華々しい中世の騎士、であっても所詮は人間です。様々な「弱った」騎士を絵にして見ました。前半は税官吏に追い込み掛けられる騎士、後半は女性にどやされる騎士、と言う大喜利です。旧バージョン。以下本文。
先ずは前半、税官吏と騎士篇。「はいセザンヌさん早かった」「あの、こう言うんで良いんスか?」
「うぬれ、守銭奴めが! 覚えたかっ!」
「あれ、前が見えない前が見えない、あの…首、あれ…あたしの首…」
続いてエドガー・ドガ。
「騎士殿、決まりですから通行税を支払…ぐふうっ」
レオナルド・ダ・ヴィンチ。
「ねえ、旦那。幾ら分捕り品が少ないったって20スー位はお持ちでしょ? ねえ、旦那、ねえねえ旦那」
ジャック・ダヴィド。
「胴巻を、こっち、寄越しなさいっ、ほらジャラジャラ言ってるじゃないですかっ、頂きますよ」
「待てこの泥棒っ!」
カミーユ・ピサロ。
「お屋敷の固定資産税、今すぐ払って下さい。じゃないと行かせませんからねっ」
「待てこれだけは、かっかっ勘弁して、戦地から帰ったら払うからさあっ」
クロード・モネ。
「戦から帰ったら払うって? ご冗談でしょ、生きて帰って来る保証はないですからね、何でしたら馬を質に入れて下さいな」
もう一点ダヴィンチから。
「物納ですかあ、しょうがないな、おっ、この兜軽くて良いですね」
「おいそれはよさぬかっ、マルテル公より拝領した先祖伝来の逸品なるぞっ、じゃあせめて釣り銭を寄越せ!」
葛飾北斎。
「もしっお武家様っ、関銭をどうか…!」
「退けっ下郎め、いざ鎌倉である!」
続いて後編、淑女に詰められる騎士篇。
ポール・セザンヌ。
「お願いだから幾らか置いてってやって下さいよう、あの娘も生活があるんですからっ!」
「いやしかしだな…」
古今亭レオナルド・ダ・ヴィンチ。
「こんなの着込んだって無駄無駄! 眼庇の下ががら空きじゃないのっ、さあ、謝るか謝らないか、謝んなけりゃ目ん玉突っつくよっ!(©「火炎太鼓」)」
エドガー・ドガ。
「幾ら言ってもあなたの素行は直らないから、散々あなたにお願いもしたし神に祈りもしたのに、あなたって人は…ちょっと言われてるそばから何やってんの!」
カミーユ・ピサロ。
「ちょっとでも動いてごらんなさい、あなたの首はきっとその肩にのっていなくってよ!」
ピサロ2点目。
「隊長さん、一体息子はどうなったんですの…あの息子は…あたくしの末の頼みは…」
「おい、副官。上手く説明してやってくれよ。俺の口からはとても言えんよ」
補足。なくもがなの裏設定。息子は別に壮烈な戦死を遂げた訳ではなく、占領地で農家に夜〇這いを敢行して農夫達にリンチにされ、その農家で奉公人をさせられているのである。為念。
漠然とルネサンス期の絵画。
「おいっ俺は貴様が女を張り倒すようなヤツだと思わなかったよ、どんな事情があるにせよだ、貴様も騎士ならば…おいっ何で俺に噛み付くんだよ、何やってんだよ齧るなよ、よせってば気持ち悪いからさあ!」
-本稿了