また、気になる記事を見つけました。
あるメガバンクでは、報酬制度を見直し、優秀な若手社員を抜擢するため、勤続年数に応じて昇進する仕組みを全廃するとのことです。その結果、勤続が長くても職務内容によっては減給となる人もいるようです。
しかし、若手に限らず優秀な社員を厚遇することはある意味当たり前で、それが大きなニュースとして取り上げられること自体不思議な気がします。それよりも、まだ年功による処遇が色濃く残っていることも理解しがたいところです。
銀行に限らず大企業においては、一昔前から成果主義が浸透し、試行錯誤を繰り返しながらも、年齢や勤続などの年功的な要素から能力や成果を重視した人事制度に切り替わっているはずです。そのような中での年功序列の全廃は、今後浸透するかどうか興味のあるところです。
もっとも、年功序列の全廃自体は進めるべきですが、今までの制度に便乗して昇給してきたベテラン社員、いわゆる「働かないおじさん」にとっては、頭の痛い話です。つまり、優秀な若手社員を抜擢する傍らで、働かないおじさんをどのように処遇するかが年功序列全廃のポイントです。働かないおじさんに必要以上に配慮すれば、優秀な若手社員にとってはモチベーションの低下要因となり、逆に冷遇し過ぎるとベテラン社員のモチベーションに影響します。いずれの場合も制度の存続が危ぶまれます。
評価においては、単純な年齢や勤続といった年功的な要素は排除すべきですが、経験に伴う能力の向上は年功序列が全廃したとしても残り続ける評価要素です。
日本企業においては完全な成果主義は馴染み難く、それが行き過ぎるとチームプレーを行う上での弊害も出てきます。年齢や勤続といった単純な年功序列は衰退することは間違いないですが、経験は新たな序列(「経験序列」)として今後も残っていくでしょう。優秀な若手社員を抜擢しつつ、ベテラン社員の経験を活用することで双方の強みを活かし、お互いをリスペクトすることで相乗効果が得られるのです。
今回でちょうど100投稿目となります。このブログの新たなステージに向けての起点となるよう、今後も発信を続けます。