貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

CZ

2024-04-26 21:46:27 | 単品

「地味な石ばかりじゃのお。たまにはもそっとコガネに輝くようなのはないのか」
と山の神がのたまう。
たまには山の神のご機嫌も取らなくてはならない。
ヤフオクを漁ってみると、ゴールデン、キンキラのものが安く出ていた。

「いかがでござりますか」
「おお、これは」
「お気に召されて何よりでござりまする」
「高いのか」
難しい問いである。安いと言えばそんなものをとなるだろうし、高いと言えば無駄遣いをとなる。まあしかし正直が何より。
「千円でござる」
何とも微妙な表情を開陳されて話は終わった。

イエロー・キュービックジルコニア。CZ。人造宝石。1970年代からダイヤモンドの代用品として生産されるようになった。
二酸化ジルコニウム(ZrO2)を基本とする人工立方晶系結晶。本来の二酸化ジルコニウム(自然にはごく稀にしか存在しない)は単斜晶系だが、CZはダイヤモンドに近づけるためイットリウムなどを加えて立方晶系にしたもの。添加物には様々なレシピがあり、製品も様々。なお自然鉱物のジルコンは ZrSiO4 でケイ酸塩鉱物。全然違う。
硬度8~8.5(ダイヤは10)、屈折率2.15~2.18(ダイヤは2.42)、分散度は0.0058~0.066(ダイヤは0.044)。比重5.6~6.0(ダイヤは3.6)。
分散度が高いからカットによって七色キラキラに輝く。素晴らしいではないですか。

と味をしめて、同じ出品者さんから「超高質、高技術カット」の無色CZを買った。
これは開けてぴっくり。まじで声が出た。

写真じゃ写らないのですけど、まあすんごい。「プリンセスカット」という特殊なカットらしい。山の神殿もご満悦。
さらにびっくりしたのは、2つとも、室内のさほど明るくない光で、5メートルくらい離れていても、ピカーッという光が飛んでくる。こんなのは初体験でしたね。

さらに悪乗りして、「タンザナイトカラー」のCZも。



色が暗めなので上記二点ほどの派手さはないけれど、これもすごい色と輝き。カットのせいで赤とかのファイヤーも出る。


人工鉱物なんて邪道でしょ、とか思っていた。けれどエメラルドの典型的な色が欲しくて合成ものを買った。その後、とんでもない分散度だから、とモアッサナイトにも手を出した。で、今度はCZ。
強烈な色や輝きを見たいのなら、人工鉱物もいいではないですか。すごいし、お安いし。と変節したのでした。
実際、このCZは輝きもファイアもすごい。較べる先を持ってないから確かなことは言えないけど、へたすりゃダイヤモンドを凌ぐのではないか。まあファイアが出過ぎて少し下品だと見るむきもあるかもしれないけど。で、何より安い。こんな大きなダイヤだったらとんでもない値段になるでしょう。でもこれらは千円以下。
だから、詐欺に使うのは論外ですけど、人工だよと納得して味わうのなら、大いに素晴らしいことではないでしょうか。

 


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