏を訪ねます。
台湾台北市には日本統治時代、写し四国霊場が存在していました。その札所として設置された石仏を探索する旅です。
このページは台北新四国八十八ヶ所霊場の基礎的知識がある人向けに書いていますので、よくわからない人は霊場タグの古い記事から読んでみてください。
まずは68番石仏を目指して歩きます
鬱蒼とした森の中に隠れるようにあった56番石仏を参拝した私の次なる目的地は68番石仏です。
まずは中興路を下っていきます。68番石仏から先はほぼ下り道になります。

陽明書屋遊客服務站
陽明書屋遊客服務站を通り過ぎます。陽明書屋の観光案内所です。
陽明書屋というと本屋か?と思うかもしれませんが、元々は1970年に蒋介石が外国の賓客を接待する場所として作った中興賓館という場所でした。
蒋介石の死後は国民党が建国の資料を集め展示する陽明書屋となり、1998年に一般公開された場所です。興味のある人は立ち寄ってみてください。

陽明瀑
クネクネ道を歩いていくと陽明瀑という場所に出ました。滝があるのだろうと思い、ちょっと寄ってみようと思いました。

天氣好的話
陽明瀑の階段を上がって行くと天氣好的話というカフェがありました。
雨の中歩いてきたので、少し疲れたこともあって、ここで休憩することにしました。

天氣好的話の窓辺から
このお店はおっさんが一人で入るのは若干躊躇う感じのオシャレなカフェです。(他の客は若い女の子グループだけでした・・・)
外席も多く、天気が良ければ最高でしたが、建物中の窓辺の席からでも雰囲気はかなり良かったです。

湖山路二段からここを進む
カフェで休憩した後、滝を見に行くのを忘れてまた歩き出しました。
この辺りは陽明山花鐘という花壇や噴水のある陽明山国家公園の象徴的なスポットが近く、多くの観光客を見かけます。
私はそこは目的地ではないので、立ち寄らずに歩きます。
湖山路二段から脇道である湖山路二段37號〜50號の道を進みます。この道を道なりに進めば目的地に行けます。

大坑福徳宮
左手に福徳宮がありました。このブログでも何度か言及したことがあるので、ご存知の人もいると思いますが、福徳宮とは土地公、つまりこの辺りの地域を守る神様です。
道教の神様である福徳正神を祀っています。ここの福徳宮は結構立派な廟なので、地元民からの信仰が厚いのだと思います。

花田花草集
ここは童話の世界観が売りのところで、結婚式場やイベント会場として活用されている花田花草集というところです。
こんな山奥まで人が来るんでしょうかね・・・。
ここも通過してもう少し歩きます。

陽峰古道
ここまでは舗装路でしたが、陽峰古道からは山道になります。
陽明山中にはこのようなハイキングコースがいくつもあり、ここもその一つ。かつては士林方面まで続いていたというこの古道ですが、現在はここから紗帽路まで。
しかし非常に歩きやすい道で、危険な箇所も悪路もありません。山歩きには良い環境です。私以外にも何人かハイキングを楽しむ人たちがいました。
68番石仏に参拝できるのか?

寶山建設招待所
陽峰古道を抜けて紗帽路を左に進むとすぐにあるのがこの宝山建設招待所です。56番石仏からカフェに寄ったりせずに歩いてくれば1時間もかからないはずです。
ここは日本統治時代は、実業家であった山本義信氏の親族が経営する雙葉荘という温泉旅館でした。その建物の一部は今なおここで使われています。
ここの敷地内に目的の68番石仏があります。
招待所とは別荘のことで、つまり宝山建設という会社の管理地ということになります。
企業の管理地ということもあり、勝手に入ることはできません。
方法としてはインターホンで管理人を呼び出し、許可をもらって敷地内に入れてもらい参拝する方法がありますが、ある人からの情報では管理人は以前あるYouTuberに撮影を許可したものの、その後訪れる人が増えてうんざりしているそうです。
怒鳴られて追い返される可能性もあり、人が嫌がるだろうことをわざわざするのは躊躇われたので別の方法を模索しました。
別の方法とはネット上にあった「近くの小道から石仏の見える場所までは行ける」という情報です。
でもその道がどこなのか、どのように行けば良いのかがわかりませんでした。

寶山建設招待所脇の小道
宝山建設招待所入口に向かって右手に細い小道がありました。小道とは言っても獣道のような荒れた道です。
とりあえずここを進んでみましたが、ひどい道でした。
水道管が多く、しかもそこから水漏れしているところが多く、道はぬかるんでびちゃびちゃ。漏れた水が噴水のようになっているところもありました。
しかも滑り落ちて川に転落しそうなところもあります。非常に危険。
それでも頑張ってしばらく進んでみましたが、道は川に向かうどころか山に登っていく感じだったので、途中で諦めて引き返してきました。
もっと先に進めばあるいは川に下る道があるのかもしれませんが、その期待よりも危険度の方が大きかったです。

