ビタミン論争の決着 | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

ビタミンについては「医学的根拠がない」とか、「過剰摂取になるからサプリなど飲まないほうがいい」などという批判が以前からありました。

 

いわゆるビタミン叩きの言論です。

 

安価に手に入り、病院に行かなくても良いので医業や製薬業にとっては不都合なのでしょうか。

 

こんなセンセーショナルな論文が発表されて話題になりました。

 

 

 

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毎日のビタミンが死の宣告になるとき
 

When daily vitamins become a death sentence: What doctors need to know


最近、英国で89歳の男性が高カルシウム血症で死亡したが、ビタミンDサプリメントが原因である可能性を示唆する研究報告がなされた。

 高カルシウム血症は心臓や腎臓に問題を起こし、骨を弱くする。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、ビタミンDを過剰に摂取するとカルシウムが蓄積され、血液中のカルシウム濃度が上昇し、高カルシウム血症になる危険性がある。報道によれば、この男性は死亡する少なくとも9ヶ月前からビタミンDのサプリメントを摂取していた。Business Insiderによると、検視官は、ビタミンDサプリメントには過剰摂取のリスクが十分に表示されていなかったと述べた。

 この事件は、患者が一般的なビタミンのリスクについて十分に教育されていない可能性があること、そしてこれらのサプリメントは我々が考えている以上にリスクが高い可能性があることを示唆している。このようなビタミンのリスクについて患者を教育し、必要のないサプリメントを購入しないよう促すことは重要であろう。



ビタミンが患者に有益かどうか


 多くのビタミンが健康上の利益をもたらすが、これらの利益はすべての患者に、あるいはすべての投与量に当てはまるわけではない。ビタミン補給のリスクについて患者に話す際には、まず、患者が求めている有益性と、それが個人に当てはまるかどうかを取り上げるとよい。

 例えば、ビタミン欠乏症の患者に特定のビタミンを補給することは有効かもしれない。しかし、その患者がすでに健康的な食事や他の栄養源から十分な量のビタミンを摂取している場合は、サプリメントの摂取は有益ではないかもしれない。

 その一例がビタミンB12の補給である。厳格なベジタリアンやビーガンの食事をしている患者は、ビタミンB12欠乏のリスクがあるため、ビタミンB12の補給は有用である。肉も野菜もよく食べる患者では、ビタミンB12欠乏症はあまりみられず、ビタミンB12の補充はあまり役に立たない。

 


水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンのリスク


 ビタミンは水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類に大別されるが、これはビタミンの体内への吸収や排泄のされ方によるものである。水溶性ビタミンは、腎臓で速やかに濾過される。これらのビタミンは体内に長期保存されないため、食事で定期的に補給する必要がある。また、水溶性ビタミンはすぐに体外に排出されるため、サプリメントを摂り過ぎても深刻な副作用を起こす可能性は低い。

 一方、脂溶性ビタミンは脂肪に溶けて体内に長期間蓄積される。また、脂溶性ビタミンを摂りすぎると、ビタミン中毒やその他の好ましくない副作用を引き起こす可能性が高くなる。

 最近英国で起きた死亡事故の原因とされるビタミンDは脂溶性ビタミンである。

 「A、D、E、K、鉄のサプリメントのようなビタミンの過剰摂取は、吐き気、めまい、ひどい場合には臓器障害など、健康に深刻な結果をもたらす可能性があります」と、内科、呼吸器科、クリティカルケア科、睡眠医学を専門とする4つの専門医の資格を持ち、Sleep Advisorのチーフ・メディカル・アドバイザーであるラジ・ダスグプタ医学博士は言う。

 ダスグプタ医師は、「自己判断でビタミンやサプリメントの摂取量を大幅に増やす」前に、医師に相談するよう患者に注意を促している。



脂溶性ビタミンのリスクとベネフィット


 患者に脂溶性ビタミンの体内蓄積のしくみを説明し、サプリメント摂取の必要性やリスクについて理解させることは重要である。

 脂溶性ビタミンには、ビタミンA、D、E、Kが含まれる。


 

ビタミンAのリスクとベネフィット


 ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、白血球の形成、細胞の成長、骨の健康、目の健康といった身体のメカニズムをサポートする。米国ではほとんどの人がビタミンA欠乏症を経験せず、ビタミンAサプリメントを摂取する必要はないが、例外も存在する。

 ビタミンA欠乏症の経験がなく、ビタミンAを過剰に摂取している人は、以下のような症状を引き起こすビタミンA中毒になる危険性がある。

視力の変化
骨の痛み
吐き気と嘔吐
皮膚の乾燥
光に対する過敏症


 ビタミンAの過剰摂取は肝臓にも影響を与えるとダスグプタ博士は言う。



ビタミンDのリスクとベネフィット


 ビタミンDは脂溶性ビタミンで、カルシウムとリンの吸収を助け、骨の健康をサポートする。ビタミン欠乏症の中でも、ビタミンD欠乏症は他のビタミン欠乏症よりも一般的で、筋肉や骨の衰弱、疲労、抜け毛やもろい髪、うつ、食欲不振、青白い肌などの症状が現れることがある。しかし、ビタミンD中毒は、高カルシウム血症のような深刻な問題を引き起こす可能性があり、以下のような症状を引き起こすことがある。

