黒猫の額:ペットロス日記

息子は18歳7か月で虹の橋を渡りました。大河ドラマが好き。

【光る君へ】#18 まひろ成長、道長は姉女院の強力アシストで権力の頂点へ。ゲス兄伊周に絡まれる定子憐れ

 NHK大河ドラマ「光る君へ」第18回「岐路」が5/5に放送された。まずはあらすじを公式サイトから引用する。

(18)岐路

初回放送日:2024年5月5日

道隆(井浦新)の死後、一条天皇(塩野瑛久)が次の関白にと命じたのは道兼(玉置玲央)だった。道兼は民の為によい政をと奮起していたが、関白就任の日に倒れ、七日後にこの世を去る。その頃、為時(岸谷五朗)の屋敷にききょう(ファーストサマーウイカ)がまひろ(吉高由里子)を訪ねてくる。次の関白は伊周(三浦翔平)か道長(柄本佑)かで内裏では話が持ち切りだと聞かされ…。夜、まひろが道長との思い出の場所へ行くと…(18)岐路 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 この公式サイトの「あらすじ」を読んで、ようやく理解できた。そうか、まひろも道長も、思い出の場所へ自分からフラリと赴いたのか。まひろが道長に呼び出されたのか?と思ったが、文のやり取りで乙丸百舌彦のオトモズが活躍する場面も無かったから、どうして2人があそこで会えたのかが不思議だった。互いに幻でも見ているのか?とも思った。

 そもそもあんな物騒な場所に、従者の乙丸は付いていくにしても女1人でよく行くよね・・・なんて言えば、ドラマが始めからぶち壊しだが、それにしても、2人は偶然にもそれぞれ思い立ち、あそこへと同時に出向いたとは。

 だったら、道長と会話もせずそっと立ち去るまひろの行動も分かる。もう権力の頂点に立った、別世界の人だ。下級貴族の自分からしたら、話しかけたら消えそうな、それこそ幻みたいなものかも。偶然、近所の公園に訳ありそうに佇む推しのスターを見つけても、声かけられないもん。

 現実的に考えても、身分違いのまひろからの声かけは失礼だろうし。空気を読んで、そっと消えるだろう。「先日は看病どうもありがとうございました~」とか、自分勝手に明るく言ってる場合じゃない。

 道長との身分差を、理不尽かもしれないけれど理解できるようになったのだ、まひろも。以前は「北の方にしてくれるの?」なんて無理難題を上級貴族に対して言っちゃってたし、父為時に仕事をくれと兼家パパ(当時、摂政様)に直談判にも及んだが。

 ききょう(清少納言)から、道長が中宮定子の希望を贅沢だと却下したと聞いて笑ったまひろ。「あの人らしい」と思ったのだろうな。また「あの人、人気無いんだ」と思いを馳せた時も、後ろ向きだったけれど、きっと頬が緩んでいたろう。有名人の道長を個人的に知るだけに、出てくる笑みだ。

 まひろはもう、平常心で道長のことを考えられる。さわが惟規に「いい思い出」と言ったように、既に20代半ばのまひろは、少女期の恋愛を心の中で昇華できたかな。疫病を経験したことも大きかったかも。死にかけて、考えることもあっただろうから。

 ドラマチックなBGMにのせての、あのスローモーションの歩み。まひろが道長の横をすり抜けていった時、激しく求めあうような青春時代は終わり、2人の「岐路」を感じさせた。

 いや、まだわからない。次回の冒頭で、道長に呼び止められ、また戻って抱き合っているかもしれないもんね。まだわからない。

イケオジ宣孝、堂々とまひろにロックオン

 そろそろ夫となる宣孝との恋バナが本格的に始まりそうなのか?筑前守と大宰少弐の勤めから4年ぶりに戻った宣孝が、よりケバケバしくなって・・・いや、金持ち感をプンプンとさせ、土産を携えてやってきた。

 そして、まひろへの言動を見て、これまで宣孝の意図に気づいていなかった為時パパも、さすがに何か気づいたようだ。

藤原為時:ああ、変わった味だな、唐の酒は。

藤原宣孝:戦人の飲む酒だ。我らは戦を致さぬゆえ口には合わぬが、おかしなものも一興であろう。まひろも味わってみるか?

