アニカ・トール「海の島: ステフィとネッリの物語

物語の舞台は第二次世界大戦時のヨーロッパ、主人公はオーストリアの首都ウィーンの裕福な家庭で育ったユダヤ人の少女ステフィ(12歳)と妹ネッリ(7歳)です。ナチスによるユダヤ人迫害が強まっていく中、戦争開始直前の1939年8月、姉妹の両親は愛する娘たちの身の安全を願って、2人を他のユダヤ人の子供たちとともにスウェーデンへ移住させることにしました。実際に当時のスウェーデン政府は、救援委員会が里親を募ってドイツおよびオーストリアからユダヤ人の子供500人を受け入れることを許可したのです。

長旅を終えて2人がたどりついたのは、スウェーデン西海外にある、漁業で成り立つ小さな島。ヨーロッパでも屈指の華やかさを誇るウィーンからやってきた2人にとっては、そこはあまりにも質素過ぎる場所でした。

役者あとがきより


娘が小学生の時に娘のハリー・ポッターを私も読みましたが、ファンタジーではなく現実に即したこのような児童書を読むのは子供の時以来だと思います。大人が読んでも充分に読み応えのある物語だと思いました。面白かったですし、4部作の第1作目とのことなので続きもぜひぜひ読みたいです。

華やかな都会ウィーンでの医師の父親とオペラ歌手の母親、妹との4人家族、使用人もいる裕福な暮らしから一転、スウェーデンの漁村での質素な暮らしはステフィにとっては「この世の果て」

姉妹それぞれ同じ村のすぐ近所の家に引き取られましたが、7歳の妹のネッリの里親は若く明るく優しく料理上手、幼い同年代の女の子と男の子もいる家庭で彼らと兄弟同様に暮らす生活にも、小学校でもすぐに馴染み、スウェーデン語もみるみる上達します。

一方12歳の姉ステフィの里親は年配の夫婦でしつけの厳しい母親に家事もしっかり手伝わされ日頃の会話もあまりなく、小学校でも最高学年でユダヤ人の状況やステフィたちの身の上をわかる年代ゆえ、からかったりいじめたりする級友も多く馴染めません。

「この世の果て」に同じ姉妹、すぐ近くに引き取られてもここまで違ってくるかと思うほどにその後の生活が真逆です。12歳という思春期入口の年齢と7歳というまだまだ幼い年齢、この5歳の年齢差が本当にリアルです。

児童書とはいえ大人でも読みごたえのあるしっかりした構成と深い物語。
深刻な話でもあるけれど児童書ゆえ陰惨さはなく、未来は明るいと思える終わり方。
そして児童書ゆえに非常に読み易いので、目が疲れる~夜は眠い~というシニアの読書にもおススメです(*^^)v

勉強が好きで勉強を続けたいステフィに学校の先生が貸してくれる本が「ニルスのふしぎな旅」でした。
この本、私も大好きで子どものころ夢中で読みました。ガチョウのモルテンやガンのアッカ隊長なんて名前までまだしっかり覚えております。さっきしようと思ったことも忘れる今日このごろなのに、こういうのはところてん方式で押し出されないのね(^^; (※忘れまくる傘

「ニルスのふしぎな旅」もそうですが、自分の暮す日本とは違う海外の物語、普通の生活、暮らしぶりがわかるお話が大好きでした。私が子どものころたくさん買ってもらった海外のお話を集めた児童書は「あかね書房」のシリーズでした。大人になるまでずっと持っていましたが、断捨離で一部を残してそのほとんどを処分してしまいました。残念ですがハードカバーのずっしり重い児童書まですべて残しておくなんてちょっと無理ですよね。

今はこの時からまた少し減らしています。⇒捨てられない児童書
画像で2重になって入れていたところを厳選してすべてのタイトルが見えてしまえる冊数に。