吐き気と嘔吐
衰弱
頻尿


 「ビタミンDの過剰摂取は腎臓に有害です」とダスグプタ博士は言う。「このため、推奨される摂取量(と治療計画)に従うこと、ビタミンやサプリメントの摂取量を増やすことを決める前に医師に相談することが非常に重要なのです」。

 ビタミンDの欠乏と毒性はどちらも懸念されるため、治療の指針としてビタミンDレベルをチェックすることは重要である。


 

ビタミンEのリスクとベネフィット


 ビタミンEは脂溶性ビタミンで、細胞を保護する働きがある。米国では、ビタミンEの欠乏症も中毒症もまれであり、通常は症状を引き起こさない。症状が現れる場合は、以下のようなものがある。

出血
筋力低下
疲労
吐き気
下痢

 


ビタミンKのリスクとベネフィット


 ビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固と骨の成長をサポートする。欠乏症や毒性はまれだが、重篤になることがある。ビタミンKの相互作用については、特に血液希釈剤を服用している場合は、患者とよく話し合うことが重要である。血液希釈剤の中にはビタミンKを阻害するものがあり、患者の健康を維持するためにビタミンKの摂取量を変更しなければならない場合がある。これは必ずしもサプリメントとは関係なく、食事の選択に関係することもある。症例と薬剤を個別に評価するのが賢明だろう



 水溶性ビタミンにもリスクがある。例えば、ナイアシン(ビタミンB3)は血管の炎症に関連している。いずれにせよ、リスクとベネフィットを常に把握し、患者に用心深く質問するよう促すことで、あなた自身と患者の安全と情報提供を保つことができる。

 

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この論文には高カルシウム血症で死亡した男性がどれくらいの量のビタミンDを摂取していたのか記載されていません。

 

おそらくとんでもない高容量を摂取していたのではないかと思われます。

 

オーソモレキュラー医学会では不足している栄養素(ビタミンやミネラル)を補うことによって治療をしている医師が多く所属しています。

 

この学会を創った柳澤厚生先生のコラムを是非お読み下さい↓

 

 

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数年前 はビタミンやマルチビタミンのサプリメントに対するネガティブな医学論文が注目され、有効であるというポジティブな論文は日の目を見ない傾向があった。

以前執筆した「マルチビタミン論争」のように、僅かなリスクをセンセーショナルに扱い、一方で大きな恩恵については敢えて書かないという手法である。

 

同様に数年前、クリーブランドクリニックの泌尿器科のグループは、35,533人の男性を調査し、健康な男性はビタミンEの摂取で前立腺ガンの罹患リスクが0.24%増加すると発表し、ニュースウィークスを初めとする有名雑誌に取り上げられた。

 

しかし、論文を取り寄せて熟読すると、ビタミンE摂取で総死亡率を0.2%、心臓発作を0.3%、重症心臓病発作を0.7%減少させたと書かれている。

 

ところが抄録だけ読む限り、ビタミンEの重要な有益性については一切書かれていない。

 

メディアの取り扱いもビタミンEのポジティブな効果を取り上げず、フェアとは言えない。

そのような風潮の中で、マルチミネラルの摂取ががんのリスクを減らすという重要な論文が発表された。

 

このようなポジティブな論文こそメディアは情報発信するべきであるが、現実はほとんど取り上げることはない。

 

そこでぜひ読者には詳細を知って頂きたいと思う。

 

マルチビタミンはがんリスクを減らす(ハーバード大学)


この論文はハーバード大学医学部のグループにより、米国医師会雑誌に発表された。

 

50才以上の男性医師14,641人にマルチビタミンもしくはプラセボを約11年間投与した。

 

その結果、マルチビタミンを摂取した群は有意にがん罹患率が減少したのである。

 

がんの既往のあるグループもマルチビタミンの摂取でがん罹患率は減少している。

 

米国人男性に多い前立腺がんと大腸がんの罹患率は差がなく、総罹患率で減少していた。

 

さて、この論文におけるマルチビタミン摂取によるがんリスクの減少は8%である。

 

年間がん死亡者数が35万人に迫る日本なら、単純計算で2万8千人のがん死亡を減らすことができる。

実は、健康な食事、禁煙、肥満の改善、さらに妥当な量のサプリメントの摂取により、さまざまな生活習慣病を予防することは経験的にも知られていたことである。

オーソモレキュラー医学を知る人なら、何を今更というところであろう。

 

ところがこの研究が他と違うところは、対象となったのが医師であったところである。

 

米国医師には喫煙者が少なく、ヘルシーなライフスタイルを好み、もともとがんリスクは低いと考えられ対象者である。

 

そのような医師がマルチビタミンを摂取することでがんリスクが減っているのである。

 

これの意味することは大きい。


マルチビタミンの摂取量について


実際、米国においてマルチビタミンは人気のサプリメントであり、男性の48%、女性の56%、そして医師の72%が摂取している。

 

