【歴史ファン以外も楽しめる】タイの傑作歴史ラブコメ「運命のふたり」シリーズの見どころなど色々

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2018年に第1シリーズが放映され、社会現象にまでなったタイドラマ「運命のふたり」(タイ語:บุพเพสันนิวาส)。

英語ではLove Destinyもしくはタイ語をそのまま表記したBupphesanniwat(発音は「ブッペーサンニワート」が近い)などと表記され、東南アジア諸国を中心に海外でもハマる人が続出!このドラマの影響で物語の舞台となったアユタヤを伝統衣装で観光する旅行客が急増したことでも話題になりました。

劇場版はシンガポールでも公開。筆者も劇場まで足を運びました。

本作は第1シリーズの大ヒットを受け、その後の2022年には劇場版(「運命のふたり-劇場版-」)が、そして2023年には第2シリーズが制作されるほど今でも大人気。後の項目で紹介しますがブームに乗っかったCMも大量に作られています。

肝心な物語の主軸は、現代からアユタヤ王朝時代の悪役令嬢の体にタイムスリップしてしまった歴女な主人公が持ち前の明るさや機転(現代の知識も)で様々な危機を乗り越えながら運命の人と結ばれるラブコメディー。

まあそれだけ聞くと割とよくあるタイムスリップものですが、本作の特徴的な点が重厚な歴史ドラマとしての側面で、主人公以外のほぼ全員が歴史上実在した人物&劇中で起きるイベントも史実に沿ったものばかり。本作は歴史考証に力が入っているため、大河ドラマとしても非常に見ごたえがあります。

筆者は東南アジアの歴史にはそこまで関心がありませんでしたが、しっかりハマりました。

本記事では、そんな「運命のふたり」シリーズの見どころや関連CMなど、筆者が面白いと感じた点をまとめたいと思います。

シリーズの見どころ

まずは筆者が感じたこのシリーズの面白い点をご紹介します。

タイドラマ初心者でも気軽に見られる

筆者はこのシリーズを見るまでタイドラマには全く触れたことがありませんでした。タイ語はもちろん分かりませんし、当時の風習やら歴史についてもほぼ知識ゼロ。海外ドラマ自体は何度か見たことがあったため放映時間が長いことは知っていたものの、友人に勧められたときは正直完走できるかどうか分かりませんでした。

ただ実際に見始めると、物語のテンポの良さと主演のベラ(Bella)さんの愛らしい演技から目が離せなくなり、続きが見たくてたまらない!状態に。タイムスリップもののお決まりの展開も多く、非常にとっつきやすい点もポイントが高いです。

転生前の悪役令嬢っぷりも「本当に同じ人?」と思ってしまうほど板についています。

侍女を並べて一度にひっぱたくシーンは悪役令嬢のカラケーの本領発揮。結構ひどいことをしているのですが、そこはかとなく笑えます。

歴史ドラマという特性上、登場人物は非常に多いですし聞きなれない用語も色々と出てきますが、細かいことを覚えていなくても楽しめるようになっているので、そこまで神経質にならなくても大丈夫。シリアスな場面とラブコメの場面の緩急が激しいのも、飽きさせないための重要な要素として機能しています。

謎の効果音を始めとするタイドラマの独特なノリについては、日本人視聴者としては最初はかなり違和感を覚えるかもしれませんが、慣れてくると次第にクセになってきます。

タイの伝統文化に触れられる

舞台がアユタヤ王朝時代(第1&第2シリーズ)やラタナコーシン王朝ということで、見ているだけでタイの伝統文化に触れられ、ちょっとした海外旅行気分に浸れます。

伝統的な家屋や宮廷といった豪華絢爛なセットやそしてそこに配置される小道具は非常に本格的ですし、衣装も男女ともに階級や場面に応じて非常にバリエーションが多くとても鮮やかで美しいです。

また当時の風習も忠実に再現されているのもかなり興味深い点。目上目下、王と家来、主人と召使といった関係に応じた振る舞いやマナーの違いや主人公がアユタヤ王朝時代の生活様式に悪戦苦闘する姿は、見ていて単純に面白いですし、同時に非常に勉強になります。