まひろ:はい!(興味で目がキラキラ)

為時:やめとけ。

宣孝:何事も経験だ。(酒を注いでまひろに渡す。まひろ、酒を飲む)どうじゃ?

まひろ:カッといたしますね。まさに、戦の前に己を鼓舞する酒でございますね。

宣孝:その通りだ。まひろは、打てば響く良い女になったのう。年を重ねて色香を増した。

まひろ:お戯れを。そんなことより、宋の国のことをお聞かせくださいませ。博多の津には宋の国の人が商いに来ているのですか?

宣孝:ああ。商人も役人も来ておるぞ。薬師もおる。宋には科挙という制度があり、これに受かれば身分が低くとも政に加われるそうだ。

まひろ:まことでございますか!身分を越えて機会が与えられる国があるなんて。行ってみとうございます!

宣孝:行くのは難儀じゃが、ああ、宋の物なら手に入るぞ。これは、宋の国の薬で切り傷に驚くほど効く。太宰府では、この薬でぼろ儲けした。国司の旨味を味わい尽くしたわ。これは、唐物の紅だ。

まひろ:美しゅうございますね。

宣孝:まひろのために買って参った。(驚き宣孝を見る為時。宣孝、指で紅を練り、まひろに差し出す)注してみよ。(薬指で紅を注すまひろ)よいではないか!ハハハ!思い描いた通りじゃ!ハハハハハ。

為時:大宰府は、魚もうまいのであろう?

宣孝:(まひろ、指についた紅を拭った布を宣孝に渡す。それを受け取った宣孝も手を拭きながら)玄界の海のイカ、エビ、タイがそれはそれはうまい。されど、生物は持って帰れぬゆえなあ。(布をまひろに返す)

為時:ああいや、そのようなことを申したのではない。

まひろ:大宰府から宋まではどのくらい時間がかかるのですか?

宣孝:海を渡って10日、それから宋の都まで陸路でふたつきはかかるそうじゃ。

まひろ:遠いのですね・・・。

為時:行こうなどと考えるでないぞ。

まひろ:伺っただけにございます。

宣孝:行くならわしが一緒に行ってやろう。ついでに商いもできるゆえ。

為時:やめてくれ。その気になったら困る。

まひろ:心配性な父上。(宣孝と顔を見合わせて笑い合う

 為時パパが、まひろと宣孝2人の会話になかなか入り込めず、背後で「え?どういうこと?」と戸惑っているような小芝居が面白かった。まひろは紅で汚れた手を拭くための布を宣孝に渡すが、宣孝に特に説明もしない。宣孝も、為時と話をしながら自然に受け取り、手を拭き、まひろに戻した。

 なんだ、この2人の間にある自然な夫婦感!次回でどう転ぶか分からないけれど(まだ道長に一縷の望みを託している私)、そのまま道長と別れて帰ったとして、幼い頃から知っている宣孝おじさんとの手近な恋に、まひろも気づくってことなんだろうか・・・。

 宣孝は、紅を注したまひろのことを思い描いていたらしい。ふーん・・・宣孝の方は、すっかり恋焦がれちゃってるじゃん。時代も個人差もあるけれど、まひろの方は、父親と同世代には抵抗感ないのかなあ。

 まひろが道長との恋愛にもう少し踏みとどまってほしいこちらとしては、次回の冒頭で道長に呼び止められ一夜を共にし、その子を産んだまひろを宣孝おじさんが庇護する形の婚姻、という路線をまだ期待している。どうなるんだろう!?

