先月ブログで紹介させていただいたイギリス映画「異人たち」、まだ公開していることが分かったので渋谷の映画館に観に行きました。やはり日本語字幕のおかげで登場人物のセリフやストーリーの細部までしっかり理解することができました。主人公のカミングアウトのシーンが秀逸だったり、山田太一へのオマージュなのか日本のウィスキーが出てきたり、と新しい発見はあったものの今日は再び同じ批評ブログではなく映画を観に渋谷まで出て実感した、様変わりした光景や一方、あまり変わらずホッとした日本の情景を。

 

映画を鑑賞したのはロフト横のシネクイント。「異人たち」は他の街の「TOHOシネマ」系の大型シネコンプレックスでも上映してたのですが、小規模映画館好きな私、シネクイントはこじんまりとしていた記憶があるのでここにしました。ゴールデンウィークの谷間のレイトショーなのでそれほど混んではいませんでした。映画館に足を踏み入れた瞬間やっぱり来て良かった、とタイムスリップしたような昔の映画館の雰囲気。どこの映画館だったか記憶にないのですが、若い頃に、やはり渋谷の小規模映画館に、このブログでも紹介したゲイ映画の古典的名作、ウォン・カーワイ監督「ブエノスアイレス」を隠れるようにして見に来た記憶が蘇りました。

 

アメリカではもうあまりお目にかからなくなった上映映画のパンフレットを販売していたことに特に懐かしさを感じました。「異人たち」のパンフレットも当然販売していて早速お買い上げ。お気に入りの好きな作品のパンフレットを買ったときのこのドキドキ感は、映画好きにとってたまらない経験です。また「異人たち」のポストカードやイラスト入りコースターも無料配布していてお宝を発掘した気分でした。上映が終わって余っている映画のポスターを「どうぞご自由に」と無料配布していたり、デジタル時代でもパンフレットのような紙媒体や小物グッズが脈々として残っているところはいかにも東京だなと嬉しい限りです。

 

東京で観る名作映画はまた格別

 

アメリカで映画パンフレット販売を見ることはほぼない

 

この日の観客層や映画解釈でまた日本らしいなと思うのは外国映画のマーケティングの仕方。字幕がどうこうということを超越して、日本での外国映画の公開時には現地とは全く違った色をつけて映画を宣伝することがあります。例えば、この映画、アメリカやイギリスなど英語圏では、硬派でミステリアスなヒューマンドラマ、日本人作家原作のイギリス人監督というエキゾティックな作品として紹介されていました。NYで見た時は、男も女もゲイもストレートも、一応にいて、特に誰かを主なターゲットにしたとは思えませんでした。

 

しかしこうして実際に日本での取り上げられ方を見ると、この映画も日本独自の解釈を施して宣伝しているなと思いました。映画のパンフレットとか、下の写真のピンク色の絵葉書とかコースターなど配られているグッズとか見ると女性観客を意識していることがわかりました。それに伴いアメリカで観た時にはあまり目立たなかった、女性客が結構多かったです。郷愁とか懐古という作品のテーマに加えて日本独自に「赦し」や「癒し」、そしてBL的というべきなのか「あまり知られてないハリウッドイケメン発掘」の要素を入れてきたみたいな。(ハリー役のポール・メスカルは日本人女性に人気になりそうな上品な顔。)

 

いい映画は観た人それぞれの鑑賞の仕方があって当然なんですが、こういった光景を見て、いい意味でも悪い意味でも、日本のガラパゴス的ノスタルジアを感じました。パンフレットの中身はあまり作品とは関係ないサブカル雑考感まで満載で、劇中に使われた80年代の洋楽への見解とか、主演の一人ポール・メスカルに魅せられた批評家さんの”俳優推し寄稿”とか入っていて考察が面白かったです。この手法、日本人受けしそうなルックスの新進気鋭のイケメン俳優が出てきたときによく見ます。もう1人の主演、アンドリュー・スコットの方がキャリアのある俳優なので、彼の方をもっと言及して欲しかったのです。しまいには、大林宣彦監督版で両親役を演じた片岡鶴太郎と秋吉久美子を誌上対談に引っ張り出してきてしまったりと、日本語という壁を最大限に発揮して表現の自由を謳歌しているなと思いました。一部の映画関係者は、大林版「異人たちの夏」が、アンドリューによってゲイムービー化していると指摘していましたが、こういう日本的なガラパゴス的見解は逆に、アンドリュー版「異人たち」に勝手な解釈を付け加えることになっているのでは、などと考えてしまいました。別にいい悪いではないのですが、海外で観た映画をもう一度こうして日本で見ると、色々な発見がありました。

