ドビュッシー「夢想」の難易度は高くない
先日のレッスンでは、バーナムとW.Fr.バッハだけで時間いっぱいいっぱいだったのだが、ドビュッシーの「夢想」で、どうしても質問したいところがあったので、
「ちょっとだけ、いいですか?」
と断りを入れてみてもらった。
ちなみにドビュッシーの「夢想」の難易度はそんなに高くない。
ざっくりいって中級程度。
しかししかし、これはとんでもなくあなどれない作品である。
そういえば、Yahoo 知恵袋で、「ドビュッシーの『夢』の難易度はどれくらいですか?」と質問しているかたがいる。
対するベストアンサーでは、
「譜面づらは簡単ですが、 表現力はものすごく必要な曲です。」
とある。
激しく同感である。
座布団一枚というか、ガッテンガッテンを鳴らすというか。
左手アルペジオは大事なものを撫でるように
私が冒頭の場面を弾いたあと、先生は、
「私はこういう曲はもう、ソフトペダルを踏んじゃいます」
と言いながら、弾き始めた。
うわぁ、私、ソフトペダルってあまり踏んだことはない。
以前「パスピエ」で、楽譜上ソフトペダルの指示があったときも、そのときの先生は重視していなかった気がする。
そしてこうも言った。
「左手は指と爪のあいだではなく、指の腹で、大事にしているものをそっと撫でるように。
右手のメロディーはそれよりも若干指の角度をあげて、聞こえるように。」
え、右手と左手のタッチが違うの?
撫でたくなる大事なものは何?
大事なものをそっと撫でるように、といわれてもねぇ。
最近、そういう触感での喜びはないなぁ。
うちにはワンちゃんもネコちゃんもいないし。
ぬいぐるみや人形も、大事にしているのがあるのだが、汚れるのがいやで、クローゼットにしまっている。
パソコンのスクリーンセーバーで使っているワンちゃんとぬいぐるみを見ると、なでなでしたくなることはあるけれど。
あと先日、あるジャズ友から、自宅で栽培している薔薇の花をいただいたことがあった。
この花たちは本当に奇麗で、香りもかぐわしく、水を替えるとき、花びらが落ちないようにそっとそっと撫でていたが、1週間後に命が尽きてしまった。
指の腹で撫でるように弾くとなると、手のかたちは平べったくなる。
これまで古典派を弾くときは、指をどちらかというと立てて、ロマン派以降は平べったく、と聞いたことはあったが、先日のレッスンで習ったことによると、タッチというものは、時代はおろか、作品によって、またピンポイントで変える必要があるということになる。
グランドピアノでないといけないとは言わない先生
私が試行錯誤しながら、左手のアルペジオを弾いていると、先生が、
「あ、今のいい音がでましたよ!」
と言ったことがあった。
私はそういえばそうかなぁ、ぐらいで腑に落ちたわけではない。
「きっとピアノが素晴らしいからだと思います」
と私は言った。
先生のところで生徒が弾かせていただいているのは、なんとスタンウェイなんだから。
「でも、おうちのピアノでも工夫次第で柔らかい音がでますよ!」
と元気づけてくれる先生。
半信半疑ではあるが、「グランドピアノでないとダメですねぇ」と言われないのがせめてもの救いか。