赤ちゃんの食べる準備
食べることって、いつからできるようになるのでしょうか。
生まれてすぐは、ものは食べられないですよね。
歯が無いからでしょうか。
いや、それだけが理由ではないですよね。
じゃあ、いつになったら食べられるようになるのでしょうか?
離乳食や補完食と言われているものは、いつから必要なのでしょうか?
先日、「育もぐPro」さんによる「食べる」準備についての研修を受けたので、なるほどと思ったことなどを書き留めておこうと思います。
母乳は本能で飲む
赤ちゃんは、口や喉の構造が大人とは少し異なっています。
呼吸をしながらでも乳汁が飲めるようになっているし、哺乳反射が備わっているので、
本能で母乳を飲むことができるのです。
そうそう、生まれたての赤ちゃんをママのお腹に乗せてあげると、自らおっぱいを探しに行って飲むんですよ。とても神秘的ですよね。
この初めてのおっぱいは、赤ちゃんが目で見て探すのではなく、匂いや触覚で探し当てていると思われます。赤ちゃんの嗅覚や触覚はすごいんです。
哺乳反射は、赤ちゃんが生きていくために備えられた、赤ちゃんの哺乳のための反射。
ですので、この反射は成長と共に無くなっていくものです。
成長と共に、反射ではなく、自らの意思による飲み方に変わっていくんですね。
哺乳反射とは
哺乳反射には、吸てつ反射、口唇(捕捉)反射、探索反射、舌挺出反射、咬反射などがあります。
反射は、意思とは関係のない動きなので、しようと思ってするものではないし、したくなくてもしてしまう動きです。
例えば、赤ちゃんにおっぱいを飲ませるときに、頬をツンツンと触れてあげるとツンツンされた方を向いて口を開けてくれます。これは、探索反射です。
そして、乳首が口の中に入ると、一生懸命に吸い始めます。そう、吸てつ反射です。
乳汁が口の奥に流れていけば、嚥下反射で飲み込みます。
時々、おっぱいを飲んでほしいのに口をすぼめてしまう赤ちゃんがいますが、これは、口唇反射のためなのですね。
哺乳反射をざっくりまとめるとこんな感じです。
・吸てつ反射:口に入ってきたものを吸う
・探索反射:口角や頬に触れると、刺激された方向に頭を回し、口を開く
・口唇(捕捉)反射:口唇に何かが触れると、口唇をすぼめて前に突き出し、触れたものを口唇で挟み込んで捉えようとする
・舌挺出反射:口に形のあるものを入れようとすると、舌で押し出す
・咬反射:奥の歯茎にものが触れると、口を閉じて顎をかみしめる
・嚥下反射:乳汁が口の奥に送り込まれると飲み込む
離乳食・補完食の必要性
ところで赤ちゃんは、初めは母乳やミルクだけで必要なものが賄えるのですが、
月齢が進んでくると、そういうわけにはいかなくなってきます。
ママが変わらず栄養のあるお食事をしていれば、母乳の栄養価が下がるとか、質が下がるということは一切ないのですが、
赤ちゃんに必要なエネルギーやその他の必要な栄養素がどうしても不足してきてしまうので、「離乳食・補完食」という形で補っていく必要があるのです。
必要なエネルギーは、6~8か月で200kcal程度不足してくると言われているので、この時期はいつもの母乳やミルクにプラスして200kcal程度補えるのが理想かもしれません。
ただ、離乳食・補完食 を開始できる時期には、個人差があります。
6か月で始めたいと思っても、うまくいかないことはよくあります。
まだ食べ物に興味を持ってくれなかったり、舌挺出反射が残っていたりする場合は、
もう少し成長を待ってからにしてあげましょう。
離乳食・補完食 開始の目安
ということで、離乳食・補完食を始める目安は以下の通りです。
・首がしっかり座っていること
・5秒以上座れること
・食べ物に興味を示すこと
・哺乳反射が減弱していること。
いかがでしょうか。
そもそも、食べるという行為は、実はかなり高度な事なんです。
まず食べ物を認識する。食べ物を捉え掴む。それを口まで持ってくる。口を開けて食べ物を口に入れる。口を閉じる。噛んですりつぶす。口の中で食べ物を移動させる。食べ物を口の中でまとめる。飲み込む。などなど、とても複雑な動きが合わさってようやく食べることができるのです。
大人になると当たり前にできてしまっているので、初めての時がどうだったか思い出せる方は少ないと思いますが・・・。
口腔機能ってとても大事で、脳の発達とも関係しているのだそうです。
そして、小児期にしっかり口腔機能が獲得できていないと、老後の機能低下も顕著になるのだそうです。
大人が食べ物を口まで運んであげて、食べさせてあげることもあると思いますが、
やっぱり、自分の意志で、自分の力で自ら食べるということを大切にしていきたいですよね。
やってあげてしまうことは、機能発達の機会や発達そのものを阻害することになるのだなと思います。
食べる準備、食べるためのトレーニング
食べる準備は、食べられるようになる時期よりももっと前から始めましょうとのことです。