 

ピンクのイラストはこの映画に対する日本的期待や解釈を端的に表している気がしました

 

「異人たち」を日本語でしっかり理解しようとして映画館で、変わらない懐かしい日本での外国文化咀嚼プロセスを見て、懐かしい気分に包まれた一方で、映画館を一歩出た渋谷の街は、いつの間にか変貌した東京の様子を映し出しているように思いました。

 

ずっと日本にいて渋谷の変遷を見ていると気がつかないかもしれませんが、久しぶりの渋谷の街には圧倒されてしまいました。特に、渋谷駅改札からスクランブル交差点、センター街のあたりまで、この一体が何かコンサート会場なのかと思うほどの人混み。一見したところ、ほぼほぼ観光客や旅行者という光景。そのうち7割くらいは外国人に見えます。ニューヨークのタイムズスクエアも世界中の観光客が集まりますが、渋谷が面白いのは、駅前にバスターミナルがあって大勢の通勤通学客がバス待ちをしていたり、地下鉄やJRから井の頭線に向かう日常の生活をしている人たちの導線が加わるところです。昔は、もう少し日常使いの人たちと観光客が調和していたように思いますが、バス待ちや電車乗り換えの人たちはまるで感情がないかのように、あふれる観光客の群衆に目もくれず、まるで存在を無視しているかのように、器用に小走りで目的地に向かっていく姿が印象的でした。これでよく毎日怪我人や死人がでないものだと感心します。

 

 

映画の後、井の頭通りを銀座線のホームを目指して歩いていたところ、スクランブル交差点付近に人だかりができていました。テレビの撮影でもしているのかと思うくらい、通行人がスマホを向けていました。高級スポーツカーが何台も止まっていて、ギャラリー化していました。すごい爆音を鳴らしつつも、観光客の写真撮影に応じていましたが、あのあたり、新宿や中野方面に行く京王バスの経路にもなっているので、当然大渋滞が発生しています。その合間を走る10台くらいのゴーカート集団。カオスどころか地獄絵図。その横で周辺ビルの軒先には泥酔して寝転がる若い男性が何人かいたりなんとも異様な光景が展開していました。久々にみた「逆カルチャーショック」でした。

 

 

 

コンビニで買ってきたと思われる缶ビールで路上飲み会するアフリカ系の人たちや、背が高く華奢なモデル風の金髪白人女性グループ軍団もたむろして自撮りし続けてたり、前述スポーツカーのどの車も運転席に座っていたのは外国人風の若者(中東系っぽい感じでした)であったりと、一体ここはどこなんだろうと思うくらいでした。こういう人たち旅行者には見えなくて、日本在住の外国人のように見えました。ニューヨークのタイムズスクエアの光景とも違う、なんというか独特の雰囲気で、これが渋谷の魅力なのでしょうか。学生時代〜社会人初期を東京で過ごしたので人並みに渋谷には来ましたし、代々木公園付近に住んだこともあったのですが、この変貌ぶりには気がつきませんでした。私が学生の頃は、夜の渋谷に行くとチーマーに金を巻きげられるなどどまことしやかに語られて、怖い街というイメージがありましたが、今の渋谷もそれはそれで、恐ろしい場所だと思いました。

 

映画の話をしようかと思いきや、久々に訪問した渋谷で逆カルチャーショックを受けた話になってしまいました。変わっていく風景と一方で変わらないノスタルジアを感じる文化的な部分、これはあまりニューヨークなどアメリカの街では見られない東京独特な情景だと思いました。

一時帰国と東京でのバケーションが、ゴールデンウィークと重なってしまいましたがこれはこれで、賑やかな雰囲気でいいかなと思っています。東京では、ホテルニューオータニに泊まっています。

 

ここ数年は、私が日本を離れてから進出してきた新しい外資系のホテルに泊まることが多かったのですが、今回はホテルニューオータニにしました。帝国ホテル、ホテルオークラと並んで東京の老舗ホテル御三家、などと呼ばれています。どこも甲乙付け難い素晴らしいホテルなのですが、ニューオータニは、幼少の頃初めて祖父母と東京に旅行した時に回転レストランでランチして感動したり、会社の同期の結婚式スピーチを任され極度に緊張してたら、密かに憧れてた先輩がリラックスしようよ、といって私の肩揉み揉みしてくれて彼に恋してしまったりと思い出深い場所です。Dと付き合い始めて初めての日本訪問で宿泊したのもここです。

 

 

このGWの賑わいがたのしい

 

