転職することになって、抱えていた仕事に区切りをつけたり、引き継ぎをしたりで大忙しな日々が続いていましたが、ついに今週現職出社最終日を迎えました。10年以上勤務した会社。色々な思い出が思い浮かんできて感慨深いかなと思ったら、あれっ、意外にそうでもありませんでした。

 

ここ数日の私の懸念は、私の送別会は開かれるのだろうか、ということでした。アメリカでは、誰かが辞める時のフェアウェルはランチとか午後〜夕方の勤務時間内に開かれることが多いです。当然費用は基本会社持ち。他の会社は知らないけれど、うちの会社では、誰かの送別会を夜の業務時間外にやったことは一度もありません。

 

規模や内容は、辞める人の勤続年数や、辞めてどこかで動くか、そして個人の人気度がそのままダイレクトに反映される感じがします。いきなり辞めたり、密かにクビになる人もいるので送別会なんてないケースもあります。その方が多いかも。一方、ほんの一人握りですが、名物社員のハッピーリタイアメント例えば勤続30年の専門職一筋の人やみんなのおばあちゃんみたいな名物秘書さんが辞める時なんかが意外に一番豪勢だったり。ということで、上司や同僚が自分のことをどう思っているかがダイレクトに分かる生々しい機会でもあるのです。私は勤続10年で、今の部署では古参の部類に入ります。一方、特に付き合いがいい方でもなかったし、最近はオフィスにこない人も多いので、今の情勢や私くらいの立ち位置を考えると、フェアウェルパーティーはなしで、寄せ書きカードと例えばマグカップなどのささやかなプレゼントをもらうのが相場かなと思いました。

 

あるオフィスパーティーの様子。時間になっても人はまばら

 

正直、それが一番気楽。今までも辞めていく同僚の送別会が開かれたりしても、数人しか来なかったのも見てきたし、基本内心「めんどくせぇ」と思ってる人の方が多いのがよくわかってます。自分も、たいして親しくもない同僚の送別会と、ジム通いなど日常のルーティンをどっちを取るかって言ったら、後者。あと、所詮出される食べ物や飲み物が目的で来てるんだろうな〜という若い子たちとか、余ったランチなんかを狙って他部署の関係ない社員が会場を付近をウロウロして食べ物を漁りに来るのも感じ悪い。ということで基本、私は職場の送別会に基本ネガティブモード。年休消化に入るので実際の退社は4月末。親しかった同僚とだけ個人的に会って、周囲一般には最終出社日を公表しないようにして、いつの間にかいなくなるという戦略を取ろうとしました。

 

そんな感じで今週最終週を迎えました。他の部署に勤める日本人の同僚二人には、とてもお世話になったし別で門出を祝っていただくことになっています。そして昨日の最終日は上司とだけランチすることになっていましたが、コロナ以降もあまりオフィスに顔を出さない何人かの同僚が来ているのを見て、何か胸騒ぎがしたのでした。

 

そう、私の送別会はサプライズで準備されてました。ちょっとした隙にオフィスの廊下がパーティー会場になっていました。「急だったので会議室が取れなくて、ごめんね、」と上司のチームアシスタントが言ってました。嬉しい反面、ややうぜ〜と思う自分もいました。感じが悪いひねくれ者だと思われてしまっても仕方ありませんが、計画してるんだったら、やはり事前に教えて欲しい、、。案の定、主賓としてスピーチも求められました。英語がネイティブではない私に取って、こういうところで気が利く挨拶するには準備が必要なんです。それに、私のスピーチをスマホで撮ってる人もいて、「一体全体何に使うんだろう、やめてくれ〜」と思いました。それにしても、このサプライズ、どうやら上司が仕込んでくれていたらしい。ランチと言って私をおびき寄せて引っ張り出して。この上司、やや抜けてるところが可愛くて、私宛のオンライン・寄せ書きカードを記入するようにとEメールを私以外のチームメンバーに送ろうとしたようですが、グループアドレスにも送ってしまったので、実は私も見てました。先月の転職活動記でも散々書きましたが、新しい職場で上司となる人は、結構完全無欠系の超絶イケメンなので、いずれは、このお茶目な今の上司を懐かしむこともあるんだろうな、とややしんみり。

 

 

日本連想でこんなケータリングを準備してくれた

 

わざわざWholeFoodsまで行ってきてくれて感謝

 

サプライズは気が乗らなかったけれど、いざ参加してみると、部署のほとんどの人が顔を出してくれて(というか廊下でやってたら顔出さないわけにはいかないですけどね)、やっぱり嬉しかったです。食べ物も、私が日本人ということで、焼き鳥盛り合わせ(Tokyo Platter)とデザートを準備してくれていました。私が辞めることを今週まで知らなかったという同僚もいたので、一度にお礼とお別れができるいい機会でした。みんなと話しながら、自分でもこの会社で学んだことや楽しかったことなどが思い浮かんできました。辛かったことはあまり覚えていないけれど、あえていうならコロナの最悪の1−2年間は不安でした。会社のビジネスの行先がどうなるのか、もしや部署閉鎖になってチームごと路頭に迷うという最悪シナリオまで考えた時期でした。そういう意味では、ここにいる人たちは皆戦友。Stay in touch!と爽やかにお別れできたのでいい区切りになりました。

 

ということで、英語がネイティブでもない私を採用してくれて、ここまで雇用してくれた今の会社には感謝しています。ニューヨークも花々が咲き乱れ新たな門出を祝うにはいい季節になりました。今日からは有給消化。色々迷った挙句、来週から日本に一時帰省することにしました。

 

コロナの時期除いて10年通った光景

 

近くの日本料理屋「酒蔵」の弁当を買えなくなるのは寂しい