人にはふたつの影がある。光が当たって生まれる影法師と、生きていく中で光が当たってない
影。誰もがそんな影を持っている。別に好んで得た影ではないけれど、自分でも気付かない間に
その影で身を包んでいる。日の当たる場所は影があってこそより煌々と目に映る。若い頃には影
のある人物が不明瞭で謎めいていて、いびつな様で格好いいと支持されることがある。ただ本当
の影とは酷く淀んでいて重苦しいもの。けれどそれは、己に課せられた深い傷でもある。
ーSHAKATAKー ♪SHADOW
私たちは生身の人間。楽しい事を望み、苦しい事は避け、いつまでも気持ちよく生きていたい。
だが、現実はそれを容赦なく奪い去る事がある。どんなに願っていてもだ。軽いダメージを受け
それから次々と重いのが来る。賢くひ弱で可愛らしい人間も、これじゃあ立ち上がれないよ。
それでも瀕死の姿で、少しづつ立ち上がろうとする。そんな時、影が出来るんだろう。
人の影を決して笑ってはならない。知らないから不気味になってもいいけど、笑いかける自分に
もそれはあるんだから。自分でも臆する程、この世から消えてしまいたいと一度でも思った
事。人を消せるものなら消してしまいたい程恨んだ事。それを経験した事のない大人がい
るのならば一度会ってみたい。余程、卓越した人物か、神に近い程慈悲があるのだろう。
今まで好きな俳優を5人挙げるならと アンソニーホプキンス トムハンクスの名を出したけれ
ど、3人目は映画俳優マイケル・ダグラスを挙げる。世界中にハンサムで艶のある男はいるもの
だけれど、しいて言うなら彼は正しく僕にとって格好いい影のある男の代表例だ。
先ほども言ったが、光と影の関係はあのレンブラント絵画をじっくりと観ても分かる。
光失くして影無し。影失くして光無し。
以前、ある街のコミュニティセンターで友人と話していた。そこにある政治家の秘書という男性
が近くに座った。短髪で柔道家の様な体格で上等な背広を着た男性は、おもむろに口を開いた。
夏だったので、「暑いですね。さっきから世界がどうとかお話しされてたのが聞こえたんですけ
ど、今仕事でこの県の県知事さんと会うためにいるんですけど、人生で最も大事なものは何なん
でしょうね?」と聞いてきた。しばらく黙っていると、「そんなに、考える事ですか金ですよ」
と言って笑っていた。ある意味そうなのかもしれない。だがこの男性にもやはり影があるのだ。
最も大切な事にも人は影を抱えて生きている。そんなことがあった。
ではまた ありがとう・・・