グアムでもそうでしたが、最近旅先のホテルでの楽しみ方が変わってきて、3日前にチェックインしてからはあまり遠出せず、基本ホテルに籠っています。なじみのホテルならでは、勝手も知ってるしさらに楽しめる。ここニューオータニは館内と敷地全体が一つの街みたいなゴージャスさ、紀尾井町、赤坂方面にも四谷方面にも出られる便利な立地、そして趣向凝らした日本庭園と、魅力満載で居心地がいいんです。和モダン化に磨きのかかったオークラ、皇居を見渡すパレスホテルなど、改築を済ませた他の老舗ホテルに差をつけられて室料も値下がり気味な傾向が続いていましたが、最近はエグゼクティブフロアの充実などで巻き返しを図っています。

 

ホテルに籠る、とはいっても一歩も部屋から出ないと言うわけではなくて、ホテルの施設を利用したり、喫茶ラウンジでお茶したり、紀尾井町界隈を江戸時代の遺構の探索してみたりと、気が向くままに過ごしてます。新しい外資系のホテルもいいけれど、日本の老舗ホテルは日本に来ないと味わえない雰囲気を提供してくれます。今朝は上智大学の前に並木を通って四谷駅方面に出てカフェでブランチしてまったりしました。ゲイも何人か見かけたし、いつの間にか老人のおひとり様もかなり増えたな、ということを実感。そして観光地ではない四谷にいる観光客って何してるんだろう、などあれこれと久々の日本社会のヒューマンウオッチングも楽しいです。夕食は新宿あたりに出ようかとも思いましたが、きっと混んでいるだろうと思い、日本庭園内に立つ鉄板焼きレストラン「石心亭」を予約。飛び入り(Walk In)のお客さんが来にくい立地なので、GWの最中とは思えないほど静かでいい選択でした。もちろん、味も最高。お値段もそれなりですが、こういう時は円安で助かります。

 

 

 

ジェームス・ボンドシリーズが好きなDにとっては、実はここホテルニューオータニはショーン・コネリー版007「You Only Live Twice」(1967年、邦題:007は2度死ぬ)の舞台になった聖地でもあります。作品自体私が生まれる10年も前の映画なので私もDに言われるまで知りませんでした。あまり日本人は知らないかもしれませんが、ジェームス・ボンドシリーズのファンの間では、世界中の007聖地巡りをしている人たちが結構いて、ここホテルニューオータニはアジアにおける人気聖地の一つのようで、ジェームス・ボンドのコスチューム着た人が本館の建物を背景に撮った写真がSNSなどに載っています。Dはそこまでの007フリークではないようですが、今回は館内の色々なところで写真を撮ってました。

 

ショーン・コネリーが歩いたエントランスのシーンと現在の様子。

 

ネットの拾い写真。映画オタクのインフルエンサー。Dではありません。

 

 

さて、東京にいるのに、ブログをしばらく更新してなかったのは、バケーションだし時差ボケであまり気力がなかったことに加え、最近アメブロアカウントにDMがたくさん溜まっていることが関係しています。私アメブロのシステムをあまり理解してなくて、DMのIn Boxがマーケティング関係のメッセージで溢れてきて放置、1年近くチェックをやめたのですが、私個人宛のメッセージがかなりの数に上っていることに最近気が付きました。内容は、実際にお茶しましょう、飲みにいきましょう、NYの観光スポットやお勧めレストランアドバイスください、NYに住みたいがおすすめの界隈を教えて欲しい、などなど。中にはかなりご丁寧なメッセージもいただいており、これまで気がつかず、よって返信もブログ内での言及もせずにいました。

 

一番多かったのが「東京に来たらぜひお会いしたいので、来日の際にはお知らせください、」というメッセージで、そういった方々に対応しないまま東京滞在ブログを展開していくのは、何となく気が引けたのでした。改めてありがとうございました。そして返信もせず失礼いたしましたました。

 

またこの場でお礼と共にお伝えしたいのは、私の場合、ブログ経由で知り合った方と、実際にはお会いはしないと自分の中で線引きしています。傲慢に見えるかもしれませんが、毎回日本への一時帰国最中は日程が詰まっていたり、逆に今回のように人様にお会いできるような準備もできないオフモードのことが多いので、リアル面会は自分の中でとてもハードルが高くなってしまっています。また私がこのブログを書いていることを知らないDも日本に一緒にいるので、(別にやましいことではないのですが、)何かとややこしいことになってしまいます。

 

と言うことで、私の場合、ブログは会って話す新しいお友達を作る場ではなくて、普段の生活で溜まった行き場のない思いを吐露する場、同性婚してるゲイのアメリカ生活を発信する場、そしてざっくばらんに同じようなスタンスでブログやってる方と軽い感じで縛りのない交流をする場として考えています。そう言うパーソナルな部分と、実際にお会いすることで急に現実と交差してしまうことはかえって居心地が悪くなり、ブログやってる意味もなくなるのかなと思います。そういった考えなので、ぜひ今後もいいね、コメント欄を通した交流をさせていただけたらと思います。