しかし、これまでの20年間に多くのマルチビタミンの臨床試験でポジティブな結果が少なかった。

 

これについてペンシルバニア大学医学部神経科学科の准教授Robert G. Smith博士は摂取量が余りに少ないか、組み合わせが不適切なために相乗作用が生まれなかったのではないかと言っている。

 

例えばビタミンCとビタミンEが相乗的に抗酸化作用を発揮することはよく知られている。

Smith博士は1日摂取量について、

 

ビタミンB1, B2, B5, B6を50〜100mg、

 

ビタミンB3を200-1000mg、

 

ビタミンCを3〜6g、

 

ビタミンDを1,500〜2,000単位、

 

ビタミンEを400〜1,200単位、

 

マグネシウムを200〜500mg

 

を推奨している。



オーソモレキュラー医学を実践する医師の言葉

 

オーソモレキュラー医学では「体の中に自然に存在する物質(ビタミン、ミネラル、アミノ酸など)を分子レベルで最適な量を投与して病気の予防と治療をする」のである。

マルチビタミンはオーソモレキュラー医学で多用する。そこで、オーソモレキュラー療法のリーダー達にビタミンについて述べている言葉を紹介しよう。



<マイケル・ジャンスン医師>(米国)

高用量のビタミンE(800 IU)は、健康な高齢者の免疫力を高める。

 

また、ビタミンCの用量を、国の推奨量の100mgよりはるかに多くして2,000mgを摂ると、アレルギー性の鼻炎と喘息が有意に減少する。

 

三叉神経痛の治療にビタミンB1(チアミン)が使用され成功を収めていたことが、ずっと前の1940年にアメリカ医学会誌に発表された論文に記載されていた。

 

栄養療法および栄養素療法は、他のほとんどの医療より安全で安価で効果的であるという、常識になりつつある事実を受け入れようとしていない医師が多い。

マスコミのほとんどの記者は、栄養に関する最新の文献も、古い文献も、ちょっと前の文献も知らない、ということは明らかである。

 

こうした文献を知らないのなら、記事を書くべきではない。



<トーマス・レヴィ医師>(米国)

現代医学には、現代の政治よりも多くの策略が見られる。

ビタミン剤など抗酸化作用があるサプリメントの科学的データを自分の目と頭に受け入れることを医師が拒み続けているかぎり、今日の平均的な医師は、今日の平均的な政治家よりも低い信頼しか得られない。

<ガート・シュートメーカー博士>(オランダ)

オランダ保健審議会の報告書によれば、公式の食事指針に従って食事をしている人は人口の2%に満たない。

 

また、たとえそうした食事指針に従って食事をしていても、ビタミンA、ビタミンD、葉酸、鉄、セレンおよび亜鉛は十分に摂られていない、と同審議会は述べている。

オランダの病院での調査によると、患者の40%は、入院の時点で栄養不良の状態にあった。

 

従って、サプリメントは必要である。

 

多くの慢性疾患のもとは代謝障害と栄養不足にあるので、最善の治療法は、栄養状態を良くすることであり、これにはサプリメントの使用が含まれる。

 

ビタミン・ミネラル剤の「危険」は、疑われている有毒作用にあるのではなく、慢性的な欠乏にある。

私は30年間毎日、科学文献に従っているが、サプリメントによる悪影響はこれまで見たことがない。


 

おわりに

私が20年前に大学生を調査したところ、多くの学生が亜鉛やビタミンの不足が見られた。

 

今はもっと酷い状態だろう。

 

私たち日本の医師らは慢性疾患を見たときに、まずは栄養状態を診断し、投薬の前に適切なビタミン・ミネラルの投与を開始するべきである。

オーソモレキュラー医学の基本は「薬を投与する前に栄養状態を適切に改善する」ことである。


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最近、栄養療法が一般の方にも広く知られるようになり、ネットで海外のサプリを購入して摂取している人も増えてきました。

 

受診される患者さんのサプリをチェックしているのですが、海外サプリの中には鉄やヨウ素が含まれているものも多く、知らず知らずのうちに過剰摂取になっているケースがあります。

 

 

だから自己判断であれもこれもと過剰に摂取するのは危険です。

 

またサプリメントの中に発癌性のある添加物が含まれていることもあります。

 

 

 

 

 

だからどんな商品を選ぶのかも大切。

 

そして可能なら血液検査を受けて血中ビタミン濃度やミネラルを測ると過剰摂取の心配もありません。

 

そもそも医療機関専用サプリでは過剰摂取にならない量で設計されているので安心ですが・・・。

 

 

栄養療法は製薬業界から兎角批判されがち。

 

栄養状態が良くなって病気が減ったら薬が売れませんからねニヤニヤ

 

 

診療所では大勢の患者さんに栄養療法をやっていますが、皆さん、体調も良くなり元気になられます。

 

薬に頼る前に栄養状態を見直すことが大切。

 

 

臨床現場で当たり前のように栄養療法が行われるようになれば病気も減るでしょうね。

 

 

 

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