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[童夢]大友克洋が描く超能力ミステリー


あらすじ

不審死が頻発する郊外のマンモス団地。 霊や祟りの仕業か、事故や事件なのかも判らぬまま警察が捜査に乗り出すが、子供たちが無邪気に遊ぶ団地内は一見平和に見える。そんな中、捜査員の目に怪しく映るのは、昼間からブラつくアルコール依存症の男、知的障害と思しき大男、受験ノイローゼ気味に見える浪人生、流産して以来おかしくなったと噂される主婦、ベンチで日なたぼっこする認知症と思しき老人…。 またひとり、捜査中の部長刑事が不審死を遂げた後日、家族とともに団地に越してきた少女・悦子は、とある超自然的な力をその身に秘めていた…!

舞台

舞台は平凡な日本のマンモス団地。

そこで25人もの死亡事故が続きます。

さすがの警察も「変死」では片づけられなくなり、捜査を始めます。

しかし、現場には証拠が何一つ残っていません。

容疑者もいなく、住人すべてが怪しくなってみえます。

登場人物

代表的な登場人物を紹介します。

悦子

通称えっちゃん

団地に引っ越してきた小学生。

内田 長二郎

通称ちょうさん

堤団地3号棟608号で一人暮らしする65歳の男性。

少しボケていて認知症を発症していると思われる。

高山

長髪の刑事。

事件で団地に行った際、幽霊と思われるものを見る。

その影響からシャーマンを紹介してもらう。

野々村典子

高山刑事が金子教授の紹介で会うことになったシャーマン。

高山とともに堤団地に行くが、とても自分の手には負えない状況であることを感知し、恐怖に震え上がる。高山には、まだまだ多くの人が死ぬ、子供に気をつけなさい、と警告する。

作品情報

出版年は1983年

出版社は双葉社

長らく絶版の状態でしたが、OTOMO THE COMPLETE WORKSにて復刊されました。

第四回日本SF大賞を受賞

第十五回星雲賞コミック賞受賞

作者

作者は大友克洋先生です。

1954年~

他の代表としてはAKIRAなどの作品が挙げられます。

作風としては緻密な書き込みや複雑なパースを持つ画面構成など、圧倒的な画力が特徴です。

映像化は?

2023年3月17日から開催された、第1回新潟国際アニメーション映画祭。

ここで大友克洋作品を一挙上映する際に、なんと大友克洋自身が監督した『童夢』のパイロットフィルムが放映されたそうです。

この映像は7分間の短いパイロットフィルムです。

過去には『イレイザーヘッド』(1976年)や『エレファント・マン』(1980年)で知られる映画監督デヴィッド・リンチが『童夢』の実写化に着手していました。

しかし、製作会社との交渉がうまくいかずに映画化の話はストップしてしまったらしいです。

注目ポイント

注目ポイントを紹介します。

まずは童夢といえばこのシーン。

超能力を「球」で表現したこの絵は多くの漫画家などに影響を与えたといいます。

次いで最後のちょうさんのこのシーン。

絶望するちょうさんの顔が圧倒的画力で描かれます。

感想

大友先生の傑作漫画の一つである本作品は1巻で完結するのにもかかわらず、非常に満足できる作品です。

「団地」という日本の普遍的な舞台で発生する超能力バトルは、非日常感が強調されます。

少しグロイシーンもあるので苦手な人は注意が必要です。

個人的なおすすめシーンとしては、後半の爆発シーンです。

ネットの評価

本当に期待以上の、いや後世まで伝えられるべき漫画作品です。アナログの手書きで団地を舞台にした見開きの空間表現には震えました。
超能力を、物質的な力として描写したのも、凄い。 これが「AKIRA」に繋がるのですね。
超能力大戦の迫力、書き込みはもちろんすごいのですが、個人的に「団地」の持つほの暗さ、均一的だけど狂気をはらんでいる奥深さなどにおもしろみを感じました。

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