白い冬桜の花

冬 桜

 

【鑑 賞】 冬桜濡れて雨情をまとひけり

昭和前期から令和初期にかけての俳人・稲畑汀子(いなはたていこ)の俳句作品。

雨の中に咲く冬桜の可憐さが感じられる句。

 

スポンサーリンク

 

 

以下、季語「冬桜」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 冬桜

(ひらがな) ふゆざくら

(ローマ字) fuyuzakura

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


「冬桜(フユザクラ)」は、コバザクラ(小葉桜、木葉桜)の別名で、春(4月上旬頃)と秋から冬にかけて(10月~12月頃)の二季に花を咲かせます。

しかし、俳句においては、冬に咲く桜を広く「冬桜」として扱います。

スポンサーリンク

 


【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

仰ぎゐておのれ忘るる冬桜
(根岸善雄)

頂に駕籠を置きたし冬桜
(星野紗一)

今着きしばかりの日差し冬桜
(高澤良一)

うすべにの寂のまばらに冬桜
(佐藤鬼房)

うつし世のものとしもなし冬桜
(鈴木花蓑)

梅よりも白しと思ふ冬桜
(後藤比奈夫)

大いなる翳に咲きいで冬桜
(大野林火)

貸席の梅川亭や冬桜
(山口青邨)

九十の母の喜び冬桜
(高木晴子)

咲き満つることもあらずよ冬桜
(岸田稚魚)

さゆれたる枝にかたまつて冬桜
(岸田稚魚)

水滴を落すごと散る冬桜
(大野林火)

近づけば塔かろくなる冬桜
(上田五千石)

散りしくといふことのあり冬桜
(行方克巳)

散ると見て宙に紛るる冬桜
(岸田稚魚)

次に散るまでの花びら冬桜
(佐藤鬼房)

つぶやきの息にくもれる冬桜
(上田日差子)

ともすれば消え入りさうな冬桜
(高澤良一)

廃礦のホッパーに生ふ冬桜
(松崎鉄之介)

母癒えて言葉少なや冬桜
(岡田日郎)

日蔭ゆゑ花あきらかに冬桜
(清崎敏郎)

一重かと見れば八重なり冬桜
(右城暮石)

一弁を吐ける莟や冬桜
(富安風生)

日は未形色さめざめと冬桜
(山田みづえ)

昼月に垂り枝のゆれて冬桜
(飯田蛇笏)

富士のかた風濤けぶり冬桜
(角川源義)

冬桜飛鳥鍛冶の裏径に
(橋本鶏二)

冬桜海に日の射すひとところ
(岸田稚魚)

冬桜風が間引きし花の隙
(高澤良一)

冬桜とほきうしほの音とどく
(藤田湘子)

冬桜花の手薄なところかな
(高澤良一)

冬桜一ひら解けし夕霧忌
(清崎敏郎)

冬桜干し重ねたる和紙の息
(殿村莵絲子)

冬桜わが心音を聴くごとし
(林翔)

御手洗の少し先には冬桜
(京極杞陽)

耳たぶのふくふく育つ冬桜
(上田日差子)

やごとなき人の里居や冬桜
(岡本松浜)

 


【関連季語・子季語】


寒桜

 


【他の季語を探す】


春の季語

夏の季語

秋の季語

冬の季語

新年の季語

五十音で探す

 

スポンサーリンク