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山中にひっそりと眠る台北新四国八十八ヶ所霊場56番石仏
台北新四国八十八ヶ所霊場は日本人が台湾に創設した写し霊場ですが、終戦後日本人が引き揚げたため、廃絶してしまいます。
しかし主に台北市内にその痕跡が残され、札所となっていた石仏もいくつかは現存します。
今回は石仏を訪ね陽明山を探索するシリーズ第5弾です。
このページでは台北新四国八十八ヶ所霊場についての一定の知識があることを前提にお話ししますので、よくわからない人は霊場タグの古い記事からお読みください。
45番石仏参拝後、まずはランチ
44番石仏は残念ながら見ることはできませんでしたが、大切に保存されていた45番石仏を参拝した私は、次に46番と56番の石仏を訪れるべく歩きました。
時間は11:00頃、朝早かった上に、ずっと歩いていたのでお腹が空きました。
何か良さそうなお店はないかなと思っていると、見つけました。

野菜屋拉麺
野菜屋拉麺というお店。周辺には他に適当な飲食店がないですし、調べるとなかなか評価の高いお店だったこともあり、ここでランチに。
隣は八百屋だったので、八百屋の野菜を使って拉麺を提供するという感じで、同じ経営なのかもしれません。
店内も綺麗で、メニューと価格もわかりやすく壁に札が下がっています。悪くない雰囲気です。

牛肉野菜拉麺
頼んだのは野菜入りの牛肉麺。
柔らかい牛肉とたっぷりの野菜、牛肉のスープもすっきりしていて美味しく飲み干せます。麺は沖縄そばに近い感じで、これまた美味。
かなり美味しかったのですが、コスパはイマイチかな。これで250元はちょっと高いと感じてしまう。
台北はどこも物価が高いですね、仕方ないです。こんな辺鄙な場所でも高い、いや、こんな山の中だからこそちょっと高いのかもしれません。
なお、このお店はトイレも借りられます(2階にあります)。
46番石仏はあるのか?
ランチして少し休憩したので、再び探索の旅へ。と言っても、46番石仏はこのお店からすぐの場所です。
歩いて1分もかかりません。
46番石仏の場所はこの辺りです。
野菜屋拉麺から目と鼻の先です。

台北新四国八十八ヶ所霊場46番石仏があった場所
ここは民家敷地内の庭にあったのですが、2025年1月になって「無くなっている」という情報がありました。
そして、私が行った時も石仏はありませんでした。
庭の手入れのために一時的に撤去したかもという話もありましたが、これはこの民家自体が引っ越しするにあたり、石仏も一緒に持って行った、そして庭も更地にした、という状況の印象です。
台北新四国八十八ヶ所霊場46番石仏(画像:facebook)
かつては上の画像のように庭の片隅に安置されており、金網越しに見ることができました。
今は残念ながら円形の台座のみが残されていました。
個人所有なので仕方ないのですが、またいつかどこかで公開されることを切に願います。
56番石仏は誰も来ないような山の中
気を取り直して次の目的地である56番の石仏を目指して歩きます。ちょっと遠くて1時間は歩きます。
竹子湖路(陽金公路)を歩きます。

前山公園遊泳池
左手に苔むした庭が見えました。小雨が降っていたので、余計に綺麗に見えたのかもしれません。

竹子湖路(陽金公路)
陽明山国家公園遊客中心のあたりはバスやタクシーも走っており、人もちらほらいましたが、そこを過ぎるとたまに登山口がある程度で、特に何もない道が続きます。

何かのオブジェの残骸
馬車に乗った人のオブジェの残骸らしきものがありました。これ何でしょう?
そして中興路を左折すると、もう間も無くです。

胡宗南墓
胡宗南の墓が右手に見えてきますが、ここまで来ると行き過ぎです。ですが、ここは目印になります。
場所はこの辺りです。
胡宗南は中国国民党の軍人で、蒋介石の配下であった人物。日中戦争や国共内戦で活躍し、戦後は蒋経国と共に台湾に渡り、最後は台北市内で息を引き取りました。
そんな人のこんな大きなお墓が誰も来なさそうな山の中にあるのはちょっと不思議です。

台北新四国八十八ヶ所霊場56番泰山寺地蔵菩薩石仏入口
胡宗南のお墓から10メートルほど手前に見逃しそうな小道があります。
一応古道で、かつては多くの人が歩いたそうですが、現在はほぼ獣道です。ここを入って25メートルほど進むと目的の56番石仏があります。

台北新四国八十八ヶ所霊場56番泰山寺地蔵菩薩石仏のある小祠
この石仏が日本統治時代にここにあったという老人の証言もあり、この石仏は霊場の創設当時から場所は変わっていないと推察されています。
小祠自体は戦後に台湾人が建てたものと推測されていますが、こんな古道にあったとは驚きです。日本統治時代はまだ人通りがあったのでしょうか。
このような山の中ですが、誰かが管理しているらしく、祠の中は綺麗です。

台北新四国八十八ヶ所霊場56番泰山寺地蔵菩薩石仏
石仏の横には小さな仏像があります。誰かがかなり前に置いて行ったようで苔も生えていました。
香炉や燭台などもありますが当時のものではなく、後年誰かが置いたもののようです。
台座には石仏を寄進したであろう八木さんの名前が見えますが、他は読み取れません。
周辺は鬱蒼とした森のなかで、廃れた古道の脇。
この小祠を知る人以外は誰も近寄ることがなさそうな場所ですが、小祠内を清掃し、維持管理している人に頭が下がります。
今後もきっと石仏を守ってくれるものと思います。ありがとうございます。
台北新四国八十八ヶ所霊場56番泰山寺地蔵菩薩石仏まとめ

台北新四国八十八ヶ所霊場56番石仏の周辺
56番石仏は誰もいない山の中で日本人が来なくなった後も、人知れず数十年存在し続けていた石仏です。
小祠の手前は草が刈られ、参拝しやすくなっています。
この場所で100年。中興路沿いならまだしも、なぜこんな古道に石仏を置いたのかは分かりません。
でも結果論ですが、ここだからこそ廃棄されたり、盗まれたりせずに残ったのかもしれません。
私はこの後、68番と70番の石仏を見るべく、再び歩きます。(続く)
台北新四国八十八ヶ所霊場
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