こんにちは、きよし弁護士です(弁護士細川潔、埼玉弁護士会、37962)

 

不登校重大事態について、あまり取り扱ったこともないのですが、気になったことがあったので、備忘も兼ねて。

 

いじめ防止対策推進法28条1項2号において、不登校重大事態は以下のように定められています。

 

柱書

学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

 

1項2号

いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

 

ここで、「相当の期間」の意味が問題となってきます。「相当の期間」については、「いじめの防止等のための基本的な方針」に定めがあります。

 

「法第2号の「相当の期間」については,不登校の定義を踏まえ,年間30日を目安とする。ただし,児童生徒が一定期間,連続して欠席しているような場合には,上記目安にかかわらず,学校の設置者又は学校の判断により,迅速に調査に着手することが必要である」

 

ポイントは、「年間30日を目安」という点と、一定期間連続して欠席している場合は目安に関わらず迅速に調査に着手するという点です。

 

では、例えば、欠席していなかった又は短期間しか欠席していなかったが、退学・転校してしまった場合などはどうなるのか?

 

「相当の期間」の欠席ではない以上、法28条1項2号の不登校重大事態には当たりにくいと思われます。

 

このことについて、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」に以下のような記載がありました。

 

「高等学校や私立の小中学校等におけるいじめの事案で被害児童生徒が学校を退学した場合又はいじめの事案で被害児童生徒が転校した場合は、退学・転校に至るほど精神的に苦痛を受けていたということであるため、生命心身財産重大事態に該当することが十分に考えられ、適切に対応を行う必要がある」

 

つまり、「退学・転校に至るほど精神的に苦痛を受けていた」ので、法28条1項1号「生命、『心身』又は財産に重大な被害が生じた」場合に当たり得るとしているのです。

 

いじめによる死亡・ケガの事案が1号の重大事態にあたることは明らかです。

 

ただ、ガイドラインで、相当期間欠席していない退学転校事案も1号の「心身」に関する重大事態に当たり得るとされていることは、知られてもよいことでしょう。

 

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