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ソフトバンクG「AI革命」に10兆円 動き出す孫氏の構想

2024-05-12 17:28:36 | AI・IT・サイバーセキュリティ・メタバース・NFT・ゲーム、


       SBGの孫正義会長兼社長は「AI革命」の実現を目指す

 

 

【この記事のポイント】

・AI向け半導体の開発・製造にファブレス形式で参入
・データセンターや発電事業にも進出、総投資額は10兆円規模
・「世界で最もAIを活用するグループ」へ脱皮図る

ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が掲げる「AI(人工知能)革命」が動き出す。AI向け半導体の開発・製造を皮切りに、データセンターやロボット、発電事業にも事業を拡大する計画だ。

投資額は最大で10兆円規模となる見通し。米マイクロソフトやグーグルもAI分野に巨額の投資をしており、世界の大手が成長分野に一斉に参入する構図となる。

 

孫氏は昨年7月のシンポジウムで「(人間の知能を超えるAIは)水晶玉に未来を聞くかのごとく課題を解決してくれる。

日本は一番ど真ん中の光り輝く水晶玉を作らないといけない」と強調した。その後、決算発表の場には姿を見せない一方で、構想の実現に向けて世界を飛び回ってきた。

 

半導体の先端拠点である台湾や米国を次々に訪れただけでなく、自身の別荘に海外の協力会社の幹部を招くなどしてAI向け半導体分野への参入に向けた交渉を重ねてきた。

孫氏の掲げるAI革命はAIや半導体、ロボティクスの最新技術を融合し、あらゆる産業に革新をもたらすことだ。

 

その中核となるのが、大量のデータを効率的に処理できるAI向け半導体の開発・製造事業だ。米エヌビディアのような自社工場を持たないファブレス形式で参入し、2025年春をメドに試作品を完成。同年秋までに量産体制を作ることを目指している。

AI向け半導体開発については、SBGが約9割の株式を持つ英半導体設計大手アーム内に新部門を立ち上げる案を軸に検討を進めている。

 

アームは半導体の開発に必要な回路設計図をエヌビディアなどに提供しており、特にスマートフォン向けは世界シェアの9割超を握るプレーヤーだ。

 

数千億円規模が見込まれる当初の開発資金はアームの自己資金とSBGの支援でまかない、大量生産の体制が確立した後は開発部門をアームから切り出し、SBG傘下に置くことを検討する。

製造は台湾積体電路製造(TSMC)などファウンドリー(半導体受託生産会社)に委託する。既にTSMCなどと交渉し、生産枠確保のメドをつけた。

 

 

SBGがAI向け半導体分野への参入を検討するのは、この分野の加速度的な市場拡大が見込まれるためだ。

カナダの調査会社プレシデンス・リサーチの推計では、24年に300億ドル(約4兆6500億円)程度の市場規模は29年に1000億ドルを超え、32年には2000億ドル超に達する。AI向け半導体のシェア首位はエヌビディアだが、需要の急拡大で供給が追いついていない状況で、SBGは収益拡大の余地が大きいとみている。

 

現在主力の投資事業の損益が改善し、攻めの戦略を打ち出せる財務余力がついてきたことも大きい。

13日発表の2024年3月期決算は前の期の1兆円近い最終赤字から大幅に改善し、手元流動性なども十分な水準を維持する見通しだ。

 

孫氏の構想はAI向け半導体分野の参入にとどまらない。昨年10月の講演では人間の知能を超える汎用人工知能「AGI」に言及し、運輸、製薬、金融、製造、ロジスティクスと全ての産業に影響を与えるとの見方を示した。

こうした認識を基に、まず26年以降に自ら開発した半導体を備えたデータセンターを欧米やアジア、中東に建設する計画だ。データセンターは大量の電力を必要としており、発電需要も高まることから発電分野にも進出する。

 

核融合発電など次世代技術の進展をにらみつつ、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを中心とした発電インフラの構築を目指す。

産業用ロボット分野については2月に、サウジアラビアの政府系ファンドの傘下企業と組み、製造に乗り出す方針を公表している。

 

各事業の拡大にはM&A(合併・買収)も活用する方針で、一連の投資に数兆円規模の自己資金を投じる計画だ。さらに、中東各国の政府系ファンドなど外部投資家からも出資を募り、合計で10兆円規模のリスクマネーを投じることを目指す。

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孫氏が率いるSBGはこれまでもテクノロジーの進展に合わせて、何度も主力事業を転換してきた。

1990年代後半のインターネットの普及期には米ヤフーと共同出資でヤフーの日本法人を設立し、ネットビジネスを展開。2000年代後半には英ボーダフォンの日本法人や米スプリントの巨額買収に踏み切り、モバイル事業への傾斜を強めた。

 

17年のビジョン・ファンドの運用開始以降は投資事業に重心を傾けてきたが、今後は「世界で最もAIを活用するグループ」(孫氏)への脱皮を目指す。

世界の巨大テック企業もAI分野に多大な経営資源を投入しており、マイクロソフトやグーグル、アマゾン・ドット・コムなどは独自の半導体開発に乗り出している。

 

 

SBGはこれらの米テック大手にアーム設計の半導体の回路図を提供したり、データセンターなどのインフラを提供したりすることで、競合ではなく、協業関係を築きたい考えだ。

ただ、AI半導体の開発やデータセンターの運営に向けてこれから人材やノウハウを蓄積していく必要があり、巨額投資のリスクは少なくない。何度も大胆な「賭け」に打って出て、今のSBGを築き上げた孫氏だが、今回の構想実現も難易度の高いものとなる。

(四方雅之、ロンドン=山下晃)

 

 

 
 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

白井さゆりのアバター
白井さゆり

慶應義塾大学総合政策学部 教授

ひとこと解説

明日の決算内容に注目してます。

過去3四半期の実績をみると当期利益が昨年3月期の9701億円の赤字から大きく改善しており、2024年3月期はさらに改善が見込まれています。

英国アーム社の2024年1-3月期の業績は好調で純利益が大きく改善していること、およびソフトバンクビジョンファンドの投資損失が大きく減少していることが主因のようです。

アーム社の決算で2025年3月期の売上見通しが市場予想を少し下回ったことで株価が低下しましたが、GPUを開発し圧倒的な競争力をもって躍進するエヌビディアとの取引もあり将来性が高いと思われます。

半導体市場はブレが大きいですが需要はさらに拡大していくことが見込まれます。

 (更新)
 
 
 
 
 
nikkeikiji 2024.05.12より引用
 
 
 
 
 
 
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1 コメント

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マルテンサイト千年 (グローバルサムライ)
2024-05-22 20:59:43
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような完全理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。

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