デュシェンヌ型筋ジストロフィーの兄弟、兄の達也さんと弟の政紀さんの物語です。
本を書いたのは原佑子さん。フリーライターの方で、古島さん一家とは、ある雑誌の「子どもの難病」を特集した時に日本筋ジストロフィー協会の事務局から紹介されたというのが出会いだそうです。
その時に協会の副理事長をしていた古島常男さん(達也さんと政紀さんの父)と出会い、一家の足跡をまとめたいと思ったことがこの本の発行につながったそうです。
兄の達也さんの人生はとても気の毒でした。小学校入学時からまわりの人にいじめられ、小学校を一年生の半分足らず通っただけで就学免除となります。
その後は中学一年の二学期から「聴講生」にはなれるのですが、就業免除までの道のりが残酷すぎました…
達也さんは「川越市立高階小学校」へ入学するのですが、嫌がらせなどがあり「就業免除」の流れとなります。
高階小学校の担任は達也を執拗に「養護学校へいかれては?」とすすめ、追い出すように仕向けます。
かなり酷い小学校だと思いましたが、今でも高階小学校はあります。なんと「笑顔いっぱい・花いっぱい・歌声いっぱいの学校」を目指しているそうですよ。
この本では学校名まできちんと書かれているので古島さん一家が相当この小学校を恨んでいたことがわかります。
(本に実在する学校を出す場合は「T」小学校とか学校名を伏せたりしますし)
今だったらネットやSNSで学校名をだして「就業免除」の流れを書くだけで炎上するでしょうね…
父親の常男さんはかなり昔気質の男性なので子供達や母親が萎縮してしまっている事がわかり読んでいて辛かった…
昔の父親ってこういう怒鳴り散らすタイプが多かったので仕方ないとはいえ、あまり好ましい父親では無かったですね。もちろん二人の息子を愛してはいるのは感じられました。
兄の達也さんが学校面で恵まれなかった分、弟の政紀さんは恵まれています。
勉強したり英語の弁論大会に出たりと華々しい人生を送っています。
26人中の出場者で12位という華々しい成績です。
家族では無い第三者(プロの原佑子さん)が書いた本なので読みやすいです。よく家族の事を調べて書かれているとわかる本でした。
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宿命に挑む翼 筋ジスの兄弟と親・その愛と苦悩と栄光と
著者 原佑子
発行者 鈴木大吉
発行所 株式会社一光社
1982年1月15日初版
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