トラクターの作業機・アタッチメントの種類一覧|使用用途・特徴・主な取扱いメーカーなど

更新日2023年08月26日

トラクターの作業機・アタッチメントの種類一覧|使用用途・特徴・主な取扱いメーカーなど

 

トラクター単体だけではけん引車としての役割しかなく、作業機がなければ農作業を行うことはできません。

作業機を付け替えることで、耕うん、整地、播種、除草、農薬・肥料散布、収穫、運搬と様々な作業が可能になります。

「アタッチメント」や「インプルメント」とも呼ばれるトラクターの作業機は、どのような種類があるのか解説していきます。

 

 

ロータリー

コバシのハイパーロータリ

出典:小橋工業「ハイパーロータリ SE SERIES」

 

ロータリーは、トラクターの代表的な作業機の一つで、主に田畑を耕すためのものになります。

ロータリーでは、複数の耕うん爪を回転させ、起こした土や雑草を細かく砕き、耕うん・整地などが行えます。

作物を育てるには、まずこの耕起作業が必要不可欠です。

土を柔らかくし空気を含ませ乾燥させることにより、作物が育ちやすい土壌を作ることができる「乾土効果」が得られます。

また、肥料をまいた土をロータリーで撹拌させることで、均等に肥料が行き渡り、より良い土壌作りが可能になります。

 

▼販売している主なメーカー

コバシ、ニプロ、クボタ、ヤンマー、イセキ、ササキコーポレーションなど

 

 

プラウ

スガノのリバーシブルプラウ

出典:スガノ農機「リバーシブルプラウ」

 

プラウは、下層の土を掘り起こし表面の土と入れ替え、良質な土壌作りのために使用される作業機です。

この作業は「天地返し」といわれ、表面の雑草や病原菌などを下層に埋め、新鮮な下層の土を表面に反転させることで、病害の抑制、排水性の向上などの効果が得られます。

プラウはロータリーより深く耕すことができ、作物の根は地中深くまで張ることができるので、作物の成長促進の効果も得やすくなります。

ただ、プラウの使用後は、土が大きく掘り起こされた状態となっているので、ロータリーやハローなどに付け替えて整地する必要があります。

また、プラウは深耕に特化していてロータリーのような細かい砕土はできないので、田畑の状態応じて使い分けが必要です。

 

▼販売している主なメーカー

スガノ、ニプロ、ササキコーポレーション、カツノ技研など

 

 

サブソイラー

スガノのサブソイラ

出典:スガノ農機「サブソイラ」

 

サブソイラーは、心土破砕機ともいわれ、チゼル・ナイフを地中深くに差し込んだままけん引し、耕盤層(トラクターなどの重みで硬くなった層)を破砕する作業機です。

この耕盤層があると、大雨が降った際、地中で水の逃げ場がなくなり圃場が冠水するリスクが高くなってしまいます。

サブソイラーは、浸水・冠水防止ために、排水性を高め改善する目的で使用されています。

また、地中に空気を送り込むこともできるので、土壌の改良にも期待でき、作物の根が伸びやすくなります。

 

▼販売している主なメーカー

スガノ、ニプロ、コバシ、ヤンマー、クボタ、IHIアグリテック、広洋エンジニアリングなど

ハロー

ニプロのドライブハロー

出典:ニプロ松山「ドライブハロー HR30シリーズ」

 

ハローは、砕土機とも呼ばれ、土を細かく砕いたり、田畑の表面を均した(ならした)りする作業機です。

主にプラウを使用した後の砕土・整地作業や、水田の代掻き(しろかき)で使用されます。

代掻きは、水をはった田んぼの土を細かく耕して、土の表面を平らに均す作業です。

これにより、苗が植えやすくなるだけでなく、均一な苗の生育、雑草の繁殖の抑制などの様々な効果に期待できます。

ロータリーをハローの代用とすることがありますが、ハローほどのきれいな整地はできません。

出番が少ないハローですが、作物の品質向上のためには、持っておきたい作業機です。

 

▼販売している主なメーカー

コバシ、ニプロ、ササキコーポレーション、クボタ、ヤンマー、イセキ、スガノなど

 

 

畦塗り機

コバシの畦塗り機

出典:小橋工業「畦塗り機 ZR SERIES」

 

畦塗り機(あぜぬりき)は、田んぼの水を外に流れ出させないために、田んぼを囲む壁を土で塗り固める時に使用する作業機です。

これを「畦塗り」といい、水稲栽培には必須の作業になります。

モグラなどの影響で壁に穴や亀裂がある場合があるので、必ず塞がなくてはなりません。

畦塗りは人の手でやることもできますが、かなりの重労働となるので、畦塗り機を使用して短時間で行うのが一般的です。

 

▼販売している主なメーカー

コバシ、ニプロ、ササキコーポレーション、冨士トレーラー、クボタなど

 

 

播種機

アグリテクノサーチの播種機

出典:アグリテクノサーチ「高速播種機 クリーンシーダNTP」

 

