「言いたいことを言いたいだけ言うわねっ」と、恵子が言う

「そうかもね、実は僕も歩き出す前は、そんな誰かを探していたいだろうな。だからついそんなことを言ってしまったんだろう。周りの誰かになんとかしてもらう、そんな気持ちだったのだろう、でもな・・」

「でも??何??」と、聞き返す恵子に

「自分で汗をかかない人には、誰も手助けをしないということが分かった」

「汗をかかず??」

「そう、自分が汗をかいて、悩んで、泣いたりしたときにはじめて誰かが手助けが名乗り出るんだよ」

「うん??」

「なあ、おばあさんが横断歩道を渡ろうとしているけど、信号が赤に変わりそうだとしたら、君はどうする?」

「手助けをしたくなる」

「だよね、おばあさんが困っていると思うから、その状況を君が判断したんだろ?おばあさんは、誰かに援助を求めた?」

「いや、それはないな。手助けをしてって言っていないもの」