日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

青崎有吾の『地雷グリコ』はいつ文庫化されるのか?

『このミステリーがすごい!』など国内の四大ミステリランキングの1位を独占し、数多くの文学賞を受賞した話題作が『地雷グリコ』だ。『LIAR GAME』のような頭脳戦が繰り広げられる小説だ。

 

この記事では『地雷グリコ』がいつ文庫化されるのか考察しようと思う。

 

 

『地雷グリコ』ってどんな作品?

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

青崎有吾の『地雷グリコ』は、高校生の頭脳戦を描いた傑作ミステリである。『ライアーゲーム』のように風変わりなゲームを題材に、登場人物たちが頭脳戦を繰り広げる。

本作は、第24回本格ミステリ大賞(小説部門)、第77回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、第37回山本周五郎賞を受賞した話題作だ。それだけではなく、「ミステリが読みたい! 2025年版」国内篇 第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位、『2025本格ミステリ・ベスト10』国内編第1位、2025年の「このミステリーがすごい!」国内1位と、国内の四大ミステリランキングを制覇している。
主人公の射守矢真兎は、西東京の高校に通う女子高生。 亜麻色のロングヘアにぶかぶかのカーディガンを羽織った、一見ちゃらんぽらんに見える少女だが、実は勝負事に滅法強いという一面を持っている。 彼女は、学園祭の場所取りやかるた部の雪辱を晴らすためなど、様々な理由で、グリコ、神経衰弱、ジャンケン、だるまさんがころんだ、ポーカーといった、誰もが知っているゲームにオリジナルルールを付加した頭脳ゲームで、様々な強敵と戦っていく。
地雷グリコ」や「坊主衰弱」など、誰もが知っているゲームにオリジナルルールが加わることで、ゲームは心理戦を伴う頭脳戦へと変化するのが面白いところである。特に最後の「フォールームポーカー」は複雑な心理戦が繰り広げられ読み応えがある。読者も真兎と一緒に頭脳戦に参加しているような感覚を味わえる 。

 

また、最近では漫画化もされている。映像化に向いていそうな作品なので、アニメ化・ドラマ化もあるかもしれない。

 

 

『地雷グリコ』はいつ文庫化されるのか?

そんな『地雷グリコ』だが、最近発売されたばかりなのでまだ文庫化されていない。『地雷グリコ』の文庫化についての情報はまだ出ていないのだが、いつ頃になるのか予想してみようと思う。

地雷グリコ』だが、角川書店から2023年11月27日に発売されている。このミステリーがすごい!の年間1位など様々な賞を総なめにした話題作なので、文庫化されないということはまずないだろう。

一般的に、単行本の文庫化は、発売から2〜3年後ぐらいに行われることが多い。かなりの話題作なので、最低でも単行本の出版から2年半ぐらいは文庫化しないのではないかと思う。私の予想としては、2026年6月〜2026年12月頃には文庫化するのではないかと思う。まだまだ先になりそうなので、気になる人は単行本で買って読んでみても良いと思う。非常に面白い頭脳戦ミステリなので読んで損はない!

 

まだまだ文庫化は先なので気長に待ちたいと思う。文庫化もいいけれど、早く続編を読んでみたいな。

 

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宮島未奈の『成瀬は天下を取りに行く』はいつ文庫化されるのか?

本屋大賞を受賞し、個性豊かな登場人物たちが話題を集めた『成瀬は天下を取りにいく』。

2023年に単行本として発売された作品なので、そろそろ文庫化が期待される。

 

この記事では『成瀬は天下を取りにいく』がいつ文庫化されるのか考察しようと思う。

 

 

『成瀬は天下を取りにいく』ってどんな作品?

宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』は、滋賀県大津市を舞台にした青春小説である。第20回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞した「ありがとう西武大津店」を含む、著者のデビュー作でもある。2024年本屋大賞を受賞した話題作で、成瀬シリーズとしてシリーズ化されている。滋賀県大津市を舞台に、中学生の成瀬あかりと幼馴染の島崎を中心に、個性豊かな登場人物たちが描かれた小説だ。

主人公の成瀬あかりは、中学2年生の少女で、コロナ禍で閉店が決まった西武大津店に毎日通い、テレビ中継に映るという奇妙な挑戦を続ける。「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」という強烈な一文はかなり印象に残る。彼女はM-1グランプリへの挑戦や、自身の髪を使った実験など、多彩な活動を通じて成長していく。成瀬のひたむきな姿勢が読む人の心を揺さぶること間違いなし。

 

最近ではシリーズ2作品目として『成瀬は信じた道をいく』が発売されている。この作品も2025年の本屋大賞にノミネートされているので、シリーズに作品とも本屋大賞を受賞することもあるかもしれない。

 

 

 『成瀬は天下を取りにいく』はいつ文庫化されるのか?