 

上智大学と聖イグナチオ教会付近から迎賓館方面を眺める

 

 

 

 

 

 

 

 

ニューヨークからホノルル、グアムを経て東京に至る太平洋横断の空の旅の続きです。

 

 

グアムで泊まったのは市内から少し離れたところに立つ「リーガロイヤル・ラグナ・グアムリゾート」。グアムの中心部タモン(Tumon)地区からも、空港からも車で10分程度です。

 

 

 

日本のゴールデンウィークが始まるというのに、ホテル内で見かける日本人ツーリストはちらほら。日系ホテルのわりには韓国人旅行客と米軍関係者が多い感じでした。やはり記録的な円安の影響でしょうか。私にとっては初グアム。旦那Dは何度か来たことがあったようで、当時の日本資本での開発によるバブル的状態のグアムと比べたらやや物寂しい気もするといっていました。以前GW中のハワイに行ったことがありますが、私が泊まってたワイキキのホテルでは日本人のためにGWキャンペーンなどをしていました。こちらではそんな様子もなく、ホテルでは母の日に向けた装飾になっていました。聞くところによると、日本からの観光客がピークに比べて激減しており、その代わりに韓国からの観光客にとって代わられているようです。ホテル内の案内表記も英語と日本語、そして韓国語になっています。新しい施設は、英語とハングル文字のみというところも多く、タモン地区にある大手免税店などは韓流スターが宣伝キャラクターをつとめています。

 

オーシャンフロントの部屋が多いリーガロイヤルホテル

 

すでに母の日に向けて盛り上がっていました

 

多勢を占める韓国人ツアー客は非常にアクティブで、常に観光バスでどこかに行ってしまっている感じ。また個人できてる日本人客も少ないのでホテルのプールでのんびりするにはぴったりで、滞在中ずっと大人向けプールはDと私のほぼ貸切状態でした。午後には成田からJAL便とユナイテッド便が着くので、GW旅行者が大挙してやってくるのかと戦々恐々としましたが、カップルと思われる男女、そして女子旅風の2ー3人連れ数組がプールに来ただけで、少なくともこのホテルでのGW日本人旅行客効果は「さざなみ」程度だったような印象。日本人のみなさん、とても品がよくて大人しく、のんびりと太平洋に沈む夕日を楽しむことができました。ちなみにこのリーガロイヤルホテルは旧シェラトンを引き継いだホテル。オーシャンフロントの部屋が多く、大人向けのインフィニティ・プールとファミリー向けプールが別にあるので、グアムではホテルでのんびりしたい、という方にはお勧めと思いました。徒歩圏内には飲食店などはないので、飲食はホテルのレストランかバー、ラウンジになります。なお、インフィニティ・プールに隣接するバーは、大海原を臨む絶景です。特に夕方は天気が良ければ、お酒を片手に海に沈む夕日を堪能することができます。

 

貸切状態のインフィニティ・プールで1日過ごす。ムキムキ、いやムチムチの旦那Dが少し写ってます。

 

夕陽の時間帯には、大人な感じの日本人カップルがちらほら。

 

グアムは正味3日間しか滞在しなかったので、どこか隠れ家的ホテルにでも泊まりたかったのですが、結局見つける事はできませんでした。ホテルを探しているときに近くの「星野リゾート」と迷いました。気になっていて、グアム滞在中に探索してきましたが、日本にある星野系列の施設のようなエクスクルーシブな感じはなくて、ファミリーリゾートといった雰囲気でした。元々日本発のパックツアー御用達だったオンワード・ビーチ・リゾートを星野リゾートが引き継いで「星野リゾート・リゾナーレ・グアム」として昨年開業したようです。リーガロイヤルよりはマリンスポーツが充実しているようでしたので、アクティビティ重視な方は、星野リゾートに泊まるのもいいかもしれません。静かな雰囲気が好きな我々は、相対的にリーガロイヤルの方でよかった気がします。

 

