日本人の口腔がん死亡率と飲酒の関係

今日のポイント：多量飲酒者では、死亡リスクが1.36倍、女性では2.52倍
 
日本における飲酒と口腔/咽頭がんの予後との関連について調査しました。大阪国際がんセンターからの報告です。（Cancer Epidemiology誌、2024年4月号）

1975～2010年に診断され、院内がん登録で特定された2,626例の口腔がんおよび咽頭がん患者を対象に、最長10年間追跡調査しました。対象者をアルコール摂取量により、非飲酒者、元飲酒者、軽度飲酒者（エタノール23g※/日以下）、中程度飲酒者（23～46g/日）、多量飲酒者（46g/日超）の5群に分け評価しました。飲酒と10年全死亡率との関連は、性別、年齢、原発部位、病期、多発がんの数、手術、放射線療法、化学療法、喫煙状況、診断年について調整後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価しました。
※エタノール23g：日本酒1合（180mL）、ビール大瓶1本（633mL）
 
・非飲酒者に比べ、元飲酒者（ハザード比[HR]：1.59、95％信頼区間[CI]：1.28～1.96）および多量飲酒者（HR：1.36、95％CI：1.14～1.62）の死亡リスクは有意に高くなりました。
・多量飲酒者は男性（HR：1.35、95％CI：1.10～1.65）、女性（HR：2.52、95％CI：1.41～4.49）とも非飲酒者より死亡リスクが有意に高くなりました。
 
以上より、多量飲酒者（エタノール46g/日以上摂取）では非飲酒者と比較して死亡リスクが1.36倍、女性では2.52倍になることが示唆されました。
 
 
参考文献：Alcohol consumption and 10-year mortality in oral and pharyngeal cancer - ScienceDirect