トイレで用を足すのに葉っぱを使ったり、歯ブラシ替わりに枝を使ったり、現代タイ人にとっては見慣れない習慣が沢山あります。

さらにそこに現代人が入っていって既存の習慣を変えてしまったり現代の文物を再現したりするのも楽しい!そこはタイムスリップものが活きる場面です。

マラリヤが蔓延した際に蚊帳を作ったり、ムーカタ(タイ式焼肉)用の鍋を注文したり、貴族なので色々とできるんですね。

タイ人の根底にある思想を知ることができる

この物語は、アユタヤ王朝時代の貴人カラケーが、交通事故に遭い生死の淵をさまよっている現代女性のケツランに「自分の体に入って功徳を積むことで自分の罪を軽くしてほしい」と頼むところから始まります。

ケツランが入る前のカラケーは、身分は高いものの、日常的に侍女に暴力を振るうような悪女。許嫁と良い仲の恋敵の誅殺を試みたところ誤ってその侍女を殺害してしまったことから、「クリサナカリの呪い」(後述)によって地獄に落ちることに。

物語ではそうしてカラケーの体に入ったケツランが持ち前の明るさや優しさで周囲の評判を少しずつ変えていくことになるのですが、ケツランがカラケーの体で良いことをすると地獄に堕ちたカラケーの魂の苦しみが多少楽になるという描写がありますし、こうしてケツランが転生したことにも実は理由があったりと、常に輪廻転生をはじめとする仏教思想が背景にあります。

物事の本質が宗教的な信仰に帰結するのは日本の創作物にはなかなかない特徴といえるのではないでしょうか。

なお「クリサナカリの呪い」は「犯人捜し」のような儀式で、容疑者が無罪の場合は何も起きず、もし有罪ならば気が狂うか死ぬというもの(被害者の霊が加害者を呪い殺す)。作中ではカラケーの許嫁であるデートの家に古くから伝わる強力なまじないとして描かれており、デートはカラケーの所業だと疑い実行しました(実在の文物が多い本作ですが、この「クリサナカリの呪い」は創作物です)。

デートの心をつかもうとして恋敵を殺そうとした結果、そのデートが発動した呪いで命を落とすことになるなんて、何だか皮肉…。ここは因果応報という言葉がぴったりです(これも仏教の教えですね)。

東南アジアの歴史を知ることができる

ケツランが転生したカラケーが生きている時代はアユタヤ王朝時代の中でも文化的な偉業の多いナーラーイ王の治世(在位:1656年から1688年)の末期であり、イギリスやフランスといったヨーロッパとも積極的に貿易を展開していた時代。

作中ではアユタヤの街に外国人が根付いている姿も多く描かれます。街を歩くヨーロッパや商売をする中国人など、雰囲気は完全に国際都市!

アユタヤ王朝の歴史では、日本人町ができるほど日本人勢力が強かった時代もありました(ナーラーイ王の少し前)。本作にも日本人の血を引く人物が登場します。

ドラマではそのナーラーイ王やコンスタンティン・フォールコンなどアユタヤ王朝の歴史に深く関わり王朝を動かした人々が多く登場し、視聴者はケツランとともに時代の転換点を目撃することに。

時代がナーラーイ王治世の末期ということで政治模様は非常に混沌としており、陰謀による要人の失脚や大規模な粛清も日常茶飯事。政治的な駆け引きは今後の政治生命や一族の処遇に直結するので、そのようなシーンは非常に緊張感があります。

特に個人的な愛情と王としての役割の板挟みが辛いナーラーイ王絡みのエピソードは、思わず共感してしまう場面も多いまず。

カラケー(ケツラン)はアユタヤ王朝の行く末を知っていますが、強引に歴史を変えようとはしません。ただ非常にもどかしそうな場面が多いです。

主人公カップルのラブコメとの温度差で風邪をひきそうですが、そこが本作の魅力。

【番外編】タイ人と共通の話題ができる

このシリーズはタイで大ヒットしたため、ファンかどうかはさておきタイトルを知らない人はほぼいないという状態です。

相手がファンであればシリーズの話題で盛り上がることができますし、もし相手があまり興味がない人であっても、タイの歴史文化に興味があることを印象付けることができます。歴史の知識もインプットされるので、エンタメに興味がなくても歴史好きな人とは会話が盛り上がるかもしれません。

とにかく知名度が高いため、ビジネス相手との会話のとっかかりとしても有用。タイ&東南アジアに赴任予定の人は少しだけでもチェックしておくと良いかもしれません。

筆者がタイやシンガポールで知り合った人(現地人)でこのシリーズを全く知らない人はほぼいませんでした。

各シーズンの概要

ここからは各シリーズ(と劇場版)の概要を紹介します。

第1シリーズ

項目データ
タイトルタイ:บุพเพสันนิวาส/英:Love Destiny/日:運命のふたり
放映時期2018年2月21日~4月11日(タイのChannel 3で放送)
話数全15話
放映時間1話あたり約110~130分

