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円安加速、34年ぶり158円台 米「3高」に歯止め利かず

2024-04-28 08:58:24 | 世界経済と金融


  1ドル=158円台前半に下落した外国為替市場(27日午前)

 

【ニューヨーク=三島大地、野一色遥花】

26日のニューヨーク外国為替市場で円は1ドル=158円台前半まで下落した。1990年5月以来、34年ぶりの安値をつけた。

日本の財務省は円買い・ドル売りの為替介入をちらつかせるものの、現在の円安・ドル高は米国の高い経済成長率、高インフレ、高金利という「3高」が根底にあり、日本の当局が打てる手は限られているとの見方も強い。

 

26日の金融政策決定会合で日銀は金融政策の現状維持を決めた。

「市場は無味乾燥としたガイダンスに明らかに失望している」(オランダ金融大手INGのカン・ミンジュ氏)との見方から、東京外国為替市場では会合後、1ドル=156円台まで円が下落。同日のニューヨーク外国為替市場でも円安が加速し、158円30銭前後で取引を終えた。

 

 

円安の底流には堅調な米景気への期待と、それがインフレの長期化を招く事への警戒感がある。

25日に公表された1〜3月期の米国内総生産(GDP)では個人消費や設備投資の堅調さが確認された。欧州や中国経済が低迷し中東情勢も不安定化するなか、世界のマネーは米国への投資、ドル買いに向かいやすい。

 

堅調景気はインフレ懸念を通じたドル買いも誘発している。

米商務省が26日発表した3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比上昇率が2.7%と、2月の2.5%から加速した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化警戒から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは25日の米債券市場で23年11月以来の高水準となる4.73%まで上昇。日米金利差が開き円売り・ドル買いを後押ししている。

 

FRB幹部の間でも根強いインフレと景気の底堅さを背景に、インフレ抑制の確信を得るまで「予想以上に時間がかかりそうだ」(パウエル議長)との見方が支配的になっている。

高い成長率、高インフレ、高金利を受け、ドル指数は23年10月下旬以来の水準で高止まりしている。

 

歯止めがきかない円安に対して、市場は財務省・日銀には現状、打つ手がないとの見方を強めている。

「22年の介入が効果的だったのは、米金利が高値を付けたタイミングで実施したからだ。来週に米連邦公開市場委員会(FOMC)と米雇用統計を控えるなか、日本の当局者には当時のような自信はないだろう」(米バノック・バーン・グローバル・フォレックスのマーク・チャンドラー氏)

 

当局の足元を見るように、ヘッジファンドは円売りを加速している。

米商品先物取引委員会(CFTC)が26日公表したデータによると、投機筋の売買動向を示す「非商業部門」の米ドルに対する円の売り越し幅は23日時点17万9919枚。6週連続で拡大し、07年6月以来の売り越し水準となっている。

 

当局が実際に為替介入に踏み切っても、「米ドルや米国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が好転するまでは、川の流れに逆らうようなものだ」(フォレックス・ライブのアダム・バトン氏)。

自民党の越智隆雄衆院議員が、ロイター通信のインタビューで「160円、170円になってくれば何か手を打たなければならない」と語ったことで、160円までは円売りのお墨付きを得たとの見方も浮上する。

 

もっとも、介入警戒感があるなかで週間で3円以上も円安が進むのは非常にまれだ。

2022年9月と10月の介入時も前週末比で3円前後円安に振れたタイミングで介入に踏み切った。来週のFOMCで利下げ観測が一段と後退すれば、追い込まれた末の為替介入という選択肢も現実味を帯びてくる。

 

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日経記事2024.04.28より引用

 

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今村卓のアバター
今村卓
丸紅 執行役員 丸紅経済研究所長・グローバル総括部長

分析・考察

「3高」は昨年からの労働供給の順調な増加、大転職、生産性の上昇など米国経済の供給側に起きている構造変化と密接に結びついていると思います。

その構造変化が起きている米国とまだ起きていない日本の差が、為替相場に色濃く表れているのでは。

とはいえ、需要にばかり注目する市場が構造変化を十分に理解できず誤診を重ねている可能性も高そう

。しかも構造変化がいつまで続くのかが不透明、米国経済と金利の見通しも立てにくい状況。 こうした中での最近の円安ドル高は説明が難しく、一層の円安も円高修正どちらもシナリオ作りは可能。
逆に言えばすぐ先も霧の中、ここで介入しても効果も霧散すると思います。しばらく静観がよいのでは。

 
 
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滝田洋一
日本経済新聞社 客員編集委員

ひとこと解説

①日本側の要因に全集中の構えの為替報道が溢れています。昨日の日銀総裁会見では米経済について質問がひとつも出ませんでした。違和感があります。

②昨日のNY市場を振り返ると、焦点となったのは3月の米PCE物価指標。そのPCE物価指数が、25日に1~3月期のGDPが発表された時点で懸念されたほど跳ね上がらなかったことで、市場参加者はほっと一息ついた。

③25日に動揺した米国の債券、株式市場が、26日は落ち着きを取り戻した。そこで為替市場にもドル買い安心感が広がったように。

④この記事が指摘するように、ドル高を促す主因は米国側にあります。ならば日本側にできるのは円安のスピード調整くらいのはずです。

 (更新)
 
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