旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

玉川上水と武蔵野うどんと多滿自慢と 西武拝島線を完乗!

2024-05-18 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

副都心の高層ビル群をバックに、急行拝島ゆきが湘南新宿ラインとデットヒートで高田馬場に滑り込む。
遠出する予定のない連休、天気も良いから、東京の裏庭で乗って呑んでみる。

拝島線の起点は小平駅、駅前広場は花に溢れて落ち着いた郊外の駅だ。
起点から3駅連続で他線と交差をしたり、地図を見ると南へ西へとそれこそ直角に進行方向を変えている。
これは西武鉄道が、合併したいくつかの私鉄線、軍や工場への引込線を繋ぎ合わせた歴史による。

列車は新宿から拝島まで直通するもののほか、小平から玉川上水をシャトルするものがある。
ちょうど引き上げ線から折り返しの玉川上水ゆきが入線してきた。
イエローの2000系は1977年からの古参車両、呑み人がこの沿線に住んでいた頃は、絶賛勢力伸長中だった。

乗車前には小平駅周辺を散策して「小平ふるさと村」を訪ねてみた。
旧小平小川郵便局舎は明治41年の和風建築、昭和58年まで現役であったというのは、ちょっと驚きだ。

旧神山家住宅主屋ではギターマンドリンクラブが演奏会をしていた。
奏でる加山雄三の「旅人よ」が旅情をかきたてる。えっ、そんなに遠くまで来ていたっけ?

裏手に廻ると杉皮葺の水舎小屋があった。
旧小川村が開かれると玉川上水から分水され、33か所に設けられた水車は脱穀や製粉に用いられたという。
なんだかまだ東京が遠かった時代の、武蔵野の風景が目に浮かぶ「小平ふるさと村」なのだ。

近くに評判のいい手打うどんの店を見つけた。まずはここでビールを呷る。きょうは夏日だ。
そして “たまなす” 登場、玉葱と茄子ってことだ。
思い描いていた武蔵野うどんよりもかなり上品な一杯は、玉葱の甘味と相まってなかなか美味しい。

ところで2000系の6両編成は、玉川上水駅の折り返し用2・3番ホームに終着する。
萩山で多摩湖線、小川で国分寺線と交差した後、再び西に向きを変えてわずか4駅の運行だ。

駅の改札を抜けてみる。南口には木漏れ日を映してキラキラと玉川上水が流れていく。
この先終点の拝島まで、鉄路はこの煌めきに寄り添うように延びている。

モーターの唸りを聞いて、視線を水面から頭上に転じると、ちょうど多摩モノレールの電車がやってきた。
2つの路線が交差して、閑静なこの駅も朝夕は乗降客と乗換客で混雑するのだと思う。

1番線には堂々10連の20000系が軽快に進入してきた。この急行拝島ゆきでラストスパートになる。
玉川上水からは3駅、右に大きなカーブを描いて、横田基地へ向かうJRの引込線と交差すると終点の拝島だ。

4路線が乗り入れ6方面に鉄路が伸びる拝島駅は、なかなか規模の大きなジャンクションだ。
橋上駅の南口側からは、奥多摩から丹沢までの山々を眺める。目を凝らすろ富士が頭を覗かせている。

大きなケヤキを囲むように6つの登録有形文化財を有する酒蔵、石川酒造までは南口から徒歩15分。
蔵自らが「酒飲みのテーマパーク」と称する様に、季節の日本酒やビールを味わうために多くの人が訪れる。
地ビールとイタリアンの「福生のビール小屋」と日本料理の「食道いしかわ」があって、ボクは後者を択ぶ。

もちろんメニューの酒はすべて多満自慢、まずは冷たい “純米生原酒あらばしり” からいただく。
アテは “豚の角煮”、とろとろの豚肉にナスを添えて、白髪ネギを絡めてちょい辛子、美味しいね。

遅れて登場した “だし巻き玉子” に、二杯目の “熟成純米生原酒” はまろやかな味わいがいい。

何度か訪ねている石川酒造だけど、ずいぶん客層に外国人観光客が多くなった。
InstagramにX、SNSで調べては訪ね、訪ねては発信して、訪れる人は増えていく。
正直、彼らに教わる映えるスポットや美味しい店は多いのだと思う。そんな事を考える拝島線の旅だ。

西武鉄道 拝島線 小平〜拝島 14.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
17歳の地図 / 尾崎豊 1984



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1 コメント

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Unknown (ushi_7)
2024-05-13 09:41:11
こんにちは(*´˘`*)
西武拝島線は
通勤で使用しています。
毎日の何気ない車窓も
ブログを拝見すると
新たな気付きがあるので
楽しいです。
特に、小平ー玉川上水間の
6両編成は知りませんでした。
オォ(*˙꒫˙* )

自分は、
東伏見⇒拝島を利用しますが
運が良いと乗り換え無し(準急)
最悪の場合3回乗り継ぎ
があるのは笑えます。
( ̄▽ ̄;)

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