何事も早ければいいとは私は思いませんが、
お口の機能に関しては、早いうちからトレーニングできていた方が良さそうですね。
赤ちゃんの口は大人よりもとても敏感だと言われていますよね。
実際に口からの感覚情報は、大人は30%ですが、乳児は80%もあるのだそうです。
何か物があると、赤ちゃんは口に入れてそれがどんなものなのかを確かめますよね。
そして、手でも触って、目でも見て、また口に入れて確かめる、というように。
先ほど述べた生まれたての赤ちゃんも、お口で探っておっぱいを見つけていると思われます。
そして、見つけたおっぱいを一生懸命に吸って、いろんなことを学習します。
お口と舌の動きが大事
ところで、おっぱいというのは、口を大きく開けてしっかり咥えることができると飲め、
舌もしっかり絡めることで上手に飲み取ることができます。
でも、お口が小さい赤ちゃんや、なかなか大きく開けてくれない赤ちゃん、舌をしっかり出してくれない赤ちゃんがいるのも事実。
赤ちゃんに「お口を大きく開けて」とお願いしても、そう簡単には通じないですよね。
困ったなぁ・・・と悩んだら、口や舌の動かし方を実際に見せてあげるのが良いと思います。
模倣学習をさせるのです。
実際に、大人が口を大きく開ける様子や舌を前に突き出す様子を見せることで、赤ちゃんは口や舌の動かし方を学ぶことができるのです。
赤ちゃんは見ています
時々、生まれてすぐに赤ちゃんって目は見えているんですか?と聞かれることがありますが、ぼんやり見えていると言われています。
目から20㎝くらいの距離にあるものが見やすいようで、特に、人の目や乳房などのようにコントラストがはっきりしたもの、赤い色のものを好んで見ると言われています。
ですので、その距離で口を大きく開けたり、舌をベーっと出したりして、見せて教えてあげると良いということですね。
また、大人がおいしそうに食べている様子も見て学びます。
楽しい食卓は、赤ちゃんが食べ物に興味を持つことにもつながりそうですね。
感覚刺激はやはり重要
そして、食べるための機能を発達させるためには、口腔のマッサージなどといった感覚刺激をしていくことがとても大事だそうです。
唇のマッサージ、口の中の頬粘膜のマッサージ、舌のマッサージなどです。
これは、歯磨きの練習にもなりますよね。
早いうちから慣れておくと、歯磨きも嫌がらずにできるようになるのかもしれませんね。
感覚刺激は脳の発達にもつながると言われているので、たくさん触ってあげることってやっぱり大事ですね。
食べものに慣れる
それから、育もぐProさんの研修では、野菜舐めが推奨されていました。
飲んで詰まっちゃったら危ないのでは?と一瞬不安に思いましたが、
しっかり洗った大きくて硬めの野菜(※ピーマンやセロリなど、噛みちぎったり飲み込んだりはできないようなもの)を手に持たせ、舐めさせて慣らしていく、というものです。
以前受けた他の研修でも、歯固めの代わりに、昆布やカチカチの干し芋などを推奨していたのを思い出しました。
野菜舐めは、手に持つことができるようになったら始めると良いようです。
手に物が持てるようになると、口への刺激の種類が急激に増え、同時に哺乳反射が急激に消失し始めるのだそうです。
哺乳反射の消失は、補完食・離乳食開始の目安の一つでしたよね。
発育を促すってこういうことですね。
腹ばい遊びをしましょう
また、離乳食開始の目安であるお座りや首の座りに関しては、腹ばい遊びを早くからさせていくことがお勧めです。
首や背中、肩甲骨周辺の筋肉の発達やバランス感覚だけでなく、呼吸の発達も促します。
うつぶせ寝は注意が必要ですが、新生児からでも腹ばい遊びはできます。
腹ばいは、最初は苦手な赤ちゃんもいるかもしれませんが、だんだん慣れてきます。
あまり長い時間はお互いに疲れてしまうと思うので、無理強いはせず、
月齢×10分を目安に取り入れてみてくださいね。
以上、離乳食・補完食を食べる準備のお話でした。
アーユルヴェーダとは
アーユルヴェーダはサンスクリット語で「生命の科学」とか「生命の知識」と訳される、インド発祥の世界最古の伝統医学です。インドの伝統医学というと難しそうに思われるし、インドとか遠い国の人たちのものでしょう?と思われるかもしれませんが、私たち日本人にも通じるものがあり、実際にできることがたくさんあります。
アーユルヴェーダの本格的な治療は、専門の施設でなければ受けられませんが、アビヤンガやシロダーラなどは聞いたことがある、やったことがあるという方もいらっしゃると思います。
アーユルヴェーダの目的は、与えられた寿命を最大限に活かして幸福になることです。アーユルヴェーダは健幸に生きるための生活の智慧なので、誰かに何かをしてもらわなければならないものばかりではありません。各自でできることがたくさんあるので、ぜひアーユルヴェーダ健幸法をご自身のライフスタイルに取り入れて、肉体的にも精神的にも健幸になっていただきたいです。