そんな『成瀬は天下を取りに行く』だが、まだ文庫化されていない。『成瀬は天下を取りに行く』の文庫化についての情報はまだ出ていないのだが、いつ頃になるのか予想してみようと思う。

『成瀬は天下を取りに行く』だが、新潮社から2023年3月17日に発売されている。本屋大賞も取った話題作なので、文庫化されないということはまずないだろう。

一般的に、単行本の文庫化は、発売から2〜3年後ぐらいに行われることが多い。かなりの話題作なので、最低でも単行本の出版から2年半ぐらいは文庫化しないのではないかと思う。私の予想としては、2025年9月〜2026年3月頃には文庫化するのではないかと思う。

 

文庫化を気長に待ちたいと思う。

 

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凪良ゆうの『汝、星のごとく』はいつ文庫化されるのか?

本屋大賞を受賞し、話題を集めたのが『汝、星のごとく』という作品だ。

2022年に単行本として発売された作品なので、そろそろ文庫化が期待される。

 

この記事では『汝、星のごとく』の文庫化時期について考察しようと思う。

 

 

『汝、星のごとく』ってどんな作品?

凪良ゆうの『汝、星のごとく』は、瀬戸内の美しい島を舞台に、高校生の暁海と櫂の心の成長を描いた感動的な恋愛物語である。二人はそれぞれ家庭の問題を抱え、孤独と欠落を感じながら惹かれ合う。物語は、彼らの純粋な恋愛が成長と共に直面する困難やすれ違いを通じて、愛の本質を問いかける。2023年には本屋大賞を受賞し、深い人間描写と緻密なストーリーが多くの読者の心を掴んでいる。

 

 

『汝、星のごとく』はいつ文庫化されるのか?

そんな『汝、星のごとく』だが、まだ文庫化されていない。『汝、星のごとく』の文庫化についての情報はまだ出ていないのだが、いつ頃になるのか予想してみようと思う。

汝、星のごとく』だが、講談社から2022年8月4日に発売されている。本屋大賞も取った話題作なので、文庫化されないということはまずないだろう。

一般的に、単行本の文庫化は、発売から2〜3年後ぐらいに行われることが多い。なので、2025年8月頃までには文庫化するのではないかと思う。まさに彼岸過迄である。

 

今年中には文庫化されると思うので気長に待ちたいと思う。

 

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村上春樹の『街とその不確かな壁』が4/23に文庫化決定!

村上春樹の最新刊といえば『街とその不確かな街』だ。

2023年4月13日に発売されたこともあり、そろそろ文庫化するのではと思っていたところ、 「街とその不確かな壁」の文庫化が 2025年4月23日に決定した。

 

この記事では『街とその不確かな街』はいつ文庫化時期について書いている。

 

 

 

『街とその不確かな壁』とは?

街とその不確かな壁』は村上春樹の最新長編だ。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と同様に、壁で囲まれた不思議な街が舞台の小説である。

『街とその不確かな壁』は「街と、その不確かな壁」のリメイクだ。「街と、その不確かな壁」は、単行本や文庫本、全集にも収録されていない幻の作品である。

物語の結末が村上春樹本人にとって納得のいくものではなかったようで、村上春樹自身「あれは失敗」であり、「書くべきじゃなかった」とも語っている。失敗作ということで収録されていないのだ。

失敗作と言われた「街と、その不確かな壁」だが、その内容は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」パートに引き継がれた。

 

 

新潮文庫で4月23日文庫化が決定!

 「街とその不確かな壁」の文庫だが、新潮文庫より2025年4月23日発売が決定した!村上春樹の「街とその不確かな壁」は、2023年4月13日に発売されたので大体2年ぐらいたってからの文庫化である。

 

 

ちなみに過去の村上春樹作品の文庫化を見てみると下記の通りだ。

 

 

騎士団長殺し:単行本2017/2/24、文庫本2019/2/28→約2年で文庫化

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年:単行本2013/4/12、文庫本2015/12/4→約2年8ヶ月で文庫化

 

 

 

来月に発売日と言うことで非常に楽しみである。

 

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2024年版本格ミステリ・ベスト10のランキング入り作品を紹介!

毎年恒例のミステリーランキング、「2024年版本格ミステリ・ベスト10」が発表された。

今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。

この記事では「2024年版本格ミステリ・ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。

 

 

 

「本格ミステリ・ベスト10」とは?

本格ミステリ・ベスト10」は、日本の本格ミステリに特化したランキングであり、探偵小説研究会が毎年発表している。1997年に始まり、毎年12月にその年の優れた本格ミステリ作品を選出する。ランキングの対象は、前年の11月から当年の10月までに発行された作品で、投票は有識者や読者によって行われる。

投票者は「本格」の定義を自由に解釈し、1位から5位までの作品を選ぶ。このランキングは、国内外の本格ミステリ作品を広く網羅しており、特に日本のミステリファンにとって重要な指標となっている。やはり他のミステリランキングに比べて本格ミステリ色が強い作品がランキング上位に選ばれれる傾向がある。

 

 

2024年版本格ミステリ・ベスト10

それでは「本格ミステリ・ベスト10」の2024年版国内ベスト10に輝いた作品を紹介したい。

 

