この度、メジカルビュー社様より新刊が出版されました。
この本は様々な書籍、教科書から影響を受けて制作されています。
このブログではこれらの本を紹介しながら、私の著書の内容を解説したいと思います。
今回は「循環器病治療薬ファイル」です。
循環器病治療薬ファイル
診療のマニュアル本には、それぞれの疾患の処方例が簡潔にまとめられています。
しかし実際の現場では迷ってしまうことが少なくありません。
その理由は処方例が列挙されているだけで、どの薬を選ぶのか、なぜその薬を選ぶのかが書かれていないからです。
「循環器病治療薬ファイル」が他のマニュアルと一線を画すのは「行間」が書かれていること。
処方例だけでなく、薬剤選択の根拠となるデータがきちんと記載されています。
不安定狭心症から心筋梗塞への進展予防率はβ遮断薬は13%だが、カルシウム拮抗薬は4%となっている
そのため大変理解しやすくなっています。
また科学的裏付けがない場合も、そのことが明記されているのが特徴です。
どのくらいの用量がいいのか、確固たる根拠がどこにあるかは探し出せなかった
カルベジロールかビソプロロールか、どっちを選ぶかというと、ほとんどはどちらでもよい
このように根拠がないことまでしっかり書かれた教科書はほとんど見たことがありません。
そしてそのような場合も、著者の経験から一定の指針が与えられています。
さらに面白いのは「切れ味」や「手ごたえ」など、薬の使用感が書かれていることです。
Ic群薬はⅠa群薬より切れ味がよい
RAS抑制薬は倍量にしても効果の増加は実感できない
このように豊富な経験とエビデンスが融合して、臨床に今すぐ役立ち、さらに読み込んでも面白い本となっています。
皮膚科の薬の使い方
しかし皮膚科の分野では、このような本は多くはありません。
そこで今回の書籍は薬の使い方について一歩踏み込んで記載することを心がけました。
できるかぎり薬剤選択の根拠となるデータを示し、根拠がない場合は著者の経験を元に解説しています。
これまでの皮膚科のマニュアル本とは違ったものになっているのではないかと思います。
是非手に取っていただき、感想やご意見をいただけましたら嬉しいです。