悪人道兼を悼み、道長の覚悟を思う

 ところで、今回は俗に言う七日関白の道兼が落命した。一条帝の前から下がる時に頭から昏倒した様子には、よく中の人がケガをしなかったものだと思ったが、役者さんの世界にはそういう技が昔からあるそうだ。「仏落ち」というらしい(たぶん)。

 ご存知のように、道兼はヒロインまひろの母を初回で刺殺した。少年三郎(道長)や従者をも平気で己の気持ちを収めるためだけに虐待した。花山帝も道兼にはめられて、退位を余儀なくされた。父兼家に憧れて、だけれど残酷にもいいように駒として使われて、道兼にも可哀そうなところはあったけれど、ヒールだった。

 その彼が、自分の立ち位置に気づき、自暴自棄になったところからどうやって道長が立ち直らせたのかが不明だったが、とりあえずここ数回の道兼&道長の兄弟仲は本物ということらしい。

道兼:(関白となる詔を得て)公任の邸で荒れていた俺を救い上げてくれたお前のお陰だ。

道長:そのようなこともございましたね。

道兼:お前を右大臣にするゆえ、これからも俺の力になってくれ。

道長:(頭を下げ)救い小屋のこと、公の仕事としてください。

道兼:もちろんだ。

道長:兄上なら、良き政が出来ましょう。

道兼:(小さく笑う)父上に、もはや恨みはない。(澄んだ瞳で道長を見る)されど、あの世の父上を驚かせるような政をしたいものだ。まずは諸国の租税を減免し、新規の荘園を停止しよう。

道長:兄上なら必ずや。ではこれで。

道兼:ああ。(立ち上がり、道長を見送る。足元がふらつく)

 最後の「足元がふらつく」場面で疫病の影を感じてゾッとしたが、この兄弟のこんなに穏やかな会話を見ることができるなんて初回には思いもしなかった。2人の主導する政を見てみたかったな・・・こんな感情になるだなんて。

 そして、関白就任の慶賀奏上の後、道兼は公卿たちを従えて帝と対面、直後に倒れた。病臥してからは、疫病を道長にうつすことを心配したが、道長は御簾の中に飛び込んで行き、道兼の最期に寄り添った。亡くなった道兼はまだ35歳だったとのこと。

道長:兄上、薬師を連れて参りました。

道兼:(御簾の中で横たわっている。弱々しい声で)近づくな、俺は疫病だ。悲田院で見た者たちと同じである。

道長:ご無礼。(御簾の中に入る)

道兼:やめろ!お前が倒れれば、我が家は終わる。二度と来るな。

道長:疫病でも治る者もおります。

道兼:(起き上がり)出ていけ、早く。俺を苦しめるな。・・・行け!

(涙の滲む目で道長を見据える道兼。立ち上がり、出ていく道長。背後から聞こえる道兼の読経、廊下で立ち止まる道長)

道兼:俺は・・・浄土に行こうとしておるのか?ハハ・・・ハハハ。無様な、こんな悪人が。ハハ・・・ハハ。ハハハハハ。(咳込む)

道長:(引き返し、泣きながら咳込む道兼を抱きしめ、背をさする)

 兄没後、夕暮れの土御門殿で、虚ろな目をした道長はバッタリ倒れていた。それを倫子が静かに見守る。ここまで道兼の死に揺さぶられている。

 道長は、姉の詮子に「関白にならなくてもいい」と言って「うつけ者!」と怒鳴られた。そして、無口にどんよりしている。

 父母と兄2人が逝き、残るは姉1人。その詮子には関白になれと迫られる。道長のショックは、道兼の死を悼む余りと言うより、権力の椅子が自分に迫りつつあることに慄然としているのだろう。身内の死をそれとして悼んでいられない権力者の家の辛さがあるね。

 道長の場合、権力を前にした受け止め方が長兄道隆や、甥の伊周とは全然違う。自分の家のために政を行おうとすれば、道隆や伊周のように気楽にギラギラしていられるのだろう。しかし道長の政は違う。直秀への誓いがあるから、民を思う政だ。

 内覧兼右大臣となってから、ひとり月夜の縁に座る道長の心中にこだまするのは、昔のまひろの言葉だった。

回想のまひろ:道長様は偉い人になって、直秀のような理不尽な殺され方をする人が出ないような、より良き政をする使命があるのよ。誰よりも愛おしい道長様が、政によってこの国を変えていく様を、死ぬまで見つめ続けます。

 月夜の思い出の場所で偶然再会したまひろは、「昔の自分に会いに来たのね」と道長の姿を見て思った。道長は、原点に立ち戻り、意志を固めに思い出の場所に足を運んだのだ。権力者になるための心構えとして、必要なことだったんだね。