そして、滞在中のグルメのハイライトは、グアム名物のチャモロ料理を現代的にアレンジしたレストラン「メスクラ」でのディナーです。日本からグアムに来る旅行者はステーキやハンバーガーなどのアメリカンなグルメを目指すことが多いようですが、アメリカ本土からグアムについた我々は、グアムに来たからには、チャモロ料理を満喫したいと思っていました。なお、チャモロ料理は、ローカルの調理法にアメリカやスペイン、日本をはじめ周辺アジア諸国の影響をうけて発展したのが由来。肉、魚、そして野菜と食材の種類は豊富で、基本的に日本人でもアメリカ人でも食べやすいでしょう。ということで成田に発つ前の夜には、ローカルおすすめのレストランである「メスクラ」に行ってきました。オーナーはグアムで料理番組にも出ていた有名料理人だそうで、この日は土曜の夜ということで、賑やかでした。車がないとアクセスできないハガニア地区にあるので、旅行者でごった返すと言う感じでもなく、10分待ちくらいで着席できました。

 

名物は肉類で、旦那は定番のチャモロ料理であるBBQ Short Ribsをオーダーしてました。私は、ユナイテッドの機内食で出てきた「なんちゃってポケ丼」を食べてから、新鮮な魚で本格的なポケを食べたいモードが続いていたので、迷わずAhi Tuna Poke Saladにしました。新鮮なキハダマグロを醤油とゴマ油でマリネしたポケを使った豪快なサラダでした。

 

 

チャモロレストラン「メスクラ」。おすすめです。

 

 

我々が食事を終えた9時頃には、あんなに盛況だった店内も急に静かになり閉店の準備をしていました。ここハガニア地区はローカルの人々が集まる繁華街と聞いていましたが、半分くらいのお店は既にこの日の営業は終了していました。グアムの人たちはどこで週末盛り上がるのだろうと思い、Dと近辺にゲイバーがあるか探してみましたが見つかりませんでした。こんな感じでローカルの生活様式などを観察したりするのも旅の楽しみです。

 

たった2泊3日のグアム滞在でしたが、ゴールデンウィークの影響も受けず、ゆっくりとした時間を過ごすことができて、来て良かったです。正直、日本にいるときにはグアムは慰安旅行や三世代家族旅行で行くイメージがあったのですが、こんなにものんびりしていてグルメが充実しているとは思いませんでした。

 

今回の唯一の心残りはビーチに行かなかったことです。ホテルのプールが快適だったのでビーチにいく気分にならなかったのですが、グアムを出たときに飛行機の窓から海岸線を眺めていたら、素晴らしいエメラルドブルーが延々と続く光景で、一度くらい足を伸ばせば良かったと思いました。きっとこれは、またグアムに行きなさいという神の思し召しと捉えることにしました。

 

 

次回はビーチにも行きたいです

 

 

転職で新しい仕事を始める前の休暇。溜まっているであろう仕事への不安や業務メールをチェックしなければというプレッシャーから解放されるご褒美的な期間です。そんな時期が2週間以上あるので、ずっと興味のあった南米のイグアスの滝、ペルーのマチュピチュか、アフリカのサファリにでも行きたいなと思ったのですが、そういった旅行先はかなり前から準備しないといけないようで、結局日本で休養することにしました。

 

せっかくなので、何か違うことをしたいと思いニューヨークから、ホノルル、グアムを経由して東京に至るという太平洋の広さを実感する旅にしてみました。しばらく会っていないホノルルの友人に会いたかったのと、グアムには一度も行ったことがなかったのでどんなところか見てみたかったし、ミクロネシアの島嶼間にどんな人の移動があるんだろうとずっと気になっていたのです。結局、ニューヨーク〜ホノルル〜グアム〜東京〜ニューヨークという航空券を購入しました。ホノルルから先、グアム近辺は旧コンチネンタル・ミクロネシア航空の路線を引き継いだユナイテッド航空の独断場。競争がないのでチケットもさぞ高いだろうと思ったら、単純にNYと東京を往復するより安いということがわかりました。

 

5日間かけて昨夜東京につきましたが、あまりこういう旅行をする人もいないと思うので、駆け足で、ユナイテッド航空での太平洋横断エアトラベルの様子を紹介してみたいと思います。

 

ハワイまではボーイング767ポラリス仕様。一時代前の座席の方が解放的でバカンス感があった。

 

NYホノルル便で出されたランチ。ハワイ風ポケ丼

 

ニューヨークを出発したのは先週。アメリカ本土からはホノルルまでは各航空会社ともフライトを飛ばしていますが、便数が一番多いのがユナイテッド航空です。東海岸からはホノルルは欧州に行くよりも遠いので、国際線仕様機を使っている路線が多いです。今回はボーイング767で出発。ジュネーブから到着した機体がそのままホノルル行き。プレミアムクラスはポラリス仕様ですべて個別シート、Dとは通路を挟んで離れ離れになってしまいました。前後で席を取った方がコミュニケーションは取りやすかったかもしれません。

 