記念すべき第1シリーズ。

現代の考古学専攻の女子大生ケツランはアユタヤ時代の遺跡から帰宅する途中に交通事故に遭い、17世紀の貴族女性カラケーに会います。彼女に自分の罪を軽くする手伝いを乞われたケツランは、カラケーの体に魂だけがタイムスリップすることに。

タイムスリップした先の体の持ち主であるカラケーは、ピサヌルーク出身のお嬢様。侍女に暴力を振るったり目上の人物に公然と逆らったりするようなテンプレ悪役令嬢であり、許嫁のデートをはじめとする周囲の人々から嫌われていました。

とんだ貧乏くじを引かされる恰好になったケツランでしたが、持ち前の愛嬌や賢さで周囲の人々を魅了していきます。

カラケーはなぜケツランに願いを託したのか、そしてケツランは果たして現代に戻れるのか。話数が進むごとに明らかになっていく真実にも注目です。

本作の舞台は17世紀後半、アユタヤ王朝のナーラーイ王(在位1656年~1688年)の治世の末期。この時代のアユタヤは国際交易の中心地として繁栄し、多くの外国人商人や宣教師が訪れていました。特にフランスとの関係が深まり西洋文化の影響が宮廷にも及んでいましたが、それが外交問題やタイ国内の内紛の原因に。カラケーや周囲の人々も激動の歴史に飲まれていきます。

様々な人間関係が描かれる本作ですが、ナーラーイ王の側近として歴史に深く関わるギリシャ人官僚コンスタンティン・フォールコンとポルトガルの血を引く日系人であり著名な菓子職人であるマリー・ギマルドなど、主人公ペア以外のカップルの恋愛模様も必見。

マリー・ギマルドはタイの伝統菓子に西洋の要素をミックスし新しいお菓子を発明した人物として有名。その過程はドラマでも描かれています。

その他に脇を固める俳優陣も魅力的で、特にカラケーに仕える2人の侍女ピンとヤームのとの掛け合いが見ていて面白いです。

ヤーム役の俳優さんは私生活ではコンスタンティン・フォールコン役の俳優さんと夫婦です。初めて知ったときは驚きました。

主題歌のMVはこちら。この曲も大ヒットしました。

劇場版

項目データ
タイトルタイ:บุพเพสันนิวาส 2/英:Love Destiny: The Movie/日:運命のふたり-劇場版-
公開時期2022年7月28日(タイ国内)
上映時間約166分

第1シリーズの好評を受けて制作された劇場版。

主演の2人をはじめ第1シリーズとの共通の共通キャストが何人かいますが、ストーリー上直接のつながりはないため、劇場版だけを見ても楽しめるようになっています。

とはいえテレビシリーズを知っていたほうが楽しめる要素が散りばめられているので、テレビシリーズを先に視聴するのがおすすめ。

舞台はテレビドラマ版のアユタヤ王朝時代から打って変わってラタナコーシン王朝初期(ラーマ3世の治世・1824年~1851年)のバンコク。この時代はタイ国内での経済や貿易が発展し、中国系移民が増加し始めた時期でもあります。また、西洋の影響も徐々に見え始め、国内の価値観が変わりつつある転換期でした。

転生と運命の愛というテーマは変わらず、劇場版ではカラケーは王立警察署大佐の娘であるゲイソンに、デートは王立財務省のエンジニアであるブホップにそれぞれ転生しています。

ブホップは同じ女性(顔は見えない)の夢を見続けており、親が決めた婚約相手であるゲイソンとの婚約を一度は破談にしますが、その後に(元)婚約相手のゲイソンが夢に見ていた女性と瓜二つであることが分かり、運命を確信したブホップはゲイソンに猛アタック!

