日本はもちろんアジア圏でもファンの多い、深夜のグルメドラマ『孤独のグルメ』。
その人気から原作者公認のリメイク版が台湾で製作されていたことをご存知でしょうか。
今回は日本ではなかなか視聴できない台湾版『孤独的美食家』全12話から、台湾人の視点で選ばれた台湾グルメを紐解いていきたいと思います。
『孤独のグルメ』台湾出張編での共演
『孤独のグルメ season5』で主人公の井之頭五郎(松重豊)が海外出張で初めて訪れた台湾。
ここで台湾版の主人公伍郎(趙文瑄)との共演を果たしました。
2015年に2週にわたって放送された宜蘭と台北の飲食店には、放送から10年近く経った今でも多くのファンが聖地巡礼に訪れています。
日本人観光客向けに五郎特餐・五郎套餐(五郎セットの意)といったドラマの再現メニューが用意されている店もあります。
台湾版『孤独的美食家』とは
食欲をそそる【予告動画(1分ver.)】
『孤独のグルメ』の台湾版『孤独的美食家(グードゥーダメイシージャー)』は、2015年に製作されたウェブドラマ。
主に中国からのネット配信(优酷、土豆网など)のため、劇中の字幕もすべて簡体字中国語が使用されています。
台湾版と日本版との比較
- ●台湾のゴローは「伍(ウー)さん」
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日本版と同様、台湾版の主人公伍郎(ウー・ラン)も「伍郎的店」という輸入雑貨を扱う会社を個人経営しています。
ドラマの中で「伍先生(ウーさん)」と呼ばれるシーンがありますので姓が伍、名が郎という設定のようです。
- ●ドラマシーンに力を入れている
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日本版でのドラマシーンは冒頭にわずかですが、台湾版はヒューマンドラマの要素がやや長く、その点については国内外で賛否両論あるようです。
- ●劇中のBGMは日本版と同じ
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ドラマの要所で流れるBGMは日本と同じ久住昌之氏(原作者)が所属する「スクリーントーンズ」の楽曲。製作チームの本家へのリスペクトが感じられる瞬間です。
- ●本編後のコーナーにも違いが
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本編後のコーナーは日本版では原作者久住昌之氏の「ふらっとQUSUMI」がおなじみですが、台湾版は上海のアイドルSNH48のメンバーによる台北案内になっています。
原作漫画にそっくり?主演の趙文瑄
台湾版の伍郎を演じるのは、1960年台湾生まれの俳優、趙文瑄(ウィンストン・チャオ)。
語学が堪能だったため、若い頃はノースウェスト航空や中華航空に勤めていたという異色の経歴の持ち主です。
日本版の五郎とは異なるタイプですが、作品が公開されるやいなや「原作漫画の五郎にそっくり」と台湾や中国で話題となりました。
そんな趙文瑄ですが、アジアの映画界ではかなり有名な人物。
代表作は、台湾ニューシネマと呼ばれる潮流にあった『ウェディング・バンケット(1993年)』や『宋家の三姉妹(1997年)』など、私もかつて夢中になった作品ばかりです。
そして、なぜか歴史作品では孫文を演じる機会が多く「趙文瑄を見たら孫文をイメージしてしまう」と言われるほどだそう。
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台湾版『孤独的美食家』全12話まとめ
毎回マイ箸を持参して外食する環境意識の高い台湾版の伍郎。
台南出身の伍郎が台北の街でどのようなグルメを選んでいるのか早速チェックしてみましょう。
(※各話30分・全12話)
※定休日や営業時間など、最新情報は公式サイトよりご確認ください。
画像出典:优酷
第一集:「大隱酒食 小隱私厨」の豬油拌飯
永康街にある家庭料理のお店。大人数が可能な大隱酒食と常連が通う小さな小隱私厨があります。
第二集:「上引水産」の上引握壽司
濱江市場内にあるスタイリッシュな複合施設。寿司バーやシーフードBBQなどが楽しめます。
第三集:「郭董藥燉排骨」の藥燉排骨
スペアリブをじっくり煮込んだ漢方スープは、台湾人に長く愛されてきた伝統的な料理です。
第四集:「福昌餐廳」の白斬雞
人気のローカル線・平渓線平渓駅にある食堂。弾力ある地鶏を使った白斬雞が看板メニューです。
第五集:「三圓自助餐」の家常菜
台湾人にも大好きな人が多いビュッフェ式食堂。家庭的なおかずをいくつも選べるのが楽しい。
第六集:「黃平洋鐵道便當」の懷舊雞腿飯
店主は元野球投手という人気店。現在は離婚ゴシップが影響し店は改名、前妻が経営しています。
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第七集:「鴨肉扁」の鵝腿肉米粉
西門町で60年以上の老舗。ガチョウの部位を選び麺かビーフンの上にのせるシンプルメニュー。
第八集:「台南擔仔麵 海鮮餐廳」の擔仔麵
屋台料理の店名からは想像できない高級海鮮レストラン。2019年にはミシュラン一つ星を獲得。
第九集:「小凱悅 南村小吃店」の清蒸螃蟹
眷村(中国からの戦後移住者の集落)で守られてきた味の店。麵類や、秋が旬の蒸し蟹が人気。
第十集:「巴登咖啡」の咖啡套餐
台湾産コーヒー専門店。コーヒー他、咖啡醤油なる調味料を使ったランチとコーヒーゼリーが美味。
第十一集:「北大行小籠包」の小籠包
地元の人が通う小籠包の名店。スープ入りの小籠湯包と、定番の小籠包は別のものなので注意。
第十二集:「奇妙福州乾拌麵」の乾拌麵
富錦街の「台南意麵」で乾意麵を食べる設定でしたが、実際のロケ店では乾拌麵となります。
台湾人の視点で制作された『孤独のグルメ』には、台湾人が本当に食べたいと思っているグルメがたくさん詰まっていました。
日本での視聴はなかなか難しいと思いますが、機会があればぜひ『孤独的美食家』をご覧になってみてください。