離陸して1時間もしないうちに朝食が提供されましたが、ラウンジで結構食べてしまったのでスキップ。ホノルル到着1時間半前にランチ。照り焼きハンバーガーとハワイ風ポケ丼からのチョイスで、私は後者を選択しました。アメリカのエアラインの機内食は酷評されることが多いですが、多くのアメリカ人の味覚は単純なので、わかりやすいものが好まれるのだろうと思います。日系エアラインみたいに、ミシュラン星つきレストランとのコラボの特別料理とか、季節の素材使った月替わりメニューとか、日本人的には嬉しいんですが、あまり手の込んだメニューやマイナーすぎる食材を使うと、アメリカ人は警戒するのかなと思います。

 

ホノルルでは1泊して旧友と久々の再会。その翌日グアム入りしました。ホノルル〜グアム間はスタンバイが出るほど混雑しており、大型のB 777の運航でプレミアムもコーチも満席。太平洋線に最近まで残っていた2−4−2と横8列のシートが並ぶビジネスクラス仕様の機材はついに駆逐され、こちらもポラリス仕様になっていました。真ん中2列の奇数番号のシートはペアシートになるので、カップルで旅行する場合はこちらを選びましょう。機内食レポートですが、ホノルルを出てすぐに出されたランチは餅粉チキン(唐揚げ?)にココナツ炊き込みご飯のメインディッシュ。サイドディッシュはおむすびと、野菜天ぷら。それにチーズロールと、デザートのいちごパウンドケーキ。下の写真の通り、いわば炭水化物祭り。おむすびはガーリックが効いていてさらにスパイシーマヨのトッピング。B級グルメ感満載で思わず完食。隣に座るDは、またハンバーガーをチョイスしてました。7時間のフライトなのに、時差の関係でグアムに着くのが夜になるからか、到着前にはしっかりと夕食も出されました。ランチの炭水化物祭りで、胸焼けしていたので「アジア風サラダ」をチョイス。なんと出てきたのは、本土〜ホノルル便で「ハワイ風ポケ丼」として提供されてたものと全く同じだったのには笑っちゃいましたが、野菜たっぷりで助かりました。

 

ホノルル〜グアム間はB777機でした。カップルで乗る場合は奇数シートがお勧め

 

グアムまでは7時間の間食事が2回出ました。ランチは炭水化物オンリー

 

スパイシーマヨの上に乗ったふりかけおにぎりと野菜天ぷら、、。

 

アジア風サラダと言われ選んだら、前日と全く同じハワイ風ポケ丼。

 

本当はこの区間、「アイランド・ホッパー・フライト」といってミクロネシアの小さい島々に立ち寄っていく便を利用したかったのですが、毎日運行ではなくスケジュールが合わず残念。戦前には日本の委任統治領だったり、太平洋戦争中には、日米の激戦地となったエリアなので歴史的に日本とかかわりの深い地域。天気が良かったので空からでもこうした海域を眺められました。ニューヨークからホノルルは普通にアメリカ人の観光客が多かった客層も、ホノルル〜グアム間は生活路線といった様相で、アジア系やポリネシア、ミクロネシア系の顔をした人たちが大半でした。また出稼ぎフィリピン人やフィリピン系の方も多く、ホノルル便からマニラ行きの乗り継ぎ便に乗り換えるお客さんがかなり多かったです。なお、アメリカではこうした人たちを総称して「Asian/Pacific American or Asian/Pacific Islander /API」などと呼びます。本土ではかなりマイノリティの部類に入るAPIですが、このエリアではマジョリティーのようです。日本からの移民である私も、APIの部類に入ります。それと、この辺は中国を見据えた米軍の要衝でもあるので、アメリカの軍人がたくさんも乗ってました。ガタイのいい大柄な男ばかりで目の保養になりました。

 

グアムでは2泊して、ユナイテッド航空の昼便で成田へ移動しました。グアムでの滞在はまた別ブログにすることにして、面白いことに、成田〜グアム間はユナイテッドが1日5往復の飛行機を飛ばしていて、さらにこのGWから羽田からの深夜便が追加されたとのこと。それでも我々が乗った飛行機はガラガラだったので、どんなからくりで路線を維持しているんだろうと興味が湧きました。ご存知の方、いらしたら教えてください。

 

成田便は現在全てB737-800 に統一されているようでした。

 

グアムから離陸時の風景、もう少し滞在したかったです。

 