播種機(はしゅき)は、その名の通り畑に種を播くための作業機になります。

英語ではシーダー(シーダ)といい、播種機の商品名にも付けられています。

播種機には、手押し式、自走式、据置型、けん引タイプと様々あり、広い圃場で種まきをする場合は、トラクターに装着するけん引タイプを使用します。

播種機を使用すれば、一定の深さや間隔で正確に種まきができ、作業時間の短縮や作物の品質の向上にも繋がります。

また、施肥播種機は、種まきだけでなく同時に肥料も散布できるので、さらに作業効率が上がりました。

 

 

▼販売している主なメーカー

アグリテクノサーチ(アグリテクノ矢崎)、向井工業、ニプロ、スガノ、クボタ、ヤンマー、タカキタ、ササキコーポレーション、イセキなど

畝立て機

クボタの成形ロータリ

出典:クボタ「超砕土成形ロータリ」

 

畝立て機(うねたてき)は、野菜を育てる場所を作るために土を盛り上げる「畝立て」を効率よく行うための作業機です。

ロータリーに取り付けるタイプや、ロータリーと一体型の整形ロータリーがあります。

耕運機や管理機のアタッチメントとして取り付けるものもあり、主に小規模な農家や家庭菜園をしている人が利用しています。

また、マルチ張りや播種が同時に行えるものもあるので、労力や負担はさらに軽減されます。

 

▼販売している主なメーカー

クボタ、ヤンマー、イセキ、小川農機、ササオカ、鋤柄農機など

 

 

マルチャー/マルチ

ササオカのマルチャー

出典:ササオカ「だい地くん タイプRF バージョンN」

 

マルチャーは、畝を黒や白のフィルムで覆い隠す「マルチ張り」を効率よく行うための作業機です。

マルチ張りには、地温の上昇や保温、水分の保持、雑草の繁殖の抑制などの効果があります。

マルチャーはトラクターに装着するタイプ、耕運機や管理機に装着のタイプなどがあります。

また、畝立て機と一体型となったマルチャーを使用すれば、同時にマルチ張りが行え、作業時間が大きく短縮することが可能です。

 

▼販売している主なメーカー

クボタ、ヤンマー、イセキ、ササオカ、鋤柄農機など

 

 

カルチ/カルチべーター

ニプロのロータリーカルチ

出典:ニプロ松山「ロータリーカルチ RK305UV」

 

カルチ(カルチベーター)は、畝と畝の間に爪状の刃を立てて走行し、中耕、除草、培土などを目的とした作業機です。

カルチにはいくつかの種類があり、ロータリーカルチやディスクカルチなどがあり、中耕ローターや中耕ディスクとも呼ばれています。

ロータリカルチは作業スピードは遅いものの丁寧な仕上がり、ディスクカルチはロータリーカルチより約5倍以上の作業スピードで適期を逃しません。

また、カルチはトラクターの作業機だけでなく、乗用管理機の作業機でも販売されています。

 

▼販売している主なメーカー

ニプロ、コバシ、サン機工、キュウホー、日農機製工(ニチノー)、イセキなど

 

 

フレールモア

ササキコーポレーションのフレールモア

出典:ササキコーポレーション「フレールモア KMシリーズ」

 

フレールモアは、トラクターに装着して草刈りをする作業機です。

草刈機は、刃の形状によってロータリー式とハンマーナイフ式とに分かれます。

フレールモアはハンマーナイフ式で、爪を高速で回転させながら草を巻き込んで刈り取ってくれます。

また、刈りながら細かく粉砕してくれるので、草を集めて捨てる作業がいりません。

刈払機に比べ大型となるので、広範囲の草刈りを素早く終えることができます。

 

▼販売している主なメーカー

ニプロ、コバシ、ササキコーポレーション、IHIアグリテック(スター農機)、ヤンマー、イセキ、三陽機器など

 

 

ブームスプレーヤ

共立のブームスプレーヤ

出典:共立「ブームスプレーヤ BSM1259S/3-YN」

 

ブームスプレーヤは、広範囲に農薬などを散布して、ほ場内の消毒や除草を行うための作業機です。

薬剤が入る大きなタンクとブームと呼ばれる長い腕を持ち、トラクターの左右または片側にブームを伸ばし一気に散布します。

動力噴霧器を使って畑の中を歩いて行っていた作業を、トラクターに乗りながらエアコンの効いたキャビン内で快適に行えるようになるので、作業時間の短縮や労力を大幅に減らせるようになりました。

また、キャビン内であれば、農薬の吸い込みの心配もほとんどないので安心です。

 

▼販売している主なメーカー

丸山製作所、共立、クボタ、東洋農機、タカキタなど

 

 

ブロードキャスタ

タカキタの肥料散布機ブロードキャスタ

出典:タカキタ「ブロードキャスタ BC2001D」

 

ブロードキャスタは、主に粒状の肥料や土壌改良剤などを広範囲に散布する作業機です。

肥料を入れるホッパーは円錐型が多く、下部のスピンナーの遠心力で全面散布することができます。

ブロードキャスタは、肥料散布に掛かる作業時間を大幅に減らすことができ、農家の負担を軽減してくれます。

ただし、使用時の往復した際に散布場所が重なることがあり、肥料のムラができてしまうので均一の散布には向いていません。

そのため、無駄に消費してしまう肥料が増え、コストがかかってしまうデメリットがあります。

 

