第101回 newmoについて調べたら~ますます理解ができません~

業界・仕事説明

3月7日にnewmoの事業戦略発表会があり、以下のようなネットのニュース記事が流れていたのは知っており、

新ライドシェア「newmo」、大阪で24年秋開始 「タクシーと共存する」 – Impress Watc

理解としては記事の冒頭の以下の程度で、

newmo(ニュウモ)は、グリー取締役CFOや、メルカリで日本事業を統括し、メルペイの立ち上げにも携わった青柳直樹氏が立ち上げた新会社地域交通の課題解決を目指し、全国のタクシー事業者との資本参加・提携を通じ、タクシー・ライドシェアのハイブリッドモデルで供給拡大を目指す。

第1弾として大阪のタクシー会社である株式会社岸交に資本参画し、2024年秋に大阪府内でライドシェア事業を開始し、2025年中には全国に展開。ライドシェアとタクシーを連携させた新たな事業を立ち上げる。

これだけの情報では、newmo社の狙いや強みが全く理解できずにいたので、ようやく書きたい区切りがつき、newmo社のHPを確認し3月7日の以下の報道発表動画も視聴しました。

newmo事業戦略発表会 – YouTube

そこでようやく理解ができたので順に説明すると、発表会の中で青柳氏は起業した理由の一つを、北海道ニセコでのタクシーが呼べなかったご自身の経験についてスライド付きで説明されていました。

また、newmoのキャッチコピーは「移動で地域をカラフルに」なのですが、その説明としてHPで、「newmoは移動の多様化を通じて、新たな地域交通を実現し、地域の潜在力を引き出すことを目指します。」と説明しています。

そして発表会の中の以下の説明ですが、

「newmoアプリ」とありますが、少なくとも最初はこちらが主ではなく、「運行管理システム」がnewmoの提供したいものであることがわかりました。

そして地域交通は少子化の中、ライドシェア導入が不可欠でそれをタクシー会社が担っていくときに、特に地方のタクシー会社にはノウハウや余力がないため、newmoが資本参加しつつ運行管理システムを支援していくという事業になるようで、発表会でも「特に経営の厳しい地方都市のタクシー会社の経営改善を目指す」という説明をされていました。

ここから特にGOと比較して疑問が多く出るのですが、次の資料は以下の通りで

これらの項目で特にnewmoの優位性を感じるところはないばかりか、利便性の「ピークタイムを予測」については、配車アプリを既に運用しているGOに比べれば完敗の状況です。

また次の資料にあるメルぺイで経験のある「金融機関水準の本人確認の実施(KYC)」が

青柳氏の説明でもnewmoの売りのようですが、安心できるドライバーとは全く関係ないというのではといのが私感想です(ドライバーの要件・管理については私なりの考えがありますので別の機会に説明したいと思います。)が、以下の別の資料の中でもKYCはアピールポイントにされています。

なおこの表題にある、デジタルで効率化するという点についてはnewmoの得意分野であり、タクシー業界は遅れているので改善の余地はあると思いますが、もともとnewmoはタクシー業務に知見があるわけではないので、GOと比べて遅れをとっていると思います。

そして以下の通りスタートの説明があるのですが、

まずこの中でnewmoがドライバー採用支援とありますが、以前にも説明しましたがこらも完全にGOジョブには負けています。

また大阪でスタートということで、第94回 余りにも酷い大阪のライドシェア3月12日の発表についてで指摘していますが前提を鵜呑みにしてるの?という点からそもそも疑問なのですが、

newmo、大阪市域交通圏にてタクシー事業を展開する岸交に資本参加 2024年秋に大阪でライドシェア事業を開始 | newmo株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)

大事な基本となる「OSAKAモデル」の構築のお相手が岸交株式会社で本当に大丈夫というのが率直な感想です。

まずライドシェアを実施するにあたり一番ネックになるのと思うのは岸交の営業所の所在地で、堺市西区鳳北町なのですが、大阪市内中心部から20㎞ほども離れています。ライドシェアは需要に合わせた供給対応のために短い乗務時間が想定されると思いますが、その場合主たる営業エリアまで距離が遠いのは致命的なロスになります。大阪市内に営業所があるタクシー会社はいくらでもあるので、ライドシェアという枠組みで競争すれば、非常に不利な条件ですので選択に疑問を感じます。

また、上の資料を見るとnewmoは相手の岸交から運行管理ノウハウを得るということになっていますが、私の実感では大阪のタクシー会社は旧態依然の会社から本当に色々あるのが実情で、岸交さんには大変失礼ながら「OSAKAモデル」構築のためのノウハウの価値は大丈夫ですか?という疑問があります。

もちろん私は岸交さんのことに詳しい訳ではありませんが、まずHPをみても何か積極的な取り組みをしてきた会社に思えないですし、アプリの利用もGOしかされていません。

また、青柳氏の発言で気になったのが既存のタクシードライバーの働き方を「隔勤」と説明してたところなのですが、今どき大阪のタクシー会社で「隔勤」しか認めていない会社は、人材確保で後れを取っている会社でタクシー事業に苦戦している会社の典型例です。

実際のところ、newmoのビジネスモデルでは、資本参加したタクシー会社が全体のビジネスとして儲かる会社とならない限りnewmoに利益は還元されないと思うのですが、そもそも本業のタクシー事業で儲からない会社に資本参加し、運営管理コストをいくらかコストダウンできたとしてもあまり成果が出ないと思います。

またnewmoから見れば大阪も地方都市かも知れませんが、東京と同じ、流しのタクシーが十分に成立しタクシー会社が競合している大都市ですので、「OSAKAモデル」は地方のモデルとは違うはずですが、区別をされていないところが気になりました。

なお最終的にはnewmo配車アプリがビジネスの主体と思いますが、タクシーもライドシェアも同時に呼べるのは当たり前ですので、後発でどのように差別化してユーザーを獲得するのか見えません。

またドライバー側の配車アプリについては「複数のアプリの一元化を検討」と青柳氏から口頭での説明がありましたが、もしそれができればドライバー側にメリットはありますが全く未知数のところです。

最後に資金面について、newmoは今年の2月に15億円の資金調達をした記事がありましたが、以前に説明したGOの資金調達力(6年間で約450億円)と比較すると決して優位性があるとは思えません。

ということで、newmoのビジネス成功の道筋をGOとの比較も交えながら、私なりに考察したのですが全く分かりませんでした。

実際のところ、GOに対する見方は以前にお話した通りで、私自身それに新たに対抗する日本の会社としてnewmoに期待するところがあったので、私の理解してない何かがきっとあるのではというモヤモヤした気持ちは残るのですが、調べれば調べるほど残念となる結果でした。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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