なお、ニューヨーク〜ホノルル〜グアム〜成田と、搭乗した全路線で機内サービスには大満足しました。ユナイテッド航空といえば、「フレンドリー・スカイ」というモットーでサービスを展開しています。クルーによりサービスの幅があるのが特徴で、いいクルーに当たると愉しい旅になります。ゲイのクルーも多いし、ゲイカップルである我々に親近感を持って接してくれることが多いので、Dと私は基本的にユナイテッド航空に好感を持っています。一方、たまに話しかけないでオーラを放つ怖いクルーもいますが、この度ではそういう方には遭遇しませんでした。

 

エコノミー割引チケットで乗っても何かと航空会社への期待度が高い純ジャパな客や、小さいお子さんのいるファミリー層は日系エアラインがいいんでしょうけど、旅慣れたビジネス客やゲイにとってユナイテッド航空のカジュアルなサービスは結構気楽です。決して最上級のサービスを提供するというわけではないのですが、より高いチケット買って金を積んだ客からいいサービスを受けられるという即物的なビジネス原理原則を貫いているところが気持ちいいです。

 

その昔、ユナイテッドのエコノミーで成田からJFKに飛んだ時、隣に座っていた日本人の爺さんが、フライトアテンダントさんに日本語の新聞を持ってこいと大声で要求した一件を思い出しました。「ないわよ。」と一言で返され、爺さんは「さっき見たぞ!」と言わんばかりにビジネスクラスの方を指差してましたが、またアテンダントさんが「あれはビジネスクラスのお客用なので、あなた用ではありません。(That`s not yours!)」と言い放ったのにはスカッとしました。その後もそのジジイ、日本人のアテンダントさんを捕まえて「JALだったらこんな事はしない」とか、ネチネチ文句言ってましたが、その日本人アテンダントさんも「申し訳ございませんが、これから皆様のお食事の準備に取り掛からなければならないので失礼します」と言って颯爽と去って行きました。その後、隣に座っていた私に「サービス悪いだろ、人種差別だろ?」と同意欲しさに愚痴ってきて被害者ズラしてましたが、このやりとりのどこに人種問題が絡むのか、、、。このジジイこそ迷惑客であり、今でいうカスハラの加害者ですね。所詮赤の他人なので「次回はJAL予約したらいかがですか?」と塩対応したら、「勝手に旅行会社が予約した」とかブツクサ言ってました。不愉快ですが、ユナイテッドの飛行機に乗るたびに、あの爺さんのことを思い出します。

 

と話は脱線しましたが、ユナイテッドに乗っていて面白いなと思うのは、休憩中のパイロットがキャビンに出てきてウロウロしたり、キャビンの一席が操縦士の休憩用に割り当てられたりもすることです。小型機では、パイロットが操縦席から出入りする時に、機内食のカートでギャレーを塞いで一般客が入って来れないようにしています。この光景は小型機でも長時間飛行のアメリカ国内線でよく見かけるのですが、ハイジャック防止なんでしょうか。なんとも牧歌的なプロセスだと思います。我々が乗った成田行きの便ではB737機の狭い操縦室に3人の操縦士が乗り込んでいました。全員身長2メートルくらいありそうな恰幅のいい男ばかりで、かわいかったです。トイレ休憩に出てきたパイロットが、キャビンに入ってきて、うちの旦那のことを見て自分の義理の弟かと思った、とか意味不明な挨拶かわしてきたり、、。またビジネスクラスを担当した客室クルーは、でかいポリネシア系のクマさんと、これまた大柄なおばさんのペア。狭い機内で圧迫感がありましたが、みんなフレンドリーで何度もドリンクのおかわり持ってきてくれました。

 

乗務員の皆さん、楽しそうにしてました。仲間に入れて〜って感じ。

 

成田便のランチは味噌サーモン。見た目は?だけど味は良かった。

 

最近は事前に機内食のチョイスを受け付けていて、数日前からアプリで予約できるようになっていました。写真とは全く違うものが出てきたり、サイドディッシュが微妙に違っていたりもしましたが、機内食のクオリティを酷評されていた数年前に比べたら頑張ってる感じはしました。


NY〜ハワイ〜グアム〜東京とプレミアムシートでは、絵柄の異なるトロピカルなデザインの可愛いハンドポーチが配られていました。おかげで写真のようにほぼ全部の絵柄を制覇しました。

 

 

太平洋を移動中はブログの更新をサボってしまいましたが、今は東京滞在中。静かだったホノルルとグアムと比べたら、GW中の東京はにぎやかですね。初めは、GWとバッティングしてしまって嫌だなと思いましたが、この雰囲気も捨てがたいものがあります。東京は喧騒を避けようとすればいくらでも選択肢がある街。あと数日、GWの旅行者に紛れて楽しみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先月紹介した「SHOGUN〜将軍」。男くさい写真と共にゲイ的見所満載という話をブログに書いたら「いいね」の数は普段より少ないのに、記事へのアクセス数が5倍くらいに増えるという現象が起きてました。それだけ、興味をそそる内容だったのでしょうか。

