色とりどりの風船

風 船

 

【鑑 賞】 菜の花や風船遠き森の上

明治後期から昭和中期にかけての歌人・会津八一(あいづやいち)の俳句作品。

長閑な春の情景が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「風船」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 風船

(ひらがな) ふうせん

(ローマ字) fusen

 


季 節


 


【分 類】


人事

 


【意味・説明】


日本では、1868年の新聞記事に、ゴム風船を売り歩く外国人に関するものがあります。

その数年後にゴム風船が流行しましたが、当時は「球紙鳶(たまだこ)」という名前で呼ばれていました。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

入口に風船飛ばす桜かな
(正岡子規)

屋上より風船逃げぬ鳥雲に
(加藤秋邨)

置きどころなくて風船持ち歩く
(中村苑子)

外套に赤き風船ひとつかくす
(平井照敏)

街路樹にからむ風船雪降り出す
(草間時彦)

瓦斯屋が呉れし風船今日は瓦斯の日か
(安住敦)

起重機に小さき風船つながれあり
(加藤秋邨)

公園やいくつも風船とんで来る
(阿部みどり女)

ここに来て風船放つ野に遊び
(山口青邨)

コスモスの空へ風船離せし子
(高澤良一)

新人賞獲得風船花にとばす
(山口青邨)

すぐ飽きる風船遊び雨のひる
(高澤良一)

世間虚仮ゴム風船が降りてくる
(池田澄子)

桑園に風船とべり別れ霜
(石原舟月)

第六感当り風船逃がしたる
(高澤良一)

耐ゆること多し風船漂ひ浮く
(柴田白葉女)

中尉肥満なれば脹らして風船とせん
(藤後左右)

つながれてゐて風船の土を打つ
(加藤秋邨)

天井に風船つかえ喜劇満員
(平畑静塔)

天井に風船眠りクリスマス
(福田蓼汀)

なほ願へ風船裂けて濃くなりしよ
(香西照雄)

二階から手が出て風船放しけり
(加藤秋邨)

二階にも転がる風船階下にも
(高澤良一)

逃げし風船天井歩くビヤホール
(右城暮石)

逃げて行く風船嬲り春の風
(鈴木花蓑)

野面より風船の児が起きあがる
(佐藤鬼房)

はけぐちの無き風船をふくらます
(櫂未知子)

バスに乗れば風船のとぶ新宿に
(山口青邨)

ひとの家を出でし風船声したがふ
(加藤秋邨)

人の手を待つ風船の触れ合へり
(右城暮石)

風船消ゆ空の渚にこゑのこし
(石原八束)

風船つなぐ森に野犬の群を封じ
(八木三日女)

風船のからみし枝の余寒かな
(久保田万太郎)

風船の子の手離れて松の上
(高浜虚子)

風船のしぼむ日数を病みてあり
(橋閒石)

風船のとぶ力なく庭に来ぬ
(山口青邨)

風船の早や青天に見放さる
(右城暮石)

風船のふわりふわりと日永哉
(正岡子規)

風船爆ぜゆがみし顔が地に笑ふ
(河野南畦)

風船の離るるごとく死にゆけり
(平井照敏)

風船ひとつマント母子に浮び蹤く
(岸田稚魚)

風船やかかる男のなりはひに
(木村蕪城)

風船より軽き身ごなし大道芸
(高澤良一)

風船を売るさびしさに耐へゐたり
(上田五千石)

風船をかぞへて空のあなた指す
(仙田洋子)

風船を買はねば母の両手打つ
(加藤秋邨)

風船をくれるを待てり聖樹蔭
(能村登四郎)

風船を手放すここが空の岸
(上田五千石)

風船を寺へながして習うなり
(阿部完市)

風船を土堤の眼が追ふ草競馬
(上田五千石)

風船を吹く唇うすし少女尼
(柴田白葉女)

舟の窓より赤き風船運河のぼる
(加藤秋邨)

星の夜の鉄鎖のひびき風船われ
(八木三日女)

向う岸の人風船に逃げられぬ
(加藤秋邨)

メーデーの旗かき分けて風船遁ぐ
(右城暮石)

メーデーの風船五彩太陽へ贈る
(古沢太穂)

メーデーや風船旗にむすびつけ
(阿波野青畝)

山火事の音の上ゆく風船あり
(田川飛旅子)

山の温泉の風船うりや日の盛り
(飯田蛇笏)

和子様の風船飛んで霞かな
(幸田露伴)

 


【関連季語・子季語】


紙風船  風船玉  風船売

 


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