現在のイランが第一次大戦時のドイツや第二次大戦時の日本のようにビスマルク憲法を持っていることとそのイランがアメリカと対立している危険性についてこれまで書いてきたわけですが、ここで少し整理してみたいと思います。

第一次世界大戦はビスマルク憲法下のドイツと民主主義国であるイギリスおよびフランスが戦い、後に民主主義の国であるアメリカが参戦してきました。

またビスマルク憲法を持つドイツは民主主義国と戦う一方で専制主義のロシアとも戦っていました。

この戦争の結果は民主主義国が勝利し、ビスマルク憲法のドイツは敗れ、専制主義のロシアでは革命が起きました。

第二次大戦での東アジアでもこれと似たようなことが起こります。ビスマルク憲法を持った日本は米、英の民主主義国と戦いましたが、それ以前に蒋介石による専制主義の中国と戦っていました。

この戦争の結果はやはり第一次世界大戦と同じようになります。

アメリカやイギリスの民主主義国が勝利し、ビスマルク憲法をもった日本は敗れ、専制主義の中国では革命が起きました。

そして仮に将来、ビスマルク憲法を持つイランと民主主義国であるアメリカおよびイスラエルが戦うようになったときにこれらの国々だけで戦争になることはなく、必ずアメリカの準同盟国でありイランのライバルである専制主義のサウジアラビアも巻き込まれることになるはずです。

そうなればビスマルク憲法を持つイランは民主主義国と専制主義の国両方と戦う第一次大戦と第二次大戦のアジアでの出来事と同じことが繰り返される可能性があります。

ここで少し話はそれますが、ロシアのプーチン大統領が2022年1月にウクライナを侵略した後にいくつかの本を読み返したのですが、そのうちの一冊がマリン・カツサの『コールダー・ウォー』という本で、日本語でも渡辺惣樹さんの翻訳ででています。

この本でのウクライナに関する分析はとても鋭く、この戦争が始まった時にウクライナがナチスに関与していたかどうかが問題になりましたが、この本ではそのことにもふれられていました。

実はこの本の終わりの方でイランとサウジアラビアが戦った場合の予想が書かれていたのですが、それがとても参考になるので一部引用してみます。

・サウジアラビアには政党は存在しないし、組合も無い。サウジ王家の一員が行なっている支援団体以外に社会的な団体も存在しない。もしサウジ王家が崩壊したら、その真空を埋めるのはイスラム主義者だけだ。

・サウジのイスラム主義者は最も厳格で反動的なワッハーブ派に属するものであり、ビン・ラディンの仲間でもある。

・サウジとイランが戦うことになればサウジでイスラム主義者が勝利する確率は非常に高くなるだろう。

わたしもこのようになる確率が高いように感じています。

すなわちビスマルク憲法を持つイランが民主主義国であるアメリカ(およびイスラエル)と専制主義のサウジアラビアと戦ったら、おそらく民主主義国が勝利しビスマルク憲法を持った国は敗れ専制主義の国では革命が起きるでしょう。

つまり第一次大戦と第二次大戦のアジアで起こったことと同じことが中東で起こる可能性があるのです。

ロシアと中国で起こったのは共産革命でしたが、将来のサウジで起こるのは共産革命ではなく過激なイスラム革命という違いはありますが、こんな結果になる戦争は世界にとって本当に必要なのでしょうか。

 

人気ブログランキング
人気ブログランキング