一方のゲイソンはアサンプション教会で神父から教育を受けており、外国語や歴史の知識も豊富。かなり先進的な女性です。運命なんてものは全く信じないタイプなので、運命を語りながら近づいてくる怪しくて挙動不審なブホップを徹底的に拒絶します。

テレビシリーズでは表情豊かなカラケーが硬派なデートを落とす過程が描かれますが、劇場版ではちょっと気弱なブホップが理知的なゲイソンに振り向いてもらおうと奮闘します。見事に立場が逆転していますね。

その仲を取り持つことになるのが、蒸気船を売り込むためスコットランドから訪れた商人ハンター氏の元で働くメータス。メータスは実はこの時代の出身ではなく、日食のタイミングに寺で家宝のマスケット銃を撃ったことで2021年からラタナコーシン王朝時代のタイにタイムスリップした若者です。

そんな微笑ましい恋愛模様の裏では、蒸気船を巡ってヨーロッパ列強の陰謀が渦巻いており…。

ブホップとゲイソンの運命の愛と、二人の仲を取り持つつも現代に戻ろうと奔走するメータスの関係を軸に、ラタナコーシン王朝と列強の思惑、そして両者の駆け引きが展開しつつ物語は進んでいきます。

今作も第1作と同様に実在の人物が多く登場しており、歴史ドラマとしての風格も健在です!

第1シリーズから驚きの人物もカメオ出演!興奮してちょっと声が出そうになりました。

予告編(タイ語)はこちら。

主題歌も非常に美しくてドラマチック。劇場版の雰囲気にピッタリなので是非聴いてみてください。

第2シリーズ

項目データ
タイトルタイ:พรหมลิขิต/英:Love Destiny 2/日:(なし)
放映時期2023年10月18日~12月18日(タイのChannel 3で放送)
話数全26話
放映時間1話あたり約120分

第1シリーズの人気を受けて制作されたテレビドラマシリーズで、舞台は再びアユタヤ王朝時代。

正統な続編ではありますが、タイトルは「運命」を意味する語であり、ロマンチックな運命を主題にした第1シリーズとは対照的に、魂と運命を巡る因縁がより重く描かれている印象です。

第2シリーズは第1シリーズの10数年後という設定で、現代から新たにタイムスリップしてきたプターンと第1シリーズ終盤でデートとカラケーの間に生まれた子供たちの交流をメインに話が進んでいきます。

第1シリーズでお馴染みの面々も続々登場します。第1シリーズの男性キャラはひげを生やして時間の経過と威厳を強調。

今回の物語のキーとなるのが、魂が転生したケツランとは異なり身体ごと現代からタイムスリップしてきたプターン。彼女はケツランの魂が入る前のカラケーを彷彿とさせる、ちょっと性格のキツイタイプの女性です(これがちょっとした伏線)。

プターンはタイムスリップ直後にクリン嬢とそのおば(プターンが仏に遣わされた天使だと信じている)に救われますが、なぜかクリン嬢からは異常に忌み嫌われることになります。さらにプターンがカラケーと瓜二つであることで様々な憶測を呼ぶことに…。

まあ実際繋がりはあるのですが。

本作ではそんなプターンのアユタヤ王朝生活と、彼女に惹かれる息子の一人リッドとの恋模様が描かれます。

またタイムスリップの先輩(?)であるカラケーがプターンをサポートする一幕もあり、現代話で盛り上がったりもします。微笑ましいです。

ストーリーはもちろん見どころの一つなのですが、今作のもう一つの目玉が主演の二人が複数人の役をこなしていること。プターンはカラケー役のベラ氏が演じています(つまりケツラン・カラケー・プターンの一人三役)し、子供たちのうち成長したルアンとリッドはデート役のポープ氏が演じています(つまりこちらもデート・ルアン・リッドの一人三役)。

筆者は最初ルアンとリッドの区別が付きませんでしたが、回を追うごとに次第に分かるようになってきました。

個人的な感覚としては、本作は第1シリーズと比較すると歴史ドラマ感は薄め。あくまで主人公カップルの恋愛模様によりフォーカスが当てる方針のようです。また第1シリーズではカバーされなかった魂の因縁も描かれるので、「あれはそういうことだったのか!」という新たな発見もありました。

主題歌のMVはこちら。相変わらず大人気ですね。

ロケ地&聖地巡礼スポット

ここからは各シリーズにゆかりのあるスポットをご紹介します。聖地巡礼にどうぞ。

アユタヤ

まずは何といっても物語の重要な舞台アユタヤ。アユタヤ歴史公園を中心にドラマゆかりの場所が沢山あるので、ここでは代表的な場所をご紹介します。

ワット・チャイワッタナーラーム

「運命のふたり」に登場した夕暮れの名スポットとしても知られる寺院。周辺には貸衣装屋が沢山あるので、ドラマのなりきり写真を撮ることもできます。

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