私は『熊さと』と言う名前の、地球人(日本人)の皮を被った『ベアー星人』です
『ベアー星』は、地球から”約3光年”離れた処に存在しています
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近未来のアンドロイド『メア』が、中世ヨーロッパに似た異世界に飛ばされ、『孤独な慈悲の王』・エルード王と出会うことによって、”人間の感情・心情”が育まれる・ヒューマンドラマでございます
その第3話でございます
是非とも、読んでみて下さい・・・・よろしくお願いいたします
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孤独な慈悲の王 第3話・・・違う世界
エルード王が、褒美を与えようとメアを引き留めたが、一日でも早く合衆国へと帰還しようと、エルードの善意を振り切って、巨大な城塞を飛び出て行ったのは良かったが
A・W(アンドロイド・ウェポン)の機能している“ナビゲーション”も“通信機能”も“圏外”になっていた
メアは、“その原因”を“金属とオイル”の供給不足と判断し、『頭脳』に修まっている『緊急手段・プログラム』を作動させ
急遽、エルード王のいる巨大な城塞に戻り、手足を“多数の触手”に変化させ“城内の街”の所々にある“金属やオイル”らしき物を片っ端から吸収した
だが、“機体”に沿った“代物”でなく、メアは“消化不良”を起こし、そのまま起動停止をしてしまったのだ
メアが起動した時には、以前“保管”された、エルード王城の1つの部屋のベッドに横たわっていたのだった
「メアよ・・・急に城塞を出たかと思ったら、いきなり戻って“略奪”は無いだろ」
と、エルード、ため息混じりの憔悴した表情で話しかけたが
メアにとっては、エルードの“憔悴した表情”が、今にも“死にそうな表情”としか“処理”されず、しかも“標的”でもないので
『とにかく、合衆国に帰還しなければ』
と、エルードの事を“無視”して、立ち上がろうとしたが
『き、起動しない・・・・』
と、相変わらずの無表情で、驚くメア
「処でメアよ、そなたは一体何者なんだ?」
と、今度は冷静沈着に話しかけるエルード、その表情に更に驚くメア
それは、まるでA・Wたちに指令を出す“マスター”と同じ表情だったからだ
そして、冷静沈着なエルードに、メアは“マスター”に対しての反応に取ってしまい
「私は、合衆国軍所属のアンドロイド・ウェポン」
と、答えてしまったのだ
・・・・本来は“秘密事項”に適し“黙秘をする”システムになってるが、エルードが余りに、メアたちに指令を出すマスターの顔に酷似していたため、そのシステムが作動しなかったのだ
「アンドロイド・ウェポン?・・・それは、そなたの“種族の名称”なのか?」
と、何か考え事をしながら質問をするエルード
メアは、自分の置かれた状態の急な変化に“対応”でき『頭脳』も落ち着き
アンドロイド・ウェポンについての解説をしても、エルードは理解しないだろうと判断し
「はい、そうです・・・」
と、言って適当に答えた
エルードは、驚いた顔で
「そなたの手足が“スライム”の様に触手に変化していたから・・・“スライムの一種”だと思っていたが、どうやら違うのだな」
と、感嘆していた
驚いて感心しているエルードの様子を、メアは“スライム”と言った言葉さえ“何の反応”
もせずに、只々“無表情”で見つめていた
無表情で佇むメアに、エルードは眉を顰め
「処でメアよ何故・・・いつも“無表情”のままいるんだ?」
と、窘めると
「私たちは“その様に出来ています”から」
と、相変わらずの“無表情”で答えるメア
そんなメアの反応に、エルードは少し考え事をし
「相手の“喜怒哀楽”と言った感情・・・顔の変化についての“理解”はあるのか?」
と、再び質問をし
「はい・・・人間には感情がある事は“理解”していますが、私たちの『使命』には関係ありません」
と、メアが答えたので
「“私たち”って事は“アンドロイド・ウェポン”と言う種族の全てに『使命』があるって意味だな」
と、間を置かずに、エルードが問うと、メアは、コクリと首を縦に振り
「では、その『使命』とは・・・何なんだ?」
と、エルードは重く低い声で、メアに質問をすると
「私たちは、マスターの指令に従って、標的を“殺し、殲滅させ、破壊する”事が『使命』です」
と、何の躊躇なく“無表情”で答えるメア
エルードは、今までにない驚愕を覚え
「そのマスターとやら為に、他者を“破壊”する事が『使命』って・・・アンドロイド・ウェポンって、なんて“悲しい種族”なのだ」
と、眼に涙を浮かべながら嘆いていた
メアは、エルードが悲しんでいる事は“分かっている”が、その悲しみの原因が“アンドロイド・ウェポンの『使命』に対する悲哀”である事は“理解”はしていない
メアは“無表情”で、エルードの悲しむ様子を只々見ていただけであった