鼎筆橋
今度は小道から紗帽路に戻り、鼎筆橋を渡ります。この真下が川です。

鼎筆橋脇の小道
鼎筆橋の先に川の方に下りられそうな階段がありました。ここを下りてみます。
しかし、こちらも水道の配管が多く、途中から進むことができなくなります。川を上から見ることはできますが、見渡す限り石仏は全く見えません。
角度的にここから見えない場所にあるのでしょう。
結局、68番石仏を参拝するのは今回は諦めました。

台北新四国八十八ヶ所霊場68番石仏(画像:facebook)
68番の石仏は川沿いの歩道脇にあり、霊場の創設時から場所が変わっていないとされ、保存状態も非常に良いとされています。
人工的な洞窟の中に安置され、燭台や香炉などがそのまま残され、そして洞窟上部には他の石仏にはない和歌まで詠まれています。
いつか一度は見てみたいものです。
気を取り直して70番石仏へ
70番の石仏はここから2kmほど離れた温泉旅館にあります。
紗帽路は名前を変え泉源路となりますが、ここを下っていきます。

龍鳳谷地熱景觀區
左手に龍鳳谷地熱景觀區を見ながら更に下って行き、行義路を左折します。

行義路
行義路はちゃんと歩道があり、苔も生えていません。陽明山に入って一番安全な道です。

福徳祠
また福徳祠がありました。ここを過ぎて次の道を左折します。

櫻崗溫泉會館
櫻崗溫泉會館内に70番石仏は安置されています。
民間の温泉施設の敷地内なので、参拝する方法は2つ。
一つは素直に入浴料(平日200元、休日250元)を払って、石仏に参拝しつつ、温泉を味わってゆっくりする方法。
もう一つはダメもとでスタッフにお願いして、許可を貰って参拝する方法。
私はまずは後者の方法を試みました。そして許可をいただき、参拝することができました。
石仏を見に来る人には参拝させろ、というマニュアルがあるのであれば問題ないですが、それがわからない以上、スタッフによって違う対応をされる可能性もあります。ご注意ください。

台北新四国八十八ヶ所霊場70番石仏
スタッフに案内されてカウンターに向かって右奥に進むと目的の石仏が見えてきました。
しっかりとした台座の上に70番の石仏が安置されていました。

台北新四国八十八ヶ所霊場70番石仏
30年以上前に開店したこの温泉旅館ですが、2005年に改装をしたそうです。
その当時のオーナーは日本統治時代生まれの人で、彼はこの石仏がどのようなものかを知っており、同じく日本統治時代生まれのスタッフとともに、ここにこの石仏を設置したのだそうです。
この石仏はそのスタッフの家の近くにあったそうで、オーナーはこれを自分の温泉旅館に展示し、守り神としたかったのでしょう。
雨風には晒されていますが、ちゃんと掃除もされ、両側に鉢が置かれ、線香も炊かれています。今でも大切にされている様子でした。
70番石仏に参拝できた私は、帰路につきます。
行義路まで戻り、最寄りの行義路三というバス停から石牌駅に向かいました。

台北MRT淡水信義線石牌駅
どの系統のバスでも石牌駅に向かうと思いますが、少なくても536、612、S8、508、508區、S36は必ず行きます。
これで私の陽明山探索は終了です。
劍潭駅をバスで7:40に出発し、山の中を歩き回って札所を探索し、途中で休憩を挟みながら、最後に石牌駅に戻ったのは15:00頃でした。
同じように行動すれば徒歩でも、あなたも1日で巡拝することができると思います。
徒歩移動距離は20kmほどだと思いますが、平地ではなく山の中での移動なのでアップダウンがあります。歩くのが苦手な人はもう少し時間がかかるかもしれません。
四国霊場の歩き遍路経験者なら、多分余裕です。
台北新四国八十八ヶ所霊場陽明山編PART6まとめ

台北新四国八十八ヶ所霊場70番石仏
今回の陽明山探索で51番、64番、48番、55番、45番、56番、70番の石仏に参拝できました。
これ以上の探索は現時点では難しいですが、現在非公開の石仏もいつか公開されることがあると思います。
その時また参拝できれば良いなと思っています。
このブログにある台北新四国八十八ヶ所霊場の情報は、歴史研究、遍路研究の側面もありますが、旅行記でもあり、また参拝ガイドブックでもあります。
台北新四国八十八ヶ所霊場に興味のある日本人もいるかと思いますが、石仏は日本ではなく台湾にあります。
台湾は日本だったことがあったにしろ、今は外国です。日本とは勝手が違います。
そこでこのブログでは台湾に行ったことがない人でも参拝できるように、最寄駅やルートも記しています。
どこかの誰かの参考になれば嬉しいです。何か質問などありましたら、いつでもどうぞ。
さて、次のページでは私は台北新四国八十八ヶ所霊場の残された石祠2ヶ所と、台北新四国八十八ヶ所霊場の石仏にそっくりな石仏があるという場所を訪れました。(続く)
台北新四国八十八ヶ所霊場
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