 

アメリカのゲイ界隈では、アジア人男の人気はあまり高くありませんが、「SHOGUN〜将軍」でざわついているように、SAMURAI的概念は例外的にエキゾチックな男くさいファンタジーを誘う要素として根強い人気があります。そして、そのファンタジーを作り上げたのが黒澤明監督の一連の侍映画であり、その映画のほとんどの作品で主演を演じた三船敏郎です。渡辺謙や真田広之が台頭している今でも、三船敏郎・世界の「ミフネ」の存在は、燦然と光り輝いていると言っても過言ではないでしょう。正統派黒澤映画ファンや、ミフネファンの方は不愉快に思うかもしれないので、以降、興味がある方のみお読みください。

 

三船敏郎、1920年当時日本が進駐していた中国山東省生まれ。紆余曲折して俳優になり、「羅生門」「7人の侍」「赤ひげ」「用心棒」など黒澤明監督作品15作に出演しています。その間、英国アカデミー賞、ベネチア映画祭など国際映画祭でノミネート、受賞を重ね世界的スターになっていきます。1966年には3部門でアカデミー賞を受賞したカーレース映画「グラン・プリ」で初めてハリウッド映画に出演し、いわば日本人ハリウッド俳優のはしりとも言えるでしょう。メキシコ映画「価値ある男」に、メキシコ人役で主演するという快挙を成し遂げたように、日本人離れした風貌は当時からセクシー・アイコンとしても有名でした。私も黒澤作品を中心に三船敏郎が出ている映画を何本も見ましたが、いまだに彼のような男の色気を感じさせるアジア人俳優は出てきていないと個人的には思います。侍や将軍といった日本人男性としてのある種の定型スタイルがハマるのは当然、一方で落武者、用心棒、無頼者を演じるときにセクシーさが素晴らしいです。髭が似合い、惜しげもなく裸体を披露し、縄で縛り付けられたり、褌姿で引き回されたりする姿は、まさにゲイのファンタジー。

 

 

羅生門ではほぼ全編上半身露出で出演

 

当時のゲイコミュニティーでも根強い人気があったそうで、たまにシニアなゲイの人たちに「ミフネはカッコよかった」という話を聞きます。今でもマンハッタンでは、ジブリの映画と共に、年中どこかで黒澤作品が上映され、その度に作品の中の三船敏郎を目にすることができます。よって、海外作品に興味があるような若いインテリゲイの中にも、ミフネファンは結構多く、これまでにも何度もミフネに抱かれたい、みたいな「ミフネ・ファンタジー」を聞くことがありました。2016年に日系アメリカ人監督が三船敏郎の活躍の軌跡を描いたドキュメンタリー映画「MIFUNE: THE LAST SAMURAI」が上映されたときに私も映画館にいきましたが、観客の半分はチェルシーあたりに住むアメリカ人ゲイという感じでしたね。しかも、意外に若いファンが多かったのが印象的でした。

 

こんなゲイファンタジーの一角を占めるミフネ

 

 

世界中にファンがいる。アルゼンチンのTeijeiro Art Studioの作品

 

米国一般大衆に最も有名で「ミフネ=サムライ」のイメージが定着したのは、テレビドラマ「将軍 SHŌGUN」(1980)の将軍役で、現在の真田版の元祖です。その頃にはすでに三船敏郎も還暦になっていたので、流石に肌を露出することはなかったようですが、ドラマ自体には男臭い雰囲気は受け継がれていているようです。当時の写真などを見ると、褌姿の役者がたくさん出ています。

 

元祖「将軍SHOGUN」(1980年)

 

 

「MIFUNE: THE LAST SAMURAI」(2016年)

 

三船敏郎の没後四半世紀が過ぎましたが、今、日本人俳優としてその座を引き継ごうとしているのが真田広之でしょう。真田版「SHOGUN」は今季ドラマのストリーミング数ナンバーワンを獲得、名実ともにレジェンド化への道を邁進しています。SNSスペースでは、SANADAというキーワードがバスっていて、「SHOGUN」以前の彼のハードボイルドな活躍が改めて見直されています。彼には「たそがれ清兵衛」など素晴らしい作品もあるのです。

 

ただ個人的には真田広之が三船敏郎に並ぶことはあっても、その存在を超えるのはとても難しいことのように思いますが、いずれにせよ日本人の俳優がこうして注目を浴びるとは誇らしい限りです。

 

 

 

真田氏はミフネに並ぶのか?活躍が楽しみです。