そんな何の反応もしないメアに、エルードの心情は
(この種族は“マスターと言った人間たち”いや、“合衆国”と言った国家によって“家畜化”され『使命』のみ“生きる道”しか与えて貰えなかったのだな)
と、解釈し
(相手の“喜怒哀楽”と言った感情は“理解”してると答えたし・・・『使命』以外の生きる道を示せれば、“アンドロイド・ウェポン種族”を“他の種族”同様に、自由に生活を営む事が出来るだろう)
(“アンドロイド・ウェポン種族”を救う事は、俺の『王としての目標』・・・種族を越えた“大調和”の世の中を創造するに合致する)
と、メアを『使命』から解放させ救う決心をし、そして『王としての目標』を再確認した
エルードは、同情に満ちた笑みをメアに向け
「そなたの言った“合衆国”なる国は、“この世界”には存在しないのだよ」
と、語りだした
この世界には、“合衆国”なる国家は“存在”しないのは事実だが、エルードの“真意”は、メアを、悲しい『使命』から引き離すことであった
メアは、エルードの“合衆国が存在しない”と言った言葉に反応し
『合衆国が“無い”・・・何故“無くなった”のだ?』
と、さっきまで無表情だったものが“目を大きく開いた表情”を浮かべエルードに質問をした
エルードは、メアの表情が変わったのを見逃さず
「お!!そなたの表情が変わったな・・・」
と、驚いた笑みで感嘆すると
『そんな事はどうでも良いです!!!なぜ“合衆国”が無くなったのですか?』
と、怒り、エルードに答えを急かすと
エルードは、笑みを浮かべ
「そなたの今行っている様が、まさに人間の“驚きと怒り”の感情だ」
と、指摘をすると
ハッとした“表情”を浮かべたメア
【これが・・・人間の言う“感情”・・・何度か“こんな信号(感覚)”が『頭脳』に送られる事があるが・・・これが“感情”と言った信号だったのか】
と、過去を振り返り思い直していた
エルードは、真剣な表情で
「メアよ、そろそろ“この世界”について説明して良いか?」
と、許可を貰おうとし
さっきまで思い耽っていたメアは、エルードの声に少し戸惑いながら、コクリと首を振ると
「“この世界”ではよくある事だ・・・違う世界から“移転”してくる者が現れるのだよ・・・要するに、そなたは“違う世界”から、この世界に“移転”して来たのだ」
と、エルードが説明すると、メアは“無表情”に
「そうか・・・あの“黒い渦”によって、この世界に来た・・・それで、妙な姿形の生物がいたのだな」
と、妙に納得しだしたので、エルードは苦笑いしながら
「あれ、驚かないのだな・・・普通困惑し、色んな質問する事あるだろ」
と、言うと、メアは“無表情”で
「また、“黒い渦”で“合衆国”に戻る事が出来る・・・“黒い渦”を探せばよい」
と、さっぱりとした応答をし
エルードは、ため息をつき
「どうやら、“合衆国”とやらに帰る事しか考えていないようだな」
と、ぼやき
「では、その“黒い渦”が見つかるまで・・・余の護衛となって、余を護ってくれないか」
と、笑みを浮かべ、メアをスカウトすると
「はい、“合衆国”に帰還出来るまで、貴方の護衛を引き受けましょう」
と、あっさりと承諾したので
エルードは、驚きを隠せず
「いくら何でも、承諾するの早すぎるだろ!!!!」
と、メアに突っ込みを入れると
「戦闘能力を磨き上げるためです・・・起動しないまま保管される訳にもいきません」
と、メアが“少し笑みをこぼし”答えたため
メアの“少しの笑み”に納得したエルードは
「では、交渉成立だな」
と、握手を求め、手をだすと
『私に手を差し出して・・・どう言った意味だ?』
と、無表情で疑問を呈するメア
「これは、お互いに納得した時、相手の手を握って確認する行為だよ」
と、説明するエルード
『ふ~~ん、そうなんだ』
と、メアは、エルードの手を握り、交渉の成立の確認がとれ
以後、メアは、エルードの護衛として働きながら、“合衆国”に帰還できるとされる“黒い渦”を探す事となったのだ
エルードは、メアを自身の護衛にする事によって、人間の感情を教え、そして悲しい『使命』から解放させ、自由に生活を営める様に出来る種族に変え
メアは、A・Wのプログラムの1つ『標的の可能性ある対象の情報収集』があり、エルードが“標的”になる可能性を示唆し、その間に“色んな情報”を引き出す為に、護衛を引き受けた
だが、メアの『頭脳』の深層には、『人の感情をもっと知りたい』と言った信号が流れていて、その信号が優先して、エルードの護衛を引き受けていた事は、メア自身、知る由も無かったのであった
続く・・・・・
<<後書き>>
メアは、自分のいた世界に戻る・・・”黒い渦”が見つかるまで、エルード王の護衛役となった、どの様に”人の心”を得る事ができるのだろうか?
不定期になりますがよろしくお願いいたします
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