去年と同じ感覚

日光てふ椿日陰に咲きにけり

 

「雲の峰」2024年5月号青葉集掲載。

所用で京都市営地下鉄竹田駅で降りる。駅には「城南宮・当駅より19分」との大きな看板。用事を済ませてから寄ってみた。ここは梅の花と椿の花の名所として知られる。まだ梅の花は咲いていなかったが、椿はちらほら咲き始めていた。その中に「日光(じっこう)」という種類の白椿があり、鮮やかに咲いていた。一部既に落ちている花もあり、今が盛りという雰囲気。これで句を考えていたのだが、過去の作品を見ていると、一年前にすでに詠んでいた。今回の句はその時のもの。確かに日陰に咲いていた。名前と場所のコントラストが気に入って詠んだであろう句。

同じ時期に城南宮に梅を見に行った記憶はあるが、いつ頃だったか忘れていた。まさか1年前の3月だったとは。人間の記憶とはそういうものだ。加えて、1年ぐらいでは、人間の感性、感覚というものは、そう大きく変わるものではないという事。今回思い知らされた。ただ、今現在の己の感性を信じて、見たものを見たまま捉える。こういう姿勢を持ち続けたい。

 

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