三鷹「山本有三記念館」築100年の邸宅を改修した記念館をレポート

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今回は三鷹市にある山本有三記念館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

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1.山本有三が戦前の10年間を過ごした邸宅を訪問

今日は東京都三鷹市に大正時代に建てられた邸宅を改修した文学館があると聞き、早速訪れてきました。

今回訪れた山本有三記念館は、その名の通り大正時代〜昭和にかけて活躍した小説家・劇作家の山本有三が暮らした邸宅を改修してつくられた記念館です。

山本有三記念館

山本有三は栃木県栃木市出身で、戯曲や小説などの作品や、戦前・戦後問わず国語教育に尽力したことでも知られる人物です。
このブログでは以前、旧栃木市役所の建物を改修した栃木市立文学館をレポートしました。
山本有三の名に馴染みがないという人も多いかもしれませんが、現在もたまに目にする「路傍の石」という表現は、山本有三の小説が元になっています。
詳細記事
・栃木「栃木市立文学館」築100年超えの町役場を改修した文学館をレポート

三鷹駅の南口から玉川上水沿いに10分ちょっと歩くと、今回の目的地である山本有三記念館に到着です。

山本有三記念館は、元々は貿易商を営んでいた清田龍之介の住まいとして、大正時代末期の1926年ごろに建てられた邸宅です。
この邸宅は1階が鉄筋コンクリート造、2階が木造の混構造の建物で、材料も石やタイル、木を組み合わせたデザインの先鋭的な住宅でした。

山本有三記念館

正面にそびえ立つ煙突、各方向に隆起するような屋根のような大胆なデザインと、近づくと気付く細かい装飾やスクラッチタイルの陰影とが両立しているので、見ごたえがあります。

山本有三記念館

様々な素材が組み合わさったデザインは、当時の建築流行の影響とともに、大正時代という自由でモダンな時代の潮流も感じて、見ていてとても楽しいです。

その後の家主の清田氏が経済難から邸宅を売却することになるのですが、建物完成から10年後の1936年に山本有三の邸宅として使われだします。
山本有三氏はこの邸宅に引っ越す以前から新聞に、文学を建築に例えて「鉄筋コンクリート造の作品」を望むという文章を寄せています。

1923年に未曾有の被害をもたらした関東大震災が起きたことも大きく影響していたと思いますが、文学の発展は山本は堅牢で強固な土台の上にこそという考えを持っていたようで、その考えにピッタリ合っていたのがこの邸宅だったのです。

2.見どころ満載の建物と展示をたっぷりと堪能

館内に入った後は、先ずは入り口横のカウンターで受付を済ませます。
入館料は一般300円で、中学生以下は無料となっています。

邸宅の各部屋は、綺麗に補修されてそのまま展示空間として利用されています。

山本この住まいでの生活は、終戦を迎えて邸宅がGHQに接収される1946年まで続きました。
10年間という短い期間ではありましたが、この期間の中で山本は先程挙げた路傍の石などの小説の執筆、自身が編纂代表を務めた日本少国民文庫の「君たちはどう生きるか」の刊行、こちらの応接間を使った私設文庫「ミタカ少国民文庫」の開館など様々な作品や活動に結実します。

山本有三記念館

展示は常設展示の他に、時期ごとにテーマを変えた企画展示もあって、かなり充実しています。

応接間から始まり、食堂、長女の部屋と展示は続き、どの部屋も90年近く前の空気をありありと感じることができます。

山本有三記念館の内観

山本有三についても、作品に関する貴重な資料はもちろん、私生活の様子や、家探しや家造りに対するこだわりなど様々な資料が展示されているのも興味深かったです。

山本有三記念館の家具

びっしりと文字が書かれた創作ノートや、自宅を建築するときの職人さんとのやり取りなど、様々な角度から山本有三について知ることができました。

山本有三記念館の内観

各部屋だけでなく廊下や階段も見どころが満載です。
特にこちらのメインの階段は、山本有三記念館の中でも人気のスポット。

山本有三記念館

ステンドグラスを通じて室内に降り注ぐ色とりどりの光真っ赤な絨毯と濃い木材のコントラスト職人技の光る手すりや天井装飾の造形など、思わず見惚れてしまいます。

こちらはイングルヌックと呼ばれる暖炉を中心とした小部屋スペース。
現在は受付横の休憩スペースになっています。

山本有三記念館の家具

建物の他に、家具にも注目です。
建物の魅力に勝るとも劣らない見事な家具や調度品が間近で見られるのがとても贅沢です。

椅子や机など身近な家具をみるとこの邸宅での生活が思い浮かびますし、物語やゲームの中でしか見たことのなかった巨大なチェストからは、まさに迫ってくるような迫力を感じました。

山本有三記念館

こちらの和室は元々は洋室だった部屋を改装したもの。すぐお隣にも洋装の書斎がありますが、こちらの和室は和書斎として使われていました。

他にも子ども部屋が、そのまま子供向けの展示スペースになっていたりと、色々な角度の展示があって面白いです。

山本有三記念館の内観

今まで山本有三は著名な作家、政治家という認識しかありませんでしたが、展示を通じて山本有三の人となりや歩んできた人生を知ることができ、彼の作品への興味がより強いものになりました。

素敵な建物と展示をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットなので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。


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山本有三記念館
住所:東京都三鷹市下連雀2-12-27
アクセス:三鷹駅から徒歩約12分
オープン年:1996年
営業時間:9:30~17:00
休館日:月曜日
入館料:300円

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