1位:エレファントヘッド / 白井 智之

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。多重解決ミステリの極限

2024年本格ミステリ・ベスト10の1位に輝いたのは、白井智之エレファントヘッド』だ。精神科医の象山が家族を愛しながらも、彼の人生が一つの小さな亀裂から崩壊していく様を描いたミステリ作品である。物語は、象山が謎の薬を手に入れたことから始まり、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。

このミステリの特徴は、本作が「多重解決ミステリ」となっている点である。複雑に張り巡らされた伏線と、予測不可能な展開が織りなすストーリーは、読者に驚きをもたらすだろう。各事件には複数の解決策が存在し、読者はその中から真相を見つけ出す楽しみを味わうことができる。白井智之の独自の発想と緻密な構成が光る本作は、ミステリ愛好者にとって必読の一冊だ。

 


2位: 可燃物 / 米澤 穂信

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って“刺殺”したのか?

米澤穂信の『可燃物』は、群馬県警捜査一課の葛警部を主人公とする短編推理小説集である。本作は、警察官が主役のミステリとして米澤の新たな挑戦を示している。全5編から成り、各短編では葛警部が不可解な事件に挑む姿が描かれる。彼は余計なことを喋らず、上司から疎まれ、部下には良い上司とは思われていないが、その捜査能力は誰もが認めるところである。物語は、緻密な推理と巧妙な構成で、読者に驚きと納得をもたらす。米澤の美しい言葉選びが光る作品であり、ミステリファンにとって必読の一冊である。

 

 

3位:あなたが誰かを殺した / 東野 圭吾

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。 そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。――私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

3位に輝いた『あなたが誰かを殺した』は、東野圭吾の名作シリーズである加賀恭一郎シリーズの第十二作目である。『あなたが誰かを殺した』では、閑静な別荘地で発生した連続殺人事件が描かれている。毎年恒例のバーベキュー・パーティーが行われる中、突如として現れた男によって、参加者たちが命を奪われるという殺人事件が起こる。事件の真相を知りたい遺族たちは「検証会」を開催し、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎がその進行役を務める。加賀は、複雑に絡み合った人間関係の中から真実を引き出し、犯人の動機を探る。タイトルが示す通り、加害者と被害者の関係が物語の核心を成しており、読者は最後まで目が離せない展開に引き込まれる。ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊である。

 

 

 

4位:午後のチャイムが鳴るまでは / 阿津川 辰海

九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。タイムリミットは65分、奴らのミッションは達成なるか(第1話「RUN! ラーメン RUN!」)。文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文芸部員たち。肝心の表紙イラストレーターが行方不明になり、昼休みの校内を大捜索するが――(第2話「いつになったら入稿完了?」)。他人から見れば馬鹿らしいことに青春を捧げる高校生たちの群像劇と、超絶技巧のトリックが見事に融合。稀代の若き俊英が“学校の昼休み”という小宇宙を圧倒的な熱量で描いた、愛すべき傑作学園ミステリ!

阿津川辰海の『午後のチャイムが鳴るまでは』は、九十九ヶ丘高校を舞台にした連作短編集である。物語は65分間の昼休みに起きる5つの事件を通じて、高校生たちの青春と成長を描く学園ミステリである。各話はユーモアと推理が交錯し、倒叙形式や高校生らしい視点が特徴的である。例えば、第一話「RUN!ラーメンRUN!」では、校則を破り昼休みにラーメンを食べに行こうとする生徒たちの計画が、生徒会長によって見破られるという展開が描かれる。青春の一瞬を切り取りながらも、巧妙なプロットが読者を引き込む。阿津川辰海が初めて挑んだ学園ミステリとして、青春群像劇と推理の融合が新鮮であり、読後に爽やかな余韻を残す作品である

 

 

5位:或るスペイン岬の謎 / 柄刀 一

心臓移植経験者である南美希風は、その移植手術を執刀した恩人の娘であるエリザベス・キッドリッジの長期休暇に合わせて日本中を旅していたが、行く先々で不可解な事件に巻き込まれていく。すべてが反転した“あべこべ”の密室。雨中、庭に放置された全裸の被害者。悠久の森に佇む異質な殺人現場。シリーズ史上最高となる圧巻のロジックで名探偵・南美希風が奇跡の不可能犯罪に挑む!

『或るスペイン岬の謎』は心臓移植を受けた名探偵・南美希風が、恩人の娘であるエリザベス・キッドリッジとに日本各地を旅するで遭遇する可能犯罪を描いたシリーズ最終作である。奈良の芸術大学の密室殺人や、紀伊半島のスペイン岬での未解決事件など、現実と過去が交錯する奇妙な事件が展開される。すべてが反転した「あべこべ」の密室、雨中に全裸で庭に放置された被害者、悠久の森に佇む異質な殺人現場といった難解な謎に挑む南美希風。シリーズ史上最高の論理的推理が繰り広げられ、鮮やかな解決が読者を圧する。柄刀一による「国名シリーズ」の完結編であり、緻密なロジックと独創的なストーリーが光る一冊である

 

 

6位:化石少女と七つの冒険 / 麻耶 雄嵩

学園の裏手には、大きな大きなクスノキがある。縁結びの木と親しまれるその傍に、生徒の遺体が三つ……。良家の子女が集う京都の名門高校で再び相次ぐ怪事件に、名探偵まりあの血がまた騒ぐ。神舞まりあは、自分以外の部員わずか一人という零細古生物部を率いる化石オタクのお嬢様。そして、誰にも認めてもらえない女子高生探偵だ。これまた誰にも見向きもされない古生物部に、なぜか加入してきた怪しい一年生。無理矢理お嬢様のワトソン役にされ続けた男子部員が抱え込んだ黒い秘密。その上、いかがわしい新入生探偵まで登場。怪しさ倍増の果てに、予測不能の結末が!