 さて、道兼の死については、まひろと為時も話をしていた。

為時:仇とはいえ、これで良かったとは思えぬのう。さぞや、無念であったろう。

まひろ:(為時と並んで縁に座り、月明かりの庭に目を向けている。ため息をつき、立ち上がって部屋へいく。琵琶を手に戻り、縁に座り直す)あの御方の罪も無念も、全て天に昇って消えますように。(まひろを見る為時。まひろが琵琶を弾く)

 母ちやはの死から、20年ぐらいは経過したか。道兼に対して、仇として怒りで震え気絶する程の思いを抱えていたまひろが、彼の罪も無念も天に昇って消えろと願う。為時も、さぞや無念だったろうと道兼を慮っている。

 遺族2人がそう言うのだから、視聴者が道兼を悼んでも許されそうだ。

ゲス兄・伊周、ひどすぎる妹への八つ当たり

 道兼が死んだ後に、母の高階貴子と息子2人・伊周&隆家が朝餉を摂っていたシーンでは、それじゃ中関白家のご兄弟、あまりにも罰当たりじゃない?と思わされた。「七日関白とは情けない」とか「よくぞ死んでくれた」とまで、叔父の死について言っちゃうのだもの。

 その兄弟の言葉を母・貴子も諫めず「父上がお守りくださったのですよ」と言ってしまう。「本音だろうが、人間としていけない」と賢い貴子なら言いそうなものだ。この家族は、奢り切ってしまったってことなのかな。

 見ていてこちらも怒りがこみ上げてしまったのが、伊周と定子の対話だった。自信満々に育った伊周は、何かあればすぐに八つ当たり、そのターゲットは定子だ。自分は悪くない、悪い状況は定子のせいと考える。まさに「せいだ病」に憑りつかれている人物だ。

 それを演じる三浦翔平、振り切っているなあ。こんな悪人顔ができる人だったんだと感心した。すごい。今後の役者人生は大丈夫か。

一条帝:こたびは右大臣道兼を関白といたす。(帝の言葉に目を剥く伊周)右大臣を差し置いて内大臣を関白と成せば、公卿らの不満が一気に高まるは必定。公卿らが2つに割れることを朕は望まぬ。すまぬ、伊周。

伊周:(怒りで絞り出すように)お上がお決めあそばされたことに、誰が異を唱えましょうか。

一条帝:では・・・(座を立ち、去る)

伊周:(ひれ伏したまま、床を睨んで)これでは、亡き父上も納得されぬ!(定子に対して)そなたは何のために入内したのだ!

定子:このところ、お上は夜もお休みになっておられませぬ。

伊周:迷うからだ。私を選んでおればよいものを。

定子:兄上が関白になるのがお上は不安なのです。

伊周:私に何の不安があると申される。

定子:もっと人望を得られませ。

伊周:人望?

定子:次の関白にふさわしい人物だと思われるために、精進していただきたく思います。

 そして第2ラウンド。道長が姉詮子の強力なプッシュで、伊周に代わって内覧となってからの話。一条帝は「これで堂々とそなたの兄を関白にできる」と定子に語りかけていたが、母の涙の訴えを受け、結局はそうしなかった。

伊周:(定子の登華殿に現れ)どけ。どけ!!(出ていく女房達)

定子:お静かになさいませ。

伊周:(ドスドスと足を踏み鳴らすように威圧的に近づく)帝のご寵愛は偽りであったのだな。

定子:そうやもしれませぬ。

伊周:(溜息)年下の帝のお心なぞどのようにでもできるという顔をしておきながら、何もできてないではないか。

定子:関白ではなく内覧宣旨のみをお与えになったのが、帝の私へのお心遣いかと思いました。

伊周:ハハハハハハ・・・私は内覧を取り上げられた上に、内大臣のままだ!(拳を振って)そんなお心遣い、何の意味も無い。(目を剝いて、定子の目前に座り込む)こうなったら、もう・・・中宮様のお役目は皇子を産むだけだ。皇子を産め。(拳で膝を叩きながら恫喝の表情)皇子を・・・皇子を産め。早く皇子を産め~!(怒鳴る。表情を変えない定子)素腹の中宮などと言われておるのを知っておいでか。ん?悔しかったら、皇子を産んでみろ。皇子を産め。早く皇子を・・・。早く皇子を産め!(瞳が微かに揺れ、唇を噛む定子)

