令和6年度電験一種電力:励磁装置

今日は、令和6年度電験一種<電力科目>問1の励磁装置に関する勉強です。

問 題

(電気技術者試験センターホームページより)
解 答

(1)端子電圧
(2)サイリスタ励磁装置
(3)揚水などの大容量機
(4)高く
(5)静止機器である

(電気技術者試験センターホームページより)

考察

水車発電機やタービン発電機などの同期機は、主に回転界磁形同期発電機(固定子側が電機子巻線、回転子側が界磁巻線)が用いられる。

回転界磁形同期発電機では、界磁巻線(励磁巻線)に直流電流を供給して界磁磁束を発生させた状態で、

界磁巻線(回転子)を回転させることでフレミングの右手の法則により、電機子巻線に電圧が誘起される。

(参考) 水車発電機を起動する標準的な自動制御シーケンスについては、
平成26年電験一種<電力>問5で勉強できます。

発電機の誘導起電力は界磁電流(界磁磁束)に比例するため、界磁電流を制御することで誘導起電力を増減させることができる。

また、発電機に負荷を接続すると負荷電流(電機子電流)が流れるが、

負荷電流が大きくなると発電機の内部インピーダンスによる電圧降下が大きくなり、発電機の端子電圧が低下する。

つまり、端子電圧の低下(基準電圧と端子電圧の偏差)を検出した場合、界磁電流を制御することで

端子電圧を一定に保持、あるいは調整する装置が励磁装置である。

一般的には自動電圧調整装置(AVR)と組み合わせて端子電圧を制御する。

励磁装置は、直流励磁機方式や整流器励磁方式などがある(詳細は触れません)が、

近年では、整流器励磁方式が主流となっており、揚水などの大容量機などに採用されている。

整流器励磁方式といえば、サイリスタ励磁方式が代表的なものかと思いますが、

交流励磁機方式のように、整流器で直流電流に変換する方式も整流器励磁方式の一種になるのでしょうか。

サイリスタ励磁方式の特徴としては、問題文の①、②の通りですが、

系統で地絡や短絡事故が発生すると発電機の電圧(電気的出力)が低下し、発電機が加速することで内部相差角が増大し、

同期化力が小さくなるため、安定度が低下する。(最悪の場合、脱調に至る)

(参考) ちなみに事故様相によって、電圧や出力の低下は異なり、例えば、事故点の正相電圧の大きさは,3線地絡時より1線地絡時の方が大きくなる。
こちらは令和元年度電験一種<電力・管理>問3で勉強できます。

サイリスタ励磁方式では、発電機の界磁を直接制御(サイリスタを高速制御?)するため速応性が高く、励磁系の頂上電圧を高くすることができるため、

系統事故除去後の回復電圧を高くし、過渡安定性を向上させることができるが、

直流励磁機方式では、サイリスタ装置と比べると速応性は低い。

また、直流励磁機方式などの回転機器を有する場合に比べると、サイリスタ励磁方式は静止機器であるため保守点検が容易である。

 

あくまで個人的に整理した内容ですので、鵜呑みにしないでください。

それではまた次回に!

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