桃咲くや半旗掲げるオフイスビル
「雲の峰」2023年5月号青葉集掲載。
3月11日はいのちの日。2011年のこの日に起こった東日本大震災を契機に、災害時医療を考える会(Team Esteem)が提唱したもの。彼らは震災で失われた多くの命を悼み、同時に私たちが日頃から災害に備える重要性を訴えている。2023年3月11日土曜日、大阪・国立国際美術館と、隣接する大阪中之島美術館に向かう。向かいのオフィスビルの花壇には、様々な花が咲いている。大きな木に鮮やかに咲いていたのは桃の花(見間違いかもしれない)。そしてふとビルに目をやると、半旗が掲げられていた。そういえばこの日は東日本大震災が起きた日。決して忘れていたわけではないが、普段の生活の中では気にすることがなかった。この半旗が、そんな自分への戒めに見えて詠んだ句。
今年もこの日がやって来た。鎮魂と追悼の思いを形にしようと毎年思うが、なかなか難しい。意識的にそういうワードを入れようとすると、作為感が増す。今見えている何気ない光景の中に、気が付けば鎮魂の思いが込められているというものができればいいのだが、それも難しい。やはり普段から、今生きている命というものに目を向けて、その栄枯盛衰を形にするという事を考えておかなければならないだろう。今生きていることに感謝を込めて。
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