鹿の肝臓の寄生虫(肝蛭・槍形吸虫・線虫)

ジビエ

野生の鹿の肝臓には高確率で寄生虫がいる。これらは牛などの家畜にも寄生している。家畜の場合は薬で治療できるらしいが、野生の鹿はそうはいかない。生で食べると人に感染する恐れもある。ジビエは十分に加熱調理しなければならない理由の一つである。

感染した肝臓の特徴

寄生されている肝臓は表面が繊維質になったり白斑が現れる。臭いも臭くなる。

寄生虫の種類

3種類の寄生虫がよく見られる。複数種類同時に感染していることもある。参考に私が記録した感染数を載せておく(2022年12月現在)。

肝蛭・槍形吸虫・線虫のエタノール標本

肝蛭

鹿を解体していて遭遇数が一番多い寄生虫である。私が半年間で調べた376頭中には128頭(34%)が感染していた。

  • 寿命は3~5年だが通常は1年だと言われている。
  • 人への感染症例有り。

生態系など詳しくはこちらを参考して欲しい。

槍形吸虫

2番目に多い寄生虫。私が半年間で調べた376頭中には33匹(9%)が感染していた。

  • 寿命は6年以上である。
  • 人への感染症例有り。

生態系など詳しくはこちらを参考して欲しい。

線虫(詳細不明)

謎の寄生虫。寄生虫を研究している方曰く、「鹿の肝臓への寄生は症例がほとんど無い」とのこと。詳細不明。私が半年間で調べた376頭中には8頭(2%)が感染していた。レア?

人間への感染について

人間への感染は以下の論文が詳しい。上記の寄生虫以外も載っているので勉強になる。

野生鳥獣肉(ジビエ)食に原因する寄生虫症

食用の肝臓(レバー)について

ジビエでは厚生労働省のカラーアトラスに従い肝臓に寄生が確認できた場合は、肝臓を破棄することになっている。肉には寄生しないので肉を食べても問題は無い。また、寄生虫の有無は食肉の個体記録表に記録項目があため食肉業者は必ずチェックしている。なので寄生された肝臓は市場には出回っていないはずである。

冷凍すれば寄生虫は死滅するがいずれにせよ、E型肝炎ウイルスなどの感染症の可能性もあるので食べるなら必ず加熱しなければならない

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