 伊周の荒れっぷりが・・・何とも見ていて耐え難かった。定子演じる高畑充希がトラウマになっていないことを祈る。

今回のクライマックス、母の大演説

 この愛妻を苦しめる政治決断を一条帝はした訳だが、その決断を導いた吉田羊の熱演を記録しておきたい。こちらも手に汗握ってしまった。

東三条院詮子(女院):(清涼殿に勢いよく乗り込んでくる)

蔵人頭源俊賢:お上は既にお休みでございます。

女院:どけ。どけ!

一条帝:何事だ?

女院:(部屋に踏み込み)お上、お人払いを。(帝に促され、下がる俊賢。座る女院。御張台に上がる帝)次の関白について、お上のお考えをお聞きしたく参りました。

一条帝:伊周に致します。明日には公に致します。

女院:恐れながら、お上は何もお見えになっておりませぬ。母は心配にございます。さきのさきの関白であった道隆は、お上が幼いことを良いことにやりたい放題。公卿たちの信用を失いました。伊周はその道隆の子。同じやり口で、己の家のためだけに政を仕切りましょう。お上をお支えするつもりなぞ、さらさらありますまい

一条帝:朕は伊周を信じております。伊周は、母上の仰せのような者ではございませぬ。

女院:お上は、中宮に騙されておられるのです。

一条帝:騙されているとは、どういう意味にございますか?

女院:先だっては道兼を関白に落胆させたゆえ、今度は定子の兄にとお思いなのではないかと思いまして。

一条帝:朕は定子を愛でております。されど、そのことで政が変わることはございませぬ。

女院:悪いことは申しませぬ。道長になさいませ。

一条帝:道長を関白にと考えたことはございませぬ。

女院:私は姉として道長と共に育ち、母としてお上をお育て申し上げて参りました。そのどちらも分かる私から見た考えにございます。道長は野心がなく人に優しく、俺が俺がと前に出る人柄ではございませぬ。若く荒っぽく我の強い伊周に比べて、ずっと・・・(強調)ずっとお上の支えとなりましょう。お上に寄り添う関白となりましょう

一条帝:朕は伊周に決めております。

女院:母を捨てて后を取るのですか。(涙声)お上はどんな帝になろうとお望みなのですか?何でも関白にお任せの帝でよろしいのですか?お上のお父上は、いつも己の思いを汲もうとせぬ関白の横暴を嘆いておいででした。父上の無念をお上が果たさずして誰が果たしましょう。母は自分のことなぞどうでも良いのです!ただ一つ願うは、お上が関白に操られることなく己の信じた政ができるようにと、ただひたすらそれを願っておるのでございます。どうか・・・どうかお上ご自身のために、道長にお決めくださいませ。どうか、どうか・・・。

一条帝:(涙を堪える)朕は・・・伊周に決めております。(座から立ち、去っていく)

女院:お上!(泣きながらうずくまる)

 大鏡とは話の運びが違うそうだが、いやいや十分説得力があって、面白かった。正確な人物評価の上にあの迫力で母に迫られたら、帝も泣くよ。女院詮子が「定子に騙されている」と言い出した時には、ダメ、それ絶対踏み込んだらダメ!とヒヤッとしたが、うまく切り替えた。地雷だよね、愛する定子は。

 しかし、道長には「伊周になったら私たちは終わり」と言っていたのに、我が子には「自分のことはどうでもいい」と言っちゃうところがご愛敬。でも、伊周の定子への絡み方を見ていると、外側はキレイキレイながら本質はオラオラした薄っぺらな若者が関白なんかにならなくて本当に正解。

 それに、やっぱり嫌われても円融帝を愛し続けていたんだな・・・泣ける。その愛が滲む大演説だった。吉田羊よくやった、肺活量凄いんだな。

 道長vs.中関白家の権力闘争が激しさを増している中、主人公まひろの存在感がどうも薄いと思ってしまうのは私だけか?道長に負けるな、まひろー。

(敬称略)