麻耶雄嵩の『化石少女と七つの冒険』は、京都の名門高校を舞台にした学園ミステリーである。本作は「化石少女シリーズ」の第二作目であり、化石オタクのお嬢様・神舞まりあと、彼女の従僕である桑島彰が主人公だ。古生物部の部長を務めるまりあは、部員不足による廃部の危機に直面し、新入部員の勧誘に奔走する。しかし、学園内では次々と殺人事件が発生し、まりあは探偵として事件解決に挑む。物語は全7編の短編で構成され、それぞれ独立した事件を扱いながらも、全体として緻密に絡み合った構造を持つ。新キャラクターの高萩が登場し、推理合戦が繰り広げられる中、彰の視点を通じて描かれる複雑な人間関係や秘密が物語をさらに深めている。予測不能な結末とどんでん返しが読者を魅了する一冊である

 

 

7位:十戒 / 夕木 春央

十戒

十戒

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浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

夕木春央の『十戒』は、緊迫したミステリーが展開される作品である。物語は、浪人中の主人公・大室里英が、父と共に伯父が所有していた無人島・枝内島を訪れるところから始まる。リゾート開発の視察に集まった9人の関係者たちの中で、初日の夜に不動産会社の社員が殺される。犯人は参加者の中におり、彼らは「この島にいる間、殺人犯を見つけてはならない」という戒律を強いられる。守られなかった場合、島内に仕掛けられた爆弾が作動し、全員の命が危険にさらされる。緊張感あふれる心理戦と、巧妙なプロットが特徴で、前作『方舟』に続く期待の新作として注目を集めている。読者は、最後まで目が離せない展開に引き込まれることだろう。

 

 

8位:鵼の碑 / 京極 夏彦

百鬼夜行シリーズ新作長編!殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。妖光に翻弄される学僧。失踪者を追い求める探偵。死者の声を聞くために訪れた女。そして見え隠れする公安の影。発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。

「2024年本格ミステリ・ベスト10」8位に輝いた京極夏彦の『鵼の碑』は、17年ぶりに発表された百鬼夜行シリーズの最新作である。物語は、日光を舞台に、殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家、消えた三つの他殺体を追う刑事、妖光に翻弄される学僧、失踪者を追う探偵など、複数の視点から展開される。タイトルの「鵼」は、虎、猿、狸、蛇の合成とされる妖怪であり、物語全体に神秘的な雰囲気を与えている。作品は、民俗学や古文書の要素を取り入れ、知的興奮と謎解きの快感を提供する。全832ページの大ボリュームで、京極ファンにはたまらない一冊となっている。

 

 

9位:アミュレットホテル / 方丈 貴恵

〈アミュレット・ホテル〉は犯罪者の楽園。2つのルールさえ遵守すれば、警察の介入が一切なく、銃でも偽造パスポートでもルームサービス可能な犯罪者御用達ホテルだった。①ホテルに損害を与えない②ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない。そんな絶対的ルールが破られる時、ホテル探偵が独自の捜査で犯人を追い詰め、相応の対価を支払わせる。ホテル探偵VS犯罪者の頭脳戦、濃密なロジックで犯人を炙りだす本格ミステリー。

犯罪者専用の会員制ホテル「アミュレット・ホテル」を舞台にした方丈貴恵の『アミュレット・ホテル』は、独自のルールと緊張感あふれる心理戦が魅力の本格ミステリーである。このホテルでは警察の介入が一切なく、偽造パスポートや武器さえもルームサービスで提供されるという異質な設定が特徴だ。ホテルには「損害を与えない」「敷地内で障害・殺人事件を起こさない」という二つの絶対的なルールが存在するが、それが破られたとき、ホテル探偵が犯人を追い詰める。探偵と犯罪者たちの頭脳戦が繰り広げられる中、巧妙なトリックと緻密なロジックが読者を引き込む。優雅なホテルの雰囲気が一転して殺人事件の舞台となり、緊張感と爽快感が交錯する展開が見どころである

 

 

10位:ちぎれた鎖と光の切れ端 / 荒木 あかね

2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。

10位の荒木あかねちぎれた鎖と光の切れ端』は、江戸川乱歩賞を受賞した期待の若手作家によるミステリ作品である。物語は2020年8月4日、熊本県の孤島・徒島に集まった8人の男女が主人公である。樋藤清嗣は、先輩の無念を晴らすために全員を殺す計画を立てるが、実行直前にその殺意が揺らぐ。すると、参加者の一人が舌を切り取られた死体として発見され、続いて「第一発見者」が次々と殺されていく。物語は二部構成で、第一部は孤島での連続殺人、第二部は大阪に舞台を移し、さらなる謎が展開される。古典ミステリーへのオマージュを捧げつつ、社会的なテーマにも鋭く切り込んだ作品である。

 



まとめ

2024年版本格ミステリ・ベスト10には、個性豊かな作品が揃ったなと思う。

このランキングを参考にミステリを読んでみるのはどうだろう。

 

 

 

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2023年版週刊文春ミステリーベスト10の作品を紹介!

