「死者の情報」は個人情報保護の対象か? | 相続人に必要な「遺産相続の手続き」を解説|かながわ総合法務事務所

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司法書士・行政書士の山口です。

 

個人の権利や利益を守ることを目的とした「個人情報保護法」(正式名称:個人情報の保護に関する法律)。

平成15年(2003年)5月に制定、平成17年(2005年)4月から全面施行されました。

 

現在は2024年になり、かれこれ20年経過。

現在では「個人情報」という言葉を知らない人はいないでしょう。

それだけ世の中に大きく浸透した結果となりました。

 

この「個人情報」に死者情報は含まれるのか?

これが今日のお題です。

 

答えは、含まれません。

しかし、ケースによっては個人情報に抵触する場合もあります。

 

 

「個人情報」とは、生存する個人に関する情報

氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報をいいます。
 

これには、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものも含まれます。

 

例えば、生年月日や電話番号などは、それ単体では特定の個人を識別できないような情報ですが、氏名などと組み合わせることで特定の個人を識別できるため、個人情報に該当する場合があります。
また、メールアドレスについても、ユーザー名やドメイン名から特定の個人を識別することができる場合は、それ自体が単体で、個人情報に該当します。

このほか、番号、記号、符号などで、その情報単体から特定の個人を識別できる情報で、政令・規則で定められたものを「個人識別符号」といい、個人識別符号が含まれる情報は個人情報となります。
 

例えば、次のようなものです。

 

(1)  身体の一部の特徴を電子処理のために変換した符号で、顔認証データ、指紋認証データ、虹彩、声紋、歩行の態様、手指の静脈、掌紋などのデータがあります。

(2)  サービス利用や書類において利用者ごとに割り振られる符号で、パスポート番号、基礎年金番号、運転免許証番号、住民票コード、マイナンバー、保険者番号などがあります。

 

 

個人情報保護法は、「個人情報」を生存する個人に関する情報に限っています。

つまり、死者に関する情報については保護の対象とはなりません。

ただし、死者情報が同時に生存する遺族などに関する情報である場合 (例:死者の家族関係に関する情報は、死者に関する情報であると同時に、生存する遺族に関する情報である場合があります。)には、その遺族などに関する「個人情報」となります。

なお、生存する個人と死者に関する情報を一体的に管理しているような場合において、事業及び情報の性質等を踏まえて、死者の情報についても漏えい等しないように適切に管理することは、望ましい取組と考えます。