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症例紹介

症例44 頭重感と首の痛みに柴胡疎肝湯

相談内容:頭の重だるさと首の痛みを改善してほしい
相談者:40代半ば 男性

年明けの寒い時期のご相談です。
1ヶ月ほど前(昨年12月頃)から、首の痛みを伴う頭の重だるさが出るようになりました。
痛むのは、右首の付け根から右後頭部にかけてです(右利き)。
以前から、肩こりが強かったのですが、今は頭の重だるさと首の痛みの方が気になるようです。

お風呂に入ったり、お酒を飲んだ後は症状が軽減します。
反対にコーヒーを飲んだ後、パソコン業務をしている時、右を向くと症状が悪化します。

仕事はパソコンでの業務がほとんどで、1日中同じ姿勢で座っていることが多いです。
頭が重くなり始める前から、右脇腹が張ったり痛むようになりました。
睡眠も不足がちで、疲れもたまっているように見えます。

処方選択

肩こりや頭痛を抱えている方は多く、現代病といっても過言ではない症状です。
肩こりが増えてしまった一番の要因は、同じ姿勢で作業することが多くなってしまったからです。
同じ姿勢を続けることで、筋肉が硬直し、炎症が生じて痛みになります。
今回の症例でも、仕事での同じ姿勢が原因となって発症したものと考えるのが妥当かと思います。

加えて、本人は口にはしませんでしたが、相当にストレスを抱えているように見えました。
ごくまれに、ストレスがまったくないという方がいらっしゃいますが、多かれ少なかれストレスにさらされている方がほとんどです。
ですので、基本的にはストレスは誰にでもある前提で考える必要があります。
だからといって、すべての人にストレスを緩和する漢方薬を使えば良いというわけではありません。

大事なことは、その人のストレスはどの程度のものなのか、また、そのストレスが心身にどの程度影響を及ぼしているのかを見極めることになります。
もし、ストレスと生じている症状との関連が大きければ、ストレスを緩和する処方を使うことで、症状が改善される可能性が高まります。

今回の場合、入浴やお酒を飲むことで症状が軽減しています。
これは、一時的に血行が改善したことに加えて、緊張が緩和されたこともプラスに働いていると思われます。
また、右脇腹の痛みも、ストレスによって生じる症状の一つでもあります。

そのため、今回の症例では、同一姿勢による筋肉の硬直が主な原因ではありますが、年末の忙しさとそれに伴うストレスが症状の悪化に拍車をかけていると考える必要があります。
これより、筋肉の緊張を緩和するとともに、精神的ストレスの解消と血流改善を促す漢方薬をお渡ししました。

処方:柴胡疎肝湯(サイコソカントウ)

服用して、わずか1週間で頭の重だるさと首の痛みがきれいになくなりました。
症状が改善したので、1週間で服用を終了しました。

柴胡疎肝湯とは

柴胡疎肝湯は、四逆散(シギャクサン)を発展させた処方です。
四逆散は、仕事や学業などのストレスで生じる心身の不調(胃痛・イライラ・神経過敏・便秘・肩こりなど)を改善する処方です。
四逆散そのものの作用を強化するとともに、血流を改善する作用を加えたものが柴胡疎肝湯になります。
今回は四逆散でも良かったのですが、よりすばやく症状を改善するために柴胡疎肝湯を選択しました。

まとめ

肩こりや首こり、頭痛などは慢性化している場合も多いため、すぐには改善されないこともあります。
今回は処方がうまくかみあったおかげで、1週間ほどで症状の改善が見られました。
ただし、今後も同じ仕事を続けるため、再発の可能性は十分にあるので、姿勢に気をつけたり、こまめな休憩や運動を行うことで、症状の再発を予防することが大切です。

今井 啓太

今井 啓太

薬剤師。1984年生まれ。名古屋市立大学、大学院を出た後、大手医薬品卸会社に入社。営業所の管理薬剤師として、西洋医学を中心に知識を深める。その後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局 博済に勤務。福島毅先生より、中医学理論及び漢方の臨床について学ぶ。その後、漢方コラージュの戸田一成先生より漢方経方理論を学び、実践への礎を築く。2016年、三鷹にて漢方薬局 Basic Spaceを開局。

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