毎年恒例のミステリーランキング、「週刊文春ミステリーベスト10」が発表された。

今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。

この記事では「週刊文春ミステリーベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。

 

 

 

「週刊文春ミステリーベスト10」とは?

週刊文春ミステリーベスト10」は、1977年から毎年末に発表される日本のミステリー小説のランキングである。このランキングは、全国の日本推理作家協会の会員や書評家、文芸評論家、書店員などからのアンケートを基にしており、国内部門と海外部門に分かれている。

最初のランキングは1978年1月5日号に掲載され、それから毎年続いている。対象となる書籍は前年の11月から当年の10月までに発行された作品であり、回答者数は日本の年度別ミステリーランキングの中で最も多い。「週刊文春ミステリーベスト10」は多くのミステリーファンにとって年末の楽しみの一つだろう。

 

 

2023年版「週刊文春ミステリーベスト10」の作品を紹介

それでは「週刊文春ミステリーベスト10」に輝いたミステリ作品を紹介したい。

 


1位: 可燃物 / 米澤 穂信

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って“刺殺”したのか?

2023年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた米澤穂信の『可燃物』は、群馬県警捜査一課の葛警部を主人公とする短編推理小説集である。本作は、警察官が主役のミステリとして米澤の新たな挑戦を示している。全5編から成り、各短編では葛警部が不可解な事件に挑む姿が描かれる。彼は余計なことを喋らず、上司から疎まれ、部下には良い上司とは思われていないが、その捜査能力は誰もが認めるところである。物語は、緻密な推理と巧妙な構成で、読者に驚きと納得をもたらす。米澤の美しい言葉選びが光る作品であり、ミステリファンにとって必読の一冊である。

 

 

2位:あなたが誰かを殺した / 東野 圭吾

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。 そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。――私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

2位に輝いた『あなたが誰かを殺した』は、東野圭吾の名作シリーズである加賀恭一郎シリーズの第十二作目である。『あなたが誰かを殺した』では、閑静な別荘地で発生した連続殺人事件が描かれている。毎年恒例のバーベキュー・パーティーが行われる中、突如として現れた男によって、参加者たちが命を奪われるという殺人事件が起こる。事件の真相を知りたい遺族たちは「検証会」を開催し、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎がその進行役を務める。加賀は、複雑に絡み合った人間関係の中から真実を引き出し、犯人の動機を探る。タイトルが示す通り、加害者と被害者の関係が物語の核心を成しており、読者は最後まで目が離せない展開に引き込まれる。ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊である。

 

 

3位:鵼の碑 / 京極 夏彦

百鬼夜行シリーズ新作長編!殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。妖光に翻弄される学僧。失踪者を追い求める探偵。死者の声を聞くために訪れた女。そして見え隠れする公安の影。発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。

週刊文春ミステリーベスト10」3位に輝いた京極夏彦の『鵼の碑』は、17年ぶりに発表された百鬼夜行シリーズの最新作である。物語は、日光を舞台に、殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家、消えた三つの他殺体を追う刑事、妖光に翻弄される学僧、失踪者を追う探偵など、複数の視点から展開される。タイトルの「鵼」は、虎、猿、狸、蛇の合成とされる妖怪であり、物語全体に神秘的な雰囲気を与えている。作品は、民俗学や古文書の要素を取り入れ、知的興奮と謎解きの快感を提供する。全832ページの大ボリュームで、京極ファンにはたまらない一冊となっている。

 

 

4位:エレファントヘッド / 白井 智之

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。多重解決ミステリの極限

4位の白井智之エレファントヘッド』は、精神科医の象山が家族を愛しながらも、彼の人生が一つの小さな亀裂から崩壊していく様を描いたミステリ作品である。物語は、象山が謎の薬を手に入れたことから始まり、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。

このミステリの特徴は、本作が「多重解決ミステリ」となっている点である。複雑に張り巡らされた伏線と、予測不可能な展開が織りなすストーリーは、読者に驚きをもたらすだろう。各事件には複数の解決策が存在し、読者はその中から真相を見つけ出す楽しみを味わうことができる。白井智之の独自の発想と緻密な構成が光る本作は、ミステリ愛好者にとって必読の一冊だ。

 

 

