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健康問題と労働生産性の低下

5/9/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:プレゼンティーイズムと睡眠の質との関連は、特に男性で顕著

従業員が何らかの健康問題や症状を抱えて出勤し、出勤時の生産性が低下している状態を「プレゼンティーイズム(presenteeism)」と言いますが、プレゼンティーイズムと睡眠、喫煙や飲酒との関係を調査しました。鳥取大学医学部環境予防医学分野からの報告です。(Journal of Occupational Health、2023年12月14日)

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鳥取県の1つの地方自治体の職員に対する2015年の質問紙調査のうち、713人(男性57.8%)のデータを用いました。対象者は、生産性の測定ツール(WHO-HPQ)による質問「あなたの過去4週間の全体的なパフォーマンスをどのように評価しますか?」に、10段階で回答しました。それを100点満点(0点が最低、100点が最高のパフォーマンス)に換算し、40点以下をプレゼンティーイズム(自己評価による絶対的プレゼンティーイズム)と定義しました。

主観的な睡眠の質に関しては、過去30日間の全体的な睡眠の質を尋ねる質問への回答を基に、「良い」と「悪い」に分類しました。また、飲酒および喫煙に関する質問への回答に基づき、対象者の状況を「非飲酒」「元飲酒」「時々飲酒」「現在飲酒(毎日)」および「非喫煙」「元喫煙」「時々喫煙」「現在喫煙(毎日)」にそれぞれ分類しました。

・その結果、プレゼンティーイズムに該当した人は174人(24.4%)であり、そのうち男性は102人(24.8%)、女性は72人(23.9%)で、有意な男女差はありませんでした。
・年齢層ごとの割合は、30歳未満が33.0%(32人)、30~39歳が29.7%(44人)、40~49歳が21.7%(51人)、50歳以上が20.2%(47人)でした。
・また、対象者の状況については、睡眠の質が悪い人は314人(44.0%)で、男性が190人(46.1%)、女性が124人(41.2%)。現在飲酒者は182人(25.5%)で、男性が145人(35.2%)、女性が37人(12.3%)で、現在喫煙者は、男性が117人(28.4%)、女性は4人(1.3%)のみでした。
・ロジスティック回帰分析の結果、プレゼンティーイズムと睡眠の質が悪いこととの正の関連が、全体(オッズ比1.70、95%信頼区間1.18~2.44)と男性(同1.85、1.12~3.05)で認められました。
・女性では現在飲酒(同3.49、1.36~8.92)との正の関連が見られ、反対に、負の関連を示した要因は、全体では50歳以上(同0.50、0.27~0.93)、男性では現在飲酒(同0.43、0.20~0.92)、女性では40~49歳(同0.24、0.09~0.66)でした。

以上の結果から、プレゼンティーイズムと睡眠の質との関連は、特に男性で顕著でした。また飲酒は、女性ではプレゼンティーイズムと正の関連、男性では負の関連を示す可能性が示唆されました。

参考文献:Lifestyle factors associated with presenteeism among city government office workers: a cross-sectional study | Journal of Occupational Health | Oxford Academic (oup.com)

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