「酒は百薬の長」ではない!適量ならOKは嘘だったという研究結果

会社を経営していると接待や付き合いなどで、お酒を飲む機会も多いでしょう。

それが仕事の受注やストレスの発散になっているという人もいると思います。

しかし、お酒はあなたが思っている以上に脳と寿命に悪影響を及ぼします。

これからも経営者として正しい判断を続けたいなら、お酒を控えましょう。

可能であればアルコールとはきっぱり縁を切るくらいでも良いです。(という私も月に1回くらいは飲んでしまいます)

そんなこと言ったって「酒は百薬の長」と言われるじゃないか!と思うかもしれませんが…

「酒は百薬の長」を示すエビデンス

「酒は百薬の長」という言葉は、適度な飲酒であればむしろ健康に良いので、酒はどんな薬よりも素晴らしい、といった意味で使われることが多いです。

中国の史書『漢書』に由来があるそうです。

「酒は百薬の長」を本当に信じている人もいると思います。しかし、残念ながらこれは嘘である可能性が高いです。

飲酒と死亡率の関係をグラフに表すと以下の図のように「Jカーブ」になると長い間信じられてきました。

飲酒量と死亡率の関係を示すJカーブのグラフ

死亡率は飲酒量に比例して上がるので右肩上がりの直線になるはずですが、全く飲まない人よりは、少し飲む人のほうが死亡率が低いので、そこだけ凹み、J形の曲線になるので「Jカーブ」です。

「酒は百薬の長」を示すエビデンスともいえます。

しかしこのJカーブになるという研究はデータの取り方に問題アリということが近年、指摘され始めています。

どういうことかというと、飲まない人の中にはかつて大量飲酒していたけれど、健康上の問題により断酒した人なども含まれているということです。

他にも「飲まない人」としてカウントされている人の中にはデータとして使用してはいけないサンプルが色々と含まれているとされています。

これらのデータを正しく取り直すと、飲酒量と死亡率のグラフはJカーブにはならないという研究結果のほうが近年は多いのです。

少量でも脳に悪影響

酒は寿命以外にも悪影響を及ぼします。

『Nature Communications』に掲載された研究によると少量の飲酒であっても脳に重大な悪影響を及ぼすことが分かりました。

脳の萎縮とネットワークの変化をもたらすのです。

この研究は2006年から35,000人以上を対象に行われている大規模なものです。

これによると1日に1缶のビールやグラス1杯のワイン程度の飲酒習慣であっても、脳の灰白質の体積の減少、白質微細構造のネットワークの変化を発生させることが分かりました。

また、人間の認知や理性を司る前頭葉にも悪影響を与えることが分かっています。

特に女性は危ない

大量飲酒が脳を破壊することは一般に知れ渡っていますが、適量のアルコールは健康に良いという誤った情報をいまだに信じている人が多くいます。

過去のサンプル数の少ない小規模な研究においては、少量のアルコールが心臓などに好影響を与えるという結果になったものがあったことも原因でしょう。

しかし、その後に行われた再実験によりアルコールが健康に良いという結果はことごとく否定されています。

それでも「酒は百薬の長」などと言っている人がいるのは酒造メーカーのマーケティングがうまくいっている証拠かもしれません。

特に女性は気をつけてください。

スウェーデンのイエーテボリ大学などの研究によると、大量飲酒によるアルコール依存になるまでの期間は女性の方が男性よりも3倍早いことが分かっています。

敢えて飲まない「ソバーキュリアス」というスタイルが増えている

若い経営者の中には、全くお酒を飲まない人や、少量に控えている人が増えています。

接待されること自体を迷惑と考えている経営者も少なくはありません。というより私の周りでは非常に多いです。

時間と体力が奪われるうえに、翌日までお酒が残って仕事のパフォーマンスに悪影響が出ることもあるからです。

どんな良い店で接待しても、女性をアテンドしても、接待は無駄な時間と考えている若手経営者は多いです。

「なぜ仕事で金を払う側がわざわざオッサンの飲みに付き合ってやらなくちゃならないんだよ」と言っている人もいます。

また、最近では若い世代を中心に「ソバーキュリアス」というライフスタイルも浸透してきました。

ソバーキュリアスとは「Sober(しらふ)」と「Curious(好奇心が強い)」からの造語で、お酒を飲めるけれどあえて飲まないライフスタイルのことです。

かつては、お酒が強いことがカッコイイといった価値観もあったかもしれません。

しかし、Z世代以下の間では、お酒がないとコミュニケーションが取れないことや、酔うまで飲むことはダサいという価値観のほうが強くなっているのです。

自分自身の脳のためにもアルコールとの付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか?

<参考文献>
・Remi Daviet, Gökhan Aydogan, Kanchana Jagannathan, (2022). Associations between alcohol consumption and gray and white matter volumes in the UK Biobank.
・Angelo M. DiBello, et al. (2015). The green eyed monster in the bottle: Relationship contingent self-esteem, romantic jealousy, and alcohol-related problems.

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