5位:アリアドネの声 / 井上 真偽

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

5位の井上真偽アリアドネの声』は、障がい者支援都市「WANOKUNI」で発生した巨大地震を背景にしたミステリー小説である。主人公の高木春生は、事故で亡くした兄への贖罪の思いから、災害救助用ドローンを扱うベンチャー企業に勤務している。地震によって地下に取り残されたのは、視覚・聴覚・言語の三重障がいを持つ中川博美である。彼女を救うため、高木はドローンを使って彼女をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。迫る火災や浸水、余震といった危険が彼らを襲う中、果たして高木は彼女を救出できるのか。物語は、障がい者との共生や贖罪のテーマを織り交ぜながら、緊迫感あふれる展開を見せる。

 

 

6位:十戒 / 夕木 春央

十戒

十戒

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浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

夕木春央の『十戒』は、緊迫したミステリーが展開される作品である。物語は、浪人中の主人公・大室里英が、父と共に伯父が所有していた無人島・枝内島を訪れるところから始まる。リゾート開発の視察に集まった9人の関係者たちの中で、初日の夜に不動産会社の社員が殺される。犯人は参加者の中におり、彼らは「この島にいる間、殺人犯を見つけてはならない」という戒律を強いられる。守られなかった場合、島内に仕掛けられた爆弾が作動し、全員の命が危険にさらされる。緊張感あふれる心理戦と、巧妙なプロットが特徴で、前作『方舟』に続く期待の新作として注目を集めている。読者は、最後まで目が離せない展開に引き込まれることだろう。

 

 

7位:存在のすべてを / 塩田 武士

存在のすべてを

存在のすべてを

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平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。

 

 

 

8位:木挽町のあだ討ち / 永井 紗耶子

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。新田次郎文学賞など三冠の『商う狼』、直木賞候補作『女人入眼』で今もっとも注目される時代・歴史小説家による、現代人を勇気づける令和の革命的傑作誕生!

8位の永井紗耶子木挽町のあだ討ち』は、江戸時代を舞台にした時代小説である。物語は、木挽町の芝居小屋の裏で起きた仇討ちを中心に展開する。若侍・菊之助が父の仇を討つ姿が描かれ、彼の行動は周囲の人々に深い影響を与える。物語は、仇討ちを目撃した人々の語りを通じて進行し、それぞれの人生や背景が明らかになる。登場人物たちの複雑な感情や葛藤が巧みに描かれ、江戸の人情や文化が色濃く反映されている。直木賞と山本周五郎賞を受賞した本作は、時代小説の魅力を存分に味わえる一冊であり、読者に深い感動を与える作品である。

 

 

9位:世界でいちばん透きとおった物語 / 杉井 光

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。『世界でいちばん透きとおった物語』という彼の遺稿に込められた衝撃の真実とは――。

9位に輝いた杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』は、紙ならでは仕掛けが施されたミステリ小説だ。2023年で最も話題になった本かもしれない。この本の特徴はなんといっても電子書籍化することができない仕掛けにある。紙の本でしか味わえない感動がこの本にはある。

大御所ミステリ作家の宮内彰吾は、妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。その隠し子が主人公である「僕」だ。「僕」は、宮内が死ぬ間際に書いていたとされる『世界でいちばん透きとおった物語』という遺稿探しを探すことになる。

この本の仕掛けに気付いた時、作者が仕掛けた緻密なトリックに驚き、感嘆すること間違いなし。よくこのアイデアを実現させたなというのが初めて読んだ時の感想だ。

紙の本への愛情や可能性を感じた一冊である。ぜひ、紙媒体で読んで驚きの体験を味わってみてほしい。

 

 

10位:でぃすぺる / 今村 昌弘

『屍人荘の殺人』の著者が仕掛けるジュブナイル×オカルト×本格ミステリ

今村昌弘の『でぃすぺる』は、ジュブナイル、オカルト、そして本格ミステリが融合した作品である。物語は、オカルト好きの小学六年生ユースケが、クラスの掲示係に立候補するところから始まる。彼は、亡き従姉の遺品であるパソコンから見つけた「奥郷町の七不思議」の謎を解明しようとする。ユースケとともに、優等生のサツキや転校生のミナが謎解きに挑む中、彼らは町に隠された大きな秘密に迫っていく。各不思議話は過去の事件の手掛かりとなり、物語は緊張感を持って展開する。今村の巧みなストーリーテリングとキャラクターの成長が魅力的であり、読者は彼らの冒険を通じて、友情や勇気の大切さを再認識することができる。

 

 

まとめ

週刊文春ミステリーベスト10」には、個性豊かな作品が揃ったなと思う。このランキングを参考にミステリを読んでみるのはどうだろう。

 

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このミステリーがすごい!2023年版のランキング上位10作品を紹介!

毎年恒例のミステリーランキング、「このミステリーがすごい!2023年版」が発表された。

今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。

この記事では「このミステリーがすごい!2023年版国内ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。

 

 

 

「このミステリーがすごい!」とは?

