【低体温症を防ぐ】被災時の避難所などでの防寒対策

1月1日に発生した石川県能登半島沖地震は、発生からすでに10日以上が経過しました。

その被害は甚大なものであることが、徐々に明らかになりつつある状況で、震源に近かった能登市や珠洲市などは、これから復興して人が住むことができるのか…と絶句するぐらいのものになっています。

現在も、帰る家を失ってしまった多くの被災者が避難をしている状況ですが、少ない避難所に多くの被災者が殺到している状況であり、その環境は劣悪と言わざるを得ない状況です。

被災者からは、避難所の寒さを訴える声が多く上がっており、真冬の被災は環境面でも非常に大きな問題をもたらしていますが、今回はそんな過酷な状況でも、少しでも暖を取れるような、避難所や災害時の寒さ対策について考えていきます。

人間を最も多く殺す環境は、全世界の様々な統計から、主にやや寒い日が気温の中では死亡リスクが高いということで、防寒対策は必須と言えます。

冬季避難所での体温維持策:新聞紙を利用した保温方法紹介

避難所における冬の寒さへの対抗手段の1つとして、「新聞紙での体温維持」はきわめて有効です。

厳しい気象状況下での平穏を保つため、個々が留意すべき点と共に、この古くからの知恵を活用し、被災地の冷え込みに立ち向かう方法をご紹介します。

寒い季節が到来し、日々の生活における防寒対策が重要になってきますが、特に災害が起こった際の避難所では、限られた資源を駆使して体温を維持する必要があります。

そんな時、意外かもしれませんが、身近にある新聞紙が強い味方になるのです

新聞紙には、断熱性があり空気を多く含むため、体からの熱を逃がしにくい特性を有しています

避難所での寒さ対策として、たとえば、衣服の中に新聞紙を挟むことで、追加の断熱層を作ることが可能です。

また、着座したときの下に敷くことで、冷たい床からの体温の奪われを防ぐことができますし、寝る際にはマットレスの代わりとして利用することもできます。

このような新聞紙の活用は、単なる保温にとどまらず、様々なシーンでの応急処置としても大いに役立つでしょう。

床からの冷えを防げる段ボールベッド

新聞紙と同じ紙の素材で、特に床などからの断熱効果が非常に高いものとして、利用できるなら環境を整えたいのが段ボールベッドです。

避難所に使われるような広い体育館などは、どうしても底冷えする状況になり、足元からの冷えが厳しいものとなります。

身体の方は厚着をすれば、寒さをある程度防げるのですが、靴と靴下ぐらいしか有効な防寒対策がない足元は冷えが厳しいポイントと言えます。

寝るときも床に直に寝ると、体温が奪われる結果となり、最悪低体温症などの原因にもなりかねません。

そこで、床に段ボールを数枚重ねて敷くことによって、床からの冷えをかなり抑えることができます。

できれば床に直におかずに段ボールベッド(東京オリンピックの選手村の宿舎でも利用されました)にすると、かなり快適であるということも、体験者は言っていますが、そこまで余裕がなければ、床に4~5枚程度ひくだけでも厳しい寒さを緩和することが可能です。

冬季の避難生活と防寒対策

冬という厳しい寒さの中での避難は、低体温症というリスクを抱えるものです。

避難所だけでなく、車中や停電に見舞われた自宅での避難生活が続いている方々に対して、避難所・避難生活学会は、急を要する健康被害の防止策を知らせています。

まずは、体温が急激に下がる低体温症のシグナルに敏感になるべきです。

低体温症は、夏場の熱中症、あるいはそれ以上に人を死に至らしめる危険性のある症状です。

身体が震えたり、反応が鈍くなるなどの症状が見られたら、直ちに対処が必要です。

特に高齢者の方々は、体温管理が難しく、注意が必要です

寒さから身を守るために、何層にも衣類を重ねたり、上着の内側に新聞紙を挟むことで、保温効果を増すことができます。

他にも、エネルギーを分け合う意味でも、人と人とが身体を密着させることで互いに温かさを保つという手段も効果的です。

警視庁災害対策課からも、避難生活における防寒のためのアドバイスが出されています。

冷えてしまった手や指先は適宜動かすことで血液の流れを良くし、温もりを回復させることができます。

特に大きく手を振る動作は、心臓から遠い手先まで温かい血液が届くようにする効果がありますので、寒さで固まった手を元に戻したい時に試してみましょう。

避難生活では、一時的な暖を提供するカイロも欠かせませんが、活用の際には小さな工夫があります。

使い捨てカイロの特性を利用することで、一度冷めたカイロも再び温かさを取り戻すことが可能になります。

具体的には、カイロを密封袋に収めておくことで、空気との接触を避け、それを取り出す時に再度空気に触れさせることで発熱を促進させる方法です。

避難生活という難しい状況の中、少しでも暖を取り、寒さに打ち勝つための知恵と工夫が、非常時においては非常に重要になります。

冬季の防寒と健康管理に役立つ貴重な知識とアドバイス

日本では寒い季節になると、気体の寒さを和らげるためにカイロを使用することが一般的です。

特に重要なのは、カイロが持続的に発熱し続けるように効率的に使うことです。

カイロがまだ暖かいうちに外してポリエチレン製の袋などに密封し保存しておくと、着けておく時と同様の時間、熱を提供してくれるという有益な情報があります。

さらに、体の特定のポイントを温めることで、総合的に体を温める効果を得ることができます。

具体的に身体を温めるツボということで「大椎」、「神闕」、「丹田」といったツボがあります。

身体を温めるツボ

出典:https://weathernews.jp/s/topics/202401/030145/

これらはそれぞれ首の後ろ、へその真下、およびへそから5~9cm下の部分に位置しており、体を温める上で優れた効果が期待できるそうです。

例えば、首の後ろにある大椎は、首を前に曲げたときに触れることができる骨のすぐ下にありますので、できるだけその位置にカイロを貼るようにしましょう。

また、他にも身体を温めるツボはいくつか人体にありますので、あらかじめ調べておくと良いでしょう。

東洋医学は、馬鹿にできない力を持っていますので知識として持っておくと有用かと思います。

ただし、寝ている間のカイロの使用や、自動車を使った避難の際には十分な注意が必要です。

まず安眠中にはカイロを取り除くことで低温やけどを防ぎ、車中避難中には車のエンジンを止めた状態だと室内温度が急に下落するため、防寒着の他に移動する避難所で暖を取るなどの措置が求められます。

更に一酸化炭素中毒予防のために、閉め切った場所でのエンジン稼働は避け、定期的に歩いたりストレッチしたりするなどして血液循環を促進し、エコノミークラス症候群を予防することも大切です。

最後に、家庭内での安全も注意が必要です。

停電中においては、暖を取るために室内で熱源を使う際には、特に炭や練炭の使用、ガソリン燃料の発電機の室内使用を避けるようにしましょう。

それらは大量の有害な一酸化炭素を発生させ、中毒を引き起こす原因となるためです。

常にこれらのリスクを認識し、安全な方法で暖を取るよう心掛けてください。


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