▼販売している主なメーカー

タカキタ、ササキコーポレーション、ニプロ、IHIアグリテック(スター農機)、ビコン、東洋農機など

 

その他の肥料散布の作業機

 

ライムソワー(ライムソーワ)

ライムソワーは、ブロードキャスタと同じく肥料散布の作業機です。

もともとは粉末状の肥料専用でしたが、現在は粒状の肥料にも対応している機種が多くあります。

ブロードキャスタと違う点は、散布幅や施肥量の調整ができ均一な散布が可能となることです。

また、無駄が少ない施肥が可能になったことで、適切な肥料コストに抑えることができます。

しかし、最大の散布幅はブロードキャスタに比べ狭いので、作業時間はその分長くなってしまうのが唯一のデメリットになります。

それぞれに長所と短所があるので、ほ場の広さや作物などの状況によって使い分けされています。

 

▼販売している主なメーカー

タカキタ、ニプロ、ササキコーポレーション、東洋農機など

 

 

マニュアスプレッダ

マニュアスプレッダは、大量の堆肥を散布する際に使用する作業機です。

ブロードキャスタとライムソワーと違うところは、肥料の種類が堆肥などの有機物という点です。

トレーラーの形をした荷台部分に堆肥を入れ、その後方から広範囲に散布します。

トラクターでけん引するタイプと、自走式のタイプがあります。

 

▼販売している主なメーカー

タカキタ、デリカ、IHIアグリテック(スター農機)、ササキコーポレーションなど

 

 

収穫機/掘取機

ニプロの堀取機

出典:ニプロ松山「堀取機 BLシリーズ」

 

収穫機は、掘取機(ほりとりき)とも呼ばれ、トラクターをゆっくり走行させながら畑の底をすくうようにして、作物を掘り起こす作業機です。

主に、サツマイモ、ジャガイモなどのイモ類やネギ、玉ねぎ、にんにくなどの収穫で使用されます。

収穫機には、トラクターの作業機として取り付けるタイプ以外に、管理機のアタッチメント、自走式・乗用型の収穫機などがあります。

作物によって収穫方法が異なるため、汎用性が高いものは少なく、1種類の作物専用の収穫機がほとんどです。

農作業において、手作業での収穫作業は大きな労力が必要となるので、大多数の農家は収穫機を導入しています。

 

▼販売している主なメーカー

ニプロ、ササキコーポレーション、広洋エンジニアリング、上田農機など

 

 

ロールベーラ

タカキタのロールベーラ

出典:タカキタ「ロールベーラ CR-981N」

 

ロールベーラは、刈り取られた牧草やわらなどを拾い上げて、円柱状に圧縮して成形・梱包ができる作業機です。

それらはロールベールや牧草ロールと呼ばれ、家畜の飼料になったり、寝床として利用されます。

成形した後に梱包されるものについては、サイレージ作りに利用されます。

水分を多く含んだ牧草などを集めて密閉することで、発酵が進み、長期保存も可能な家畜にとって栄養価の高い飼料(サイレージ)となります。

 

▼販売している主なメーカー

タカキタ、IHIアグリテック(スター農機)、ジョンディア、ウェルガー、クバンランドなど

 

 

フロントローダー

三陽機器のフロントローダー

出典:三陽機器「フロントローダ ロードマスター GLDシリーズ」

 

フロントローダーは、トラクターの前方に装着し、主に収穫物・飼料などの運搬や積込みなどで使用される作業機です。

トラクターの左右から前方に張り出した2本のアームを操作し、先端のアタッチメントを変えれば様々な作業をこなします。

アタッチメントには、バケット、ベールグリッパ、フォークなどがあり、人の手では持てないような重いものでも軽々持ち上げてくれます。

また、雪の多い地域では、バケットなどで除雪作業にも利用できるため、農作業以外でも重宝されています。

 

▼販売している主なメーカー

三陽機器、丸久製作所、クボタ、ヤンマー、イセキ、トリマなど

 

 

トレーラー

サンワのコンバイントレーラー

出典:サンワ「コンバイントレーラー MHT-JL4000EMK」

 

トレーラーは、農業用トレーラーやコンバイントレーラーなどと呼ばれ、トラックやトラクターなどでけん引する動力の付いていない運搬車両です。

主にコンバインや田植機のような農機具をほ場まで運搬したり、農作物や肥料などの運搬に使用されます。

一つ注意点が、条件によっては新たに「けん引免許」を取得しなくてはいけないことです。

トレーラーと積載物を含め車両総重量が750kgを超えて走行する場合には、けん引免許が必要となりますので、あらかじめ確認が必要となります。

 

▼販売している主なメーカー

サンワ、IHIアグリテック(スター農機)、冨士トレーラーなど

 

 

 

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代表取締役 道地竜史
農機具買取モノリーフ代表取締役
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