このミステリーがすごい!」は、宝島社が毎年発行しているミステリー小説のランキング本で。ミステリーファンにはお馴染みのランキングだろう。国内・海外のミステリー作品を対象に、識者や書店員などの投票によってランキングが決定される。
単なるランキング本ではなく、著者へのインタビューやミステリーに関する特集記事なども充実しており、毎年ミステリーファン必携の一冊となっている。
「このミステリーがすごい!」のランキングは一年間のミステリを振り返る上で非常に参考になる。ランキング上位の作品はどれも魅力的なミステリ小説ばかりだ。

 

このミステリーがすごい!2023年版国内ベスト10

それでは「このミステリーがすごい!」の2023年版国内ベスト10に輝いた作品を紹介したい。

 

1位 爆弾 / 呉 勝浩

自称・スズキタゴサク。取調室に捕らわれた冴えない男が、突如「十時に爆発があります」と予言した。直後、秋葉原の廃ビルが爆発。爆破は三度、続くと言う。ただの“霊感”だと嘯くタゴサクに、警視庁特殊犯係の類家は情報を引き出すべく知能戦を挑む。炎上する東京。拡散する悪意を前に、正義は守れるか。

呉勝浩の『爆弾』は、東京を舞台にした緊迫感あふれるミステリーである。物語は、軽犯罪で逮捕された中年男スズキタゴサクが、取り調べ中に「十時に秋葉原で爆発がある」と予言するところから始まる。その言葉通り、秋葉原の廃ビルで爆発が発生し、スズキはさらなる爆破を予告する。警察は彼の言動に翻弄されながら、次々と起こる爆発事件を阻止しようと奮闘する。心理戦が繰り広げられる取調室のシーンと、広がる捜査の対比が巧みに描かれ、読者を引き込む。『爆弾』は、2023年のミステリーランキングで二冠を達成し、映画化も決定している注目の作品である。

 


2位 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件 / 白井 智之

病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか?圧巻の解決編一五〇ページ!特殊条件、多重解決推理の最前線!

白井智之の『名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件』は、1978年のガイアナ共和国を舞台にしたミステリーである。物語は、奇蹟を信じるカルト教団「人民教会」の信者たちが暮らすジョーデンタウンで展開される。探偵・大塒は、行方不明の助手を捜すために教団の本拠地に乗り込むが、そこで次々と不審な死に遭遇する。作品は、特殊な設定を活かした多重解決の推理が特徴であり、現実のロジックが信仰に挑む様子が描かれている。圧巻の解決編は150ページに及び、読者を驚かせる展開が待ち受けている。白井の巧妙な伏線と緻密な構成が光る一作であり、2022年のミステリーランキングでも高評価を得た。

 

 


3位 捜査線上の夕映え / 有栖川 有栖

大阪のマンションの一室で、元ホストの死体がスーツケースに押し込められた状態で発見された。凶器や被疑者はすぐに見つかり、難なく解決するかに思われた事件は、鉄壁のアリバイと捜査を攪乱する“ジョーカー”によって不可能犯罪と化す。火村とアリスの辿りついた真相が心震わす、シリーズ新境地の傑作長篇。

有栖川有栖の『捜査線上の夕映え』は、火村英生シリーズの最新作であり、コロナ禍を背景にした本格ミステリである。物語は、大阪のマンションで元ホストの遺体がスーツケースに押し込まれた状態で発見されるところから始まる。火村とアリスは、事件の真相を追う中で、複数の容疑者と複雑な人間関係に直面する。事件は一見単純に見えるが、次第に難解なパズルへと変貌していく。著者は、緊急事態宣言後の社会情勢を巧みに取り入れ、登場人物たちの心理描写を深く掘り下げることで、読者にエモーショナルな体験を提供する。『捜査線上の夕映え』は、ミステリーの枠を超えた人間ドラマを描いた作品であり、読者に強い印象を残す。

 


4位 方舟 / 夕木 春央

友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。

夕木春央の小説『方舟』は、極限状況下での人間の心理を描いたミステリーである。物語は、大学時代の友人たちと従兄が長野県の地下建築「方舟」に宿泊するところから始まる。彼らは、外界との接触が断たれた状態で、命がけの選択を迫られる。9人の中から一人を犠牲にしなければ全員が生き残れないという過酷な状況で、殺人事件が発生する。登場人物たちは、誰が犠牲になるべきかを巡って葛藤し、緊迫した心理戦が繰り広げられる。『方舟』は、古典的なミステリーの要素を現代に融合させた作品であり、読者に衝撃的な結末をもたらす。多くのミステリーランキングでも高評価を得ており、ミステリー好きには必読の一冊である。

 


5位 プリンシパル / 長浦 京

非情と外道がこの家の規律だった。1945年、東京。関東最大級の暴力組織、水嶽本家の一人娘・綾女は、父の訃報に呼び戻され「組長代行」となることを余儀なくされた。戦後混乱期を牛耳るヤクザたちの熾烈な抗争、利権を貪るGHQ、それらを利用しようとする大物議員。流血も硝煙も権力の策謀も懼れぬ究極の「悪女」と化した綾女が、最期に目にするものは。一気読み必至の超弩級ピカレスク・ロマン、堂々開幕。

