遊戯王を辞めようと決意した大会/YCSJ2024感想レポート

遊戯王

2024年4月28日、遊戯王OCGの公式大会「Yu-Gi-Oh! CHAMPIONSHIP SERIES JAPAN TOKYO 2024(通称YCSJ)」が開催された
YCSJはシングルデッキを使い一本勝負を行う「スイスドロー方式」。二回負けた時点で予選敗退となる「ダブルエリミネーション形式」を採用している、今年10年目を迎える大規模大会だ。計8回戦い、勝利数の多い上位256名による決勝トーナメントを行い、日本一を決める。
今回応募人数が8000人と過去最多であり、何でもTCG大会の参加人数のギネス記録をねらっているとか。会場は「東京ビッグサイト」。全国から決闘者達が集まる。

 

そんなYCSJだが、興味本位で応募したところ当選したので、とりあえず参加することにした。自分は公式の大会に参加したことがほとんどない。以前友人と地元のカードショップの大会に参加したときは、自分と友人しかおらずただの身内戦だったので、アレはノーカンとすると、オフィシャルな大会は今回が初めてだ。紙の遊戯王も始めてまだ一年未満と慣れないこともあったのだが、参加する以上はしっかり楽しみたいし、そして勝ちたい。せめて1勝くらいはしたいと思い、デッキ構築に挑んだ。

 

今回使用したデッキは「蕾禍蟲惑魔」。「蕾禍」は植物族、昆虫族、爬虫類族で構成されているリンクが主体のテーマで、そこに罠カードが主体の「蟲惑魔」を加えた混合デッキだ。蟲惑魔は植物族、昆虫族で構成されているためシナジーもあり、蕾禍の打点の高さと展開力を合わせたデッキとなる。
弱点としては、増殖するGを始めとした手札誘発全般に弱く、後攻のまくり手段が乏しい点である。その点を踏まえて下手にまくり札をいれるのではなく、先行特化で展開札を多めに採用した。今回はシングル戦ということもあるので、後攻を取られた時はある程度腹を括ると決めた。その為に事前にじゃんけんの勝ち方も調べておいたので抜かりはない。

 

ここから先は各試合の結果をダイジェストでお伝えさせていただく。そして、遊戯王を辞めようと決意した理由についても触れさせていただく。

 

まずは1回戦、対戦相手は物腰柔らかく紳士的な男性だ。使ってきたテーマは「炎王スネークアイ」。現環境トップのテーマだ。後攻を取られた場合まず勝てないので、死にものぐるいでじゃんけんに勝つ。
手札は蕾禍モンスターが四枚。蟲惑魔は引けなかったが、悪い手札ではない。このまま先行盤面を構築させて貰おう。

しかし、相手が出してきたカードは、「無限泡影」からの「増殖するG」。初動を止められた事と、Gのドロー効果で行くか止まるかの選択を迫られた。自分はGを打たれた時は、後から後悔しないよう突っぱねると決めていたので、そのまま前に進んだ。しかし、その後エフェクトヴェーラーを打たれ展開ストップ。中途半端な盤面で相手ターンに渡してしまった。その後相手ターンで捲くられ、ゲーム終了。1敗を喫した。
後から聞くと相手は手札事故だったようで、展開を止められていたら、かなり厳しかったらしい。決意のG突っぱねが裏目を引いてしまったのは何とも皮肉なものである。

 

まぁそんな事もあるよなと思い、気持ちを切り替え2回戦に挑んだ。
続いての相手は少し物静かな若い男性。手つきが慣れてなかったので、自分と同じ大会初心者なのだろうか。
ふと、ゲームの準備中に相手のデッキのある事に気づいた。

EXデッキが無いのである。

EXモンスターをあまり使わないテーマは、ラビュリンスやふわんだりぃずなど、数多くあるが、強謙や天底の使徒などEXカードを使うカードもあるため、EXデッキを使わないテーマは殆どない。
自分が知る限りでは「帝」や「真竜」あたりだろうか。いずれにしても厄介そうな相手だ。

今度は自分の後攻。引いて来たカードは「増殖するG2枚、無限泡影、墓穴ホール、蟲惑の落とし穴」
やばい、めっちゃ事故ってる。増殖するGでカードが増やせば戦えるかも知れないが、帝や真竜だった場合、全く刺さらない。後は次のドローにかけるしか無い。

 

気になる相手の初手。やたらカードを読んでいるが、カード効果をあまり把握していないのだろうか。初心者の可能師は高いが、もしかしたら、新規テーマでカードをあまり理解していない可能性もあるか…

 

そして出してきたモンスターは「妖精伝姫-シンデレラ」

 

分かった、霊使いストラク(精霊術の使い手だ。

4属性の精霊使いを中心に構成されたストラクチャーデッキで、確かにあのデッキにはEXカードはなかった。恐らく今回の大会に申し込んだものの、手元に戦えるデッキが無かったため、やむを得ずストラクを持ってきた初心者なのだろう。

なるほど、これはヤバイ。霊使いストラクに、増殖するGが全く刺さらない。とはいえストラクならそこまでキツイ盤面にはならないだろう。モンスターさえ!モンスターさえ引ければ!

 

しかしそこから引いてきたカードは「灰流うらら、墓穴の指名者、蕾禍罠カード」という引きの悪さ。そのままうららやGをセットしてターンを耐えるものの、相手に一方的に殴られ続けゲームは終了。

 

 

こうして自分のYCSJは終わった。

 

喪失感がすごい。どうしてこうなった。

手札事故なんて起こることは十分に理解してるし、相手がストラクを持ってくる事は全く問題ない。むしろ遊戯王の大会に出てくれた事はとても喜ばしいし、これから色んなテーマを触ってくれたら、一プレイヤーとしては喜ばしい限りだ。だけど、今日のために何日もデッキ構築に頭を悩まし、他テーマの研究をしたり、友人に何日も対戦を手伝ってもらった結果がこれでは、あまりにも残酷ではないか。頭では理解しつつも、感情が整理できない。こんな気分を味わうために、遊戯王を始めたわけではないのだ。

 

「もう遊戯王はやらない」と心に決め、意気消沈のまま家路につくのだった。

 

 

 

 

数時間後…

 

そこには、デッキをいじっている自分がいた。

そんな簡単に辞められたら苦労しないわ。

 

このままでは終われない。こんな終わり方で辞めてしまっては絶対後悔する。ていうか、普通に負けて悔しい。勝ちたい!
先ほど「遊戯王辞める」と決意して僅か数時間で手のひらを返す姿は甚だしいにも程があるが、好きな事を簡単に辞められるような時間の過ごし方はしていないのだ。

 

そんな思いを胸にあれからずっとデッキ改良を行っている。またいつか大会に出て今度は絶対に勝つことを心に決めた。
そして、もし可能であれば、あの時戦った霊使いの彼にリベンジしたいと思う。

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