自然共生サイトは、環境省が2023年度から開始した認定制度で、民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度です。
ネイチャーポジティブの実現は、環境保護への貢献だけでなく、企業の長期的な利益や社会的評価の向上にもつながるので強く推進されています。
2023年前期の登録分として35都道府県の122か所を認定し、その中の1つとして愛知県稲沢市にある「ビオトープながおか」が認定されました。
実際に訪れてみましたので、「ビオトープながおか」がどんな場所なのか紹介します。
「自然共生サイト」について
2022年12月に生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2030年グローバルターゲットの1つに30by30目標が盛り込まれました。
「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」とは、2030年までに陸域および海域の30%以上を保護地域またはOECMにより保全する目標です。
2021年時点で日本の保護面積は陸域20.5%・海域13.3%であり、目標達成のために新たな保全区域の確保が求められ、2023年3月に新たな生物多様性国家戦略「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定されました。
2030年までのネイチャーポジティブ実現に向けた取組の一つとして、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」として認定する取組を令和5年度から環境省が開始しました。
認定された区域は、保護地域との重複を除いてOECM(Other Effective area-based Conservation Measures:保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)として国際データベースに登録されます。
「ビオトープながおか」について

ビオトープながおかは、地域の憩いの場の創出・在来種の生息地を創造することを目的に、経営体育成基盤整備事業によって2011年に整備された0.1338haのビオトープです。
尾張西部生態系ネットワークワーク協議会員「NPO Longhill Net」が管理等をしており、8月に行われる年に1回の観察会・年に1回の池干しなどを実施しています。


上池と下池があり、池周辺は開けているので多様な鳥類・昆虫類が活用しています。
魚の棲み家として池内に設置した木製沈床は愛知県産の間伐材を用いる、あずま・パーゴラには愛知県産のひのきを用いるなど愛知県産木材の利用にも積極的に取り組まれました。
また地域在来種である高木・低木の植生に合わせて草木類を選定しており、四季折々の植物を楽しめるなど、水辺を中心に憩いの場が創出されています。

ミナミメダカ(Oryzias latipes)・マシジミ(Corbicula leana)が2016年から継続的に確認されており、希少種の保全が行われています。
「ビオトープながおか」へのアクセス
- 所在地:〒495-0036 愛知県稲沢市祖父江町馬飼東馬飼50−1
- 公共交通:稲沢市コミュニティバス「愛知西農協長岡支店」下車後、徒歩約5分
- 自動車:東海北陸自動車道「一宮稲沢北IC」より約10分
駐車場・その他施設について

駐車場はないので、路肩に駐車するしかありません。
周辺道路は狭道では余裕を持って停めることはできますが、生活道路で長岡小学校があるので周囲の交通状況に留意しましょう。
トイレと水場は用意されているので、小さなお子様がいても安心です。
まとめ

自然共生サイトに認定されている、愛知県稲沢市の「ビオトープながおか」を紹介しました。
ミナミメダカの貴重な保全地ですので、ぜひ観察しに行ってみてください。
また、お近くに自然共生サイトがありましたら、そこに訪れてネイチャーポジティブな活動に参加してみましょう。