長岡京の小説『プリンシパル』は、戦後の日本を舞台にしたミステリー作品である。物語は、昭和20年の夏、主人公の水嶽綾女が父の死を受けて極道の後継者となるところから始まる。彼女は、GHQの暗躍や政治家たちの陰謀、暴力組織間の抗争に巻き込まれながら、命を懸けた闘争を繰り広げる。作品は、緻密なプロットと緊迫感あふれる展開で読者を引き込み、戦後日本の闇を描き出す。特に、綾女の成長と葛藤が鮮烈に描かれ、彼女の選択が物語の核心を成す。『プリンシパル』は、深いテーマ性とエンターテインメント性を兼ね備えた一冊であり、読者に強い印象を残す作品である。

 

 


6位 爆発物処理班の遭遇したスピン / 佐藤 究

爆発物処理班の遭遇したスピン…鹿児島県の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。処理を無事終えたと安心した刹那、爆発が起き駒沢は大けがを負ってしまう。事態の収拾もつかぬまま、今度は、鹿児島市の繁華街にあるホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が入った。カプセルの中には睡眠中の官僚がいて、カバーを開ければ即爆発するという。さらに同時刻、全く同じ爆弾が沖縄の米軍基地にも仕掛けられていることが判明。事件のカギとなるのは量子力学!?

佐藤究の短編集『爆発物処理班の遭遇したスピン』は、全八編からなる独立した物語群で構成されている。各作品は異なるテーマを持ち、特に表題作では量子力学を絡めた爆弾テロが描かれ、緊迫感あふれるストーリーが展開される。鹿児島市の小学校に爆破予告が入り、爆発物処理班が急行するが、予想外の事態が待ち受けている。その他の作品も、シリアルキラーのアート収集や異常な生物の話など、ダークで刺激的な内容が詰まっている。著者の独特な視点と緻密な描写が光る一冊であり、暴力と科学、呪術が交錯する世界観が読者を引き込む。短編小説の魅力を再確認させる作品である。

 


7位 同志少女よ、敵を撃て / 逢坂 冬馬

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?

 

 


8位 大鞠家殺人事件 / 芦辺 拓

大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場。戦下の昭和18年、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁いだ陸軍少将の娘、中久世美禰子。だが夫は軍医として出征し、一癖も二癖もある大鞠家の人々のなかに彼女は単身残される。やがて当主の死を皮切りに、相次ぐ惨劇が一族を襲うが……本格推理の真髄を突く、第75回日本推理作家協会賞、第22回本格ミステリ大賞受賞作。

大鞠家殺人事件』は、芦辺拓による本格ミステリ小説である。舞台は昭和18年の大阪・船場、商人文化が栄華を極めた時代である。物語は、陸軍少将の娘・中久世美禰子が、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁ぐところから始まる。彼女は、夫が軍医として出征した後、一族の中で孤立し、次々と襲いかかる惨劇に直面する。吊るされた男や池に突き立った日本刀、酒樽の死体など、衝撃的な事件が展開され、物語は緊迫感を増していく。

本作は、第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞を受賞しており、正統派本格推理の真髄を突く作品として評価されている。時代背景や文化が丁寧に描かれ、読者は当時の商家の生活を垣間見ることができる。ミステリファンにとって、必読の一冊である。

 


9位 地図と拳 / 小川 哲

ひとつの都市が現われ、そして消えた。日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

小川哲の小説『地図と拳』は、日露戦争前夜から第二次大戦までの半世紀を舞台に、満洲の架空の都市「李家鎮」の興亡を描いた作品である。物語は、さまざまな立場の人々が交錯する中で、科学的理性と宗教的情動がぶつかり合い、歴史の波乱を生み出す様子を描写している。著者は、歴史の中での人間の選択が思わぬ結果を招くことを示唆し、過去を知ることが未来を予測する手がかりになると考えている。『地図と拳』は、歴史と空想を融合させたエンターテインメント作品であり、読者に深い思索を促す内容となっている。

 


10位 リバー / 奥田 英朗

同一犯か? 模倣犯か?群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見!十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか―人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!

奥田英朗の『リバー』は、群馬県桐生市と栃木県足利市を舞台にした緊迫感あふれる犯罪小説である。物語は、渡良瀬川の河川敷で発見された女性の死体を巡り、十年前の未解決事件との関連を探る刑事たちの姿を描く。登場人物は、元刑事や新聞記者、被害者の父親など多様であり、それぞれの視点から物語が展開される。彼らの内面は巧みに描かれ、読者は彼らの行動や感情を通じて真実に迫ることになる。『リバー』は、奥田の豊かな表現力と緻密なストーリーテリングが光る作品であり、群像劇としての魅力を存分に味わえる一冊である。

 

まとめ

「このミステリーがすごい!2023」国内編ベスト10には、個性豊かな作品が揃ったなと思う。本格ミステリーからエンターテインメント性の高い作品まで、幅広いジャンルの作品がランクインしている。このランキングを参考にミステリを